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ダイエットのために運動すると寿命が縮まる⁉

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早朝や休日にジョギングをしているオッサンたちを見かけますよね?日頃の運動不足をランニングすることによって解消しているのか、あるいはいつの間にやらポッコリお腹が出てきたことを気にして走っているのか。基本的に運動嫌いな私としては「なんであんな苦しいことするんだろう?」と不思議に思う毎日です。

肥満対策に運動すると死亡リスクが高まる??

有酸素運動は健康のため、ダイエットのための基本中の基本と考えられていますが、実は肥満対策として有酸素運動をすればするほど、肥満気味のオッサンは早死にする、って医学論文が存在します。どんな内容なのか少し解説してみますね。

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http://www.dietdoctor.com/study-demolishes-myth-that-exercise-makes-up-for-obesity

運動能力が低いほど、長生きする??

この人騒がせな論文は「Aerobic fitness in late adolescence and the risk of early death: a prospective cohort study of 1.3 million Swedish men」というタイトルでinternationai journal of Epidemiology (https://academic.oup.com/ije/article/45/4/1159/2951637?login=true オンライン版)に掲載されています。「Epidemiology」は「疫学」という学問分野で個人個人を対象に病気の原因や予防を検討するものではなく、ある集団においてどんな病気になりやすいか、予防するならどのようにすれば良いか等を検討するため統計学的手法をとるためにツッコミどころ満載な分野であることを事前に述べておきますね(笑)。

この論文によれば1969年から1996年の間にスエーデンの徴兵検査(当然、対象はオッサン)を受けた約130万人の男性を追跡調査しました(中立国家であるがゆえに、軍事には力を入れていたんですね)。18歳時に徴兵検査を行った時に運動負荷試験も同時に受けており、この結果を有酸素運動の能力として評価しました。

有酸素運動の能力が高いと評価された上位の人と下位の集団を比較すると、上位の集団の方が死亡リスクは低かった、と当然の結果が導き出されています。

しかし、この有酸素運動の能力をBMIで分類した場合、なんと肥満傾向であると有酸素運動能力が高くても死亡リスクを減少させることができなくなっていたのです。

これを詳しく記すと、BMIが30以上だと有酸素能力が高くても死亡リスクは26パーセント減少するが、BMIが35以上だと運動しても死亡リスクは低下しなかった、との結果になっていました。

運動能力が低いほど死亡リスクが減少する⁉

さらにこの論文は驚く結果を報告しています。標準体重の場合は(BMI25以下)、有酸素運動の能力が劣っていても、有酸素運動の能力が高い肥満の人と比較して死亡リスクが30パーセントも低かった⋯痩せている人は運動しなくても長生きして、太っている人は運動すればするほど死亡リスクが高くなる、とも解釈できる結果になっています。

って、ことは太っているけど運動に自信のある人ほど死亡リスクが高くなる、ってことになってしまいます。

休日に汗をダラダラ流しながら懸命に走っているオッサンは自ら寿命を縮めている可能性も出てきました❗

なんだか変な結果になった疫学の論文

疫学的解析をした医学論文ってツッコミどころ満載であるがゆえに、理系のうるさ方から「医学は科学ではない」なんて評価をされること多しです。この論文はよくよく読み込んでみると、死亡の一番の原因として「外傷」があります。この外傷の詳細が気になって仕方ないのですが、スウェーデンの人ってそんなに怪我ばかりしているのでしょうか?少なくとも上記調査期間において、戦争などの極端に外傷で死亡数が増加するようなことは知られていません。

さらに自転車乗りによって有酸素運動能力を判定している点、食生活面の因子を全く検討していない点など死亡リスクに多大な影響を与えると考えられる因子を含めて解析していません。そういえばこの論文、死因の2位と3位として「がん」と「心血管系」を書いてあるけど「喫煙のリスク因子」の検討がなされていないような⋯。

それらのツッコミどころをあえて検討しない場合、この論文を素直に解釈すると単純に若い時肥満と評価された人は標準体重の人より死亡リスクが高まる、というありふれた結果だけ得られます。ってことはやっぱり肥満傾向にある人は運動しようが、運動しなくても早死にするよ、との残酷な結論を導いた夢も希望もない医学論文でした。

しかし、BMIが35ってどんな状態であるかイメージしてみると、身長170センチで体重100キロであってもBMIは34.6にしかなりません。そんな高度肥満の人がいきなりジョギングなんてしだしたら、明らかに心臓に負担をかけるし、ひざ関節などにも過度の負担をかけますから普通は食生活の見直しからダイエットをして、病気の予防と早期死亡リスクを回避するんじゃないでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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