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高齢者の定義の見直しを検討中、じゃあ「老人は幸福」と言う話は本当だろうか?

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WHOによって高齢者の定義は65歳以上となっています。

でも、個体差がかなり大きく64歳でも70歳以上に見える人もいますし、80歳でも60歳代に見える人もいます。一般的には数十目年前と比較して、高齢者は元気で若々しいと一般論的には解釈していますよね。

幸福度を数値化できるのか?という素朴な疑問

第29回日本老年学会総会で、「高齢者って言っても全体的に若返っているので、定義を見直そう、との動きがあります。ちなみに内閣府の調査では、高齢者は70歳から、と考える人が多いことがわかっています。

現在高齢者と呼ばれいる層は年金も若い人が将来もらえるであろう金額より多いし、医療費も安いし、総括的には60歳代になると幸福感の平均値が上がる、という調査報告もあります。

ニュースリリース–CCC_カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

幸せに関するアンケート調査

このグラフは縦軸が記載されていませんので、ある一定方向の考えに誘導される可能性を含みます。統計学的に意味が有る無し以前の話として

そもそも、幸福度って点数化できるものなのでしょうか?

国民総幸福度で有名なブータンの国民は本当に幸せなんでしょうか?

高齢者の福祉が充実していて「福祉先進国」的な捉え方をされるスウェーデンの老人は本当に幸福なんでしょうか?

ブータンの幸福度を単純に受け入れていいのだろうか?

数年前にブータンの国王ご夫妻が来日されて、ちょっとしたブータンブームがおきました。なんせブータンは「国民総幸福度」という指標を提唱していて「幸福の国ブータン」っていう憧れを抱いた方もいるんじゃないでしょうか?でも、このブータンが幸福度を調査した方法はあくまでブータン国民向けのものであり、

幸福という主観的な概念を数値化して客観的な指標とすること自体無理❗

という意見があまり主流でないことが不思議で仕方ないです。

前述の幸福感を調べたのはTUTAYAのカルチャア・コンビニエンス・クラブであり、Tカード(私は持っていません)を利用している会員を対象にしたものです。

ということは、自分で買い物に行けて、DVDを借りたり、コンビニで買い物ができる人⋯少なくとも介護を要するような高齢者ではない(ここでは60歳以上ですけど)を対象にした結果です。

ここで幸福感の点数が高い人は「お金があるか、ないか」「経済的に余裕があるか、ないか」が左右していて、かつ、寝たきりではないし介護を要するような健康状態ではない60歳以上は幸福である、という考え方もできます。

例えばこのような考え方もできるわけです。
データに見る「老人だけが幸せな国、日本」

福祉先進国スウェーデンの高齢者は幸せか?

よく福祉先進国は高齢者の自殺率が高い、と言われますがこれは大きな誤解です。例えばこのようなデータがあります。

www_nli-research_co_jp_report_report_2005_08_li0508a_pdf

http://www.nli-research.co.jp/

このデータでは、75歳以上の男性とかなり限定された条件ですが、結果的に日本は2位、スウェーデンは13位であり、福祉先進国だから高齢者の自殺率が高いとは言えません。

高齢者社会のモデルとしてのスウェーデンの実態

あの福島瑞穂先生が声高に叫んでいる、福島先生憧れのスウェーデンの高齢者医療及び福祉の実態はどのようになっているのでしょうか?

医療自体への期待値が日本とかけ離れているのです。例えば

◎高齢者が肺炎になっても、抗菌剤は点滴しない、つまり経口摂取できなければそれまで

◎介護士は基本的に公務員、医師と同じくらいの権限を持っている

◎認知症の人の半数以上が一人暮らし

◎老人施設で急病になっても施設内で亡くなるという原則

◎在宅介護が中心であり、終末期でないと施設に入れない

という、非常にある意味合理的な高齢者への対応がスウェーデンの医療・介護の実態です(この項目の多くは、現代ビジネスを参考にしました)。

ここで話を戻します、高齢者の定義の見直しの方向性

幸福度一位とされるスウェーデン、国民幸福度を提唱しているブータン、ともに国民性・経済力・宗教観・死生観に大きな違いがある中で「幸福」という定義自体が観念的なものを数値化して、国と国とを比較すること自体にかなり無理があるのではないでしょうか?

元気な高齢者が現役で活躍すると、若年者の就業に悪影響を及ぼすのではないか?

との心配もある、との指摘が老年学会ではありました。以前は老人と呼ばれていた人々が現行では以下のよう定めています。

  • 前期高齢者⋯65ー74歳
  • 後期高齢者⋯75-89歳
  • 超高齢者⋯90歳以上

健康診断の数値でもどこかで正常・異常の区分けをしなければなりませんから、行政の運営上では国民を一定年齢で分けることは仕方がありません。しかしながら、年齢と健康状態、年齢とモチベーション、年齢と懐具合は必ずしも個々の場合は必ずしも相関関係にあるわけではないのです。

そこで提案です。65歳以上になったら全ての国民が経済的能力・体力検査・健康調査・学力検査・資産調査を行い、それによって年金額・税額・現役で仕事をするかなどを判定するんです、って一瞬思ったんですが、こりゃ共産主義的かつ独裁主義であり、憲法違反どころじゃなくなってしまいますので思いっきりボツ。

いつか自分も高齢者と定義される時がやってきます。

高齢者あるいは老人は幸福

という考え方は

健康である(少なくとも寝たきりではない)+経済的に余裕があるという条件付きでは正しい解釈

と思われます。

今の平和ボケした悪平等を基本とし、上手くいった社会主義国とも評された日本国でドラスティックな福祉制度の改革はまず無理と考えてしまう、今日この頃です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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