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「初診料」について疑問というか文句を言っている患者さんへ⋯初診の定義はこれです❗

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初診料を誤解している患者さんの対応に医療機関は困っています。

初診料ってある医療機関を初めて受診した時に徴収される医療費と考えている方がいます。多分、初診とはその医療機関を初めて訪れることと解釈しているんでしょうね。病名が同じなら、二回目以降は初診では無く、再診が徴収されますが、一定期間を超えた場合は再度初診料がカウントされる場合もあります。

初診料を2回取られた(怒)問題

この初診料をめぐって医師の間でこんなことが話題になっています。

「初診料を2度取られた」との言いがかり⋯ある皮膚科を患者さんが背中のホクロをガンではないかと心配して受診しました。診断としては悪性ではない単純なホクロだったので、その患者さんは帰りました。その2年後にまた同じ患者さんが背中のホクロが気になって再度受診しました。診断は一回目の来院と同じく、ガンではありませんでした。ところが会計時に「同じ病気なのに、再度初診料を請求するなんてオカシイ」と騒ぎ出したそうです。初診の意味を説明しても、その女性患者さんは納得しなかったので、面倒なので「再診料」で処理したそうです。その数日後にネットの掲示板で「初診料を二回も取られた❗」との書き込みがあったそうです(2016/5/20 日経メディカルより 登録した読者しか読めないサイトであり、内容は大意が伝わるように改変しています)。

日経メディカル_Online

「ネットで『セコイ医者』と誹謗中傷⋯我慢する?」

このサイトではネット上の掲示板に書かれた場合、あなたならどう対応するか?についてのアンケートが記事の目玉になっていますが、今回は医療機関で起こりがちな「初診」と「再診」の違い、そして同じ病気で何回か受診してもその都度「初診料」を払わなければならないのかを解説してみますね。

まずは「初診」の定義というか解釈を説明します

そもそも初診というのはその医療機関を初めて訪れたことを指すのではなく、医学的に初診といわれる診療行為があった場合を初診とすると定義されています⋯これじゃ、全然わかりませんよね。

こっちの解釈というか定義の方がわかりやすいかもしれません。

患者が任意に診療を中止し、1月以上経過した後、再び同一の保険医療機関において診療を受ける場合には、その診療が同一病名又は同一症状によるものであっても、その際の 診療は、初診として取り扱う。

平成28年度 診療報酬点数 医科 より

もしも風邪をひいて初めて受診して、治らないので再度受診したら肺炎になっていた場合は病名が違っても、症状が一緒ですからその場合は再診となります。しかし、風邪と診断された後に一ヶ月以上空けて受診して再度風邪と診断されても、肺炎と診断されてもその場合は初診料として処理されてしまいます。また、高血圧で通院していて60日分薬が出されて2か月後に受診した場合はもちろん再診となります。

前述日経メディカルの記事は一番最初に受診した時点で悪性の疑いがなく、治療の必要性がなかったためにその日で診療は終了していると判断します。2年後に受診して、同じ病名と診断されても医師が後日の経過の観察を申し出ない限り、患者さんが任意に診療を中止したと解釈しますので、当然再診料ではなく初診料を支払わなければなりません。

ちなみに風邪で受診して完治。その一週間後に腹痛で再度受診した場合、初診の定義上は再度初診料を支払わなければなりませんが、さすがにそこまでする勇気のある医療機関は周囲を見回す限り稀のようです「セコイ医師」って言わそうですからね。

医師でも十分な知識がない保険診療における窓口での支払い

時々患者さんのからの問合せメールで「こんな症状で受診したいのですが、料金はどのくらいになりますか?」との質問があります。以前は医療事務員が手計算していたものが、私が開業した約20年前から医療機関の診療費はレセコン(医療機関が診療報酬を受け取るためのレセプトを作成するソフト)が導入されだしたために複雑怪奇な医療費の詳細について、特に窓口で支払う医療費についての詳細を即答できる医師は稀と考えてください。税金の確定申告がかなり複雑であり、そのために税理士・会計士がいるのですが、医療機関ではPCがその役目を果たしてくれます。

ネット上では医療費についての詳細な情報が得られますが、正確な医療費をネット上で計算することは多分不可能でしょうね。現在は初診料は282点(1点10円)となっていますので、3割負担である場合は850円になります(四捨五入ではなく、医療費はなぜか五捨五超入という不思議な言葉を採用しています)。一方、再診料は72点ですので、3割負担の場合は220円なので患者さんとしては再診料で計算して欲しい気持ちもわからなくはないです(実際にはこれに外来管理加算として52点上乗せされます)。

医療費に透明性がないとおっしゃった舛添要一都知事へ

複雑怪奇な計算方法になっている税金の場合、税理士や会計士の先生の仕事がなくなるから面倒なシステムになっている、とわけ知り顔で語る方もいます。医療費の場合、医師でも詳細を理解していることが少ない医科診療報酬点数システムはレセコン屋さんの利権とは考えられませんし、医療事務派遣会社の仕事が無くなるからでもありません。

中央社会保険医療協議会ってところが診療報酬の料金(点数)を決めているのですが、このメンバーに日本医師会の代表が以前は加わっていたために「医師会の圧力が」なんて言い方をされていました。現都知事としてお金にセコイと話題になっている舛添さんが厚労省の大臣だった時に「診療報酬は透明性がない」と発言して以来、医師会サイドの人は中央社会保険医療協議会に選ばれないようになりました。それでも複雑怪奇な医療費の計算方法は全く改まっていません。

今となっては、どっちの方がセコくて、透明性がないんだよ❗と一言申し上げたい次第です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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