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なかなか「治らないニキビ」、原因は糖尿病⁉

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「世界一ニキビを憎んでたんちゃうか」⋯プロアクティブのCMに出ていた男性の言葉が懐かしいです。

日本においては医師も含めてニキビは病気である、という認識が低く健康保険適用のニキビ治療薬は大昔のものしかありませんでした。

治りにくいニキビの原因

ディフェリンというニキビ治療薬た保険適応になったのをきっかけに続々とニキビ治療に効果が有る塗り薬が登場しています⋯これでやっと世界の標準レベルに達しました。

ニキビの特効薬なのに間違った使用法が多いディフェリン 医師も間違っています 追記あり

ニキビの特効薬なのに間違った使用法が多いディフェリン 医師も間違っています 追記あり

ディフェリンという処方薬が日本で認可されたのが2008年。その後「ベピオゲル」、「デュアック配合ゲル」、「ゼビアローション」など保険で使用できるニキビ治療薬が登場しました。ニキビの特効薬なのに間違った使用法が多いディフェリンについて解説します。

【朗報】ニキビ治療の新薬「ベピオゲル」が保険適用❗BPO 過酸化ベンゾイルが主成分で世界標準のにきび治療が可能に❗

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しかし、プロアクティブ(単なる消毒薬との意見も一部にあり)の男性のように、通常のニキビ治療法では一向に改善しないニキビ患者さんもいらっしゃいます。治りにくいニキビの場合は脂質代謝の異常がある可能性が以前から指摘されていました。ところが最近になって

難治性のニキビの場合、糖尿病がベースにある

という解釈ができる研究が報告されています。

難治性のニキビと糖尿病の関係

都市伝説的に「皮膚に異常があるときは内臓、特に肝臓が悪いのでは?」と言われてます。実際、肝機能障害があって皮膚症状が出現したら、かなり肝臓がダメージを受けているはずなので、実際に血液検査をしても肝臓の異常は見つからない場合が殆んどです。

治りにくいニキビの場合、肝臓ではなく膵臓に関連する「インスリン」に対して抵抗性のある人は大人になってからニキビなりやすいのでは?と「Insulin Resistance and Metabolic Syndrome in Young Men With Acne.」(JAMA Dermatol. 2015 Dec 23:1-5.)では指摘しています。この研究は男性のニキビがひょっとしたら糖尿病やメタボリックシンドロームと関連しているのではないか、と考えて、20歳以上でニキビを主訴として皮膚科を受診した男性100名を対象に行われています。

その結果

ニキビのある人はインスリン抵抗性が高くなっていた

という結果になりました。

血糖値が上昇するとインスリンが膵臓より分泌されて、血糖値を下げます。しかし、糖尿病の人の場合、インスリンが分泌されても血糖値が下がらないで、高血糖状態が継続することによって糖尿病と診断されます。インスリンがいくら分泌されても血糖値が下がりにくい場合、「インスリン抵抗性が上昇している」と表現されます。

つまり、成人でニキビができやすい人は糖尿病予備軍である、とこの研究者たちは考えています。

でも考えてみれば当たり前のような気もするんだけど⋯

肝臓の障害はあまり皮膚疾患の原因となる場合は少ないと書きましたが、糖尿病の場合は皮膚疾患と密接な関連があります。皮膚科医の間では「足の裏が汚い人は糖尿病を疑え」と伝承されています。エビデンスの確定されていない疾患でも先輩医師の経験値から、後輩医師に伝えられる「伝承医学???」的な診断方法や治療方法がありますので。

糖尿病の場合、感染症にかかりやすく治りにくい、ことが知られています。その原因として白血球中の好中球の貪食作用が落ちることがあげられます。手術の後も持病として糖尿病があると、通常以上に感染症に注意を払います。また、糖尿病の患者さんの場合、傷自体が治りにくいことも知られています。となると、ニキビも皮膚の感染症の一つと考えると

ニキビができやすい、ニキビが治りにくい人は糖尿病の可能性がある

というよりは

糖尿病の人はニキビになりやすい、ニキビが治りにくい

という考え方の方が原因と結果としてはわかりやすいのではないでしょうか?

ニキビのある人は糖尿病になりやすい???

今回取り上げた研究論文は「大人の男性でニキビがある人は糖尿病になりやすい」という結論を導き出しています。皮膚科の疾患から全身性の代謝疾患の早期発見あるいは兆候を見出そう、との試みです。しかし、糖尿病傾向のある人は皮膚の感染症にかかりやすく、皮膚のダメージの回復が遅くなるメカニズムは解明されています。ですから

難治性のニキビに悩んでいる人は糖尿病の検査も受けよう

と提案します。

一般の皮膚科の処方ではなかなかニキビが改善しない方は主治医に「糖尿病って可能性ありませんか?」とお尋ねください。「そんな必要ないよ❗」って医師が言ったら、その医師は今回取り上げた論文を読んでいない可能性が大です。JAMA Dermatologyって皮膚科医だったらマスト的に読んでおく専門誌なんですけどね〜。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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