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ジカ熱が原因でリオ五輪が開催不能⁉デング熱より症状が軽いのになぜ?

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ジカウイルスによる感染症であるジカ熱の流行が原因で、2016年のリオデジャネイロオリンピックの開催場所を変更する話がいよいよ本格的になってきました。

ジカ熱のためにオリンピックの開催場所が変更になる可能性

2015年からブラジルでもじわじわと流行しだしたジカ熱ですが、まさかオリンピックが延期されるとか、開催場所が変更になる、そんな予想を立てていた関係者は少なかったのでは?しかし、感染症の拡散速度は人類の移動速度に比例して早くなっていることを考えると、アフリカンのウガンダのアカゲザルから発見された「ジカウイルス」がいつのまにやら、人間に感染して、そのごアジア~南米まで広がってしまいました。

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https://www.gizmodo.com.au/2016/01/zika-virus-outbreak-prompts-cdc-to-expand-travel-advisory/

2014年には日本で発症するとは考えられなかった「デング熱」騒ぎがありました。またダニによるSFTSウイルス感染症を「殺人ダニ」と大げさな表現でとりあげるマス・メディアもありましたよね。半可通の方は「ジカ熱もブラジルのある地域の話でそれほど大問題じゃないのでは」と考えたでしょう(恥ずかしながらその一人です、わたくし)。

それが世界中の研究者や医師によって署名が集められWHOに公開書簡として届けられました(詳細はhttps://www.afpbb.com/を)

ジカ熱はなぜ怖いか?

今までは一定地域で発生する「風土病」的な扱いをジカ熱及びジカウイルスは受けていました。しかし、数十万単位の人がオリンピック見学にリオを訪れると、その数に比例して感染者が増加する可能性があります。ジカ熱の原因であるジカウイルスはネッタイシマカ・ヒトスジシマカによって運ばれ、人間を刺すことによって体内に侵入します。いっぽうで不顕性感染という実際にはジカウイルスに感染したけど、症状が現れない場合も80パーセント程度あるので、知らず知らずのうちにジカウイルスを保有してしまう可能性が出てきてしまいます。

母体から胎児への感染すると「小頭症」と呼ばれる状態で生まれてきてしまうことが多くの方、特に妊娠の可能性のある女性へは日本でも感染地域を訪れることへの注意を行っています。

非常に気になるのですが、ジカ熱は性行為による、あるいは輸血によっても感染するんじゃないか?とも考えられています(確実な感染経路等の詳細は現在では不明です)。この場合、血液・体液を介して感染が拡大するワケですから、ジカウイルスを保持している人を刺した蚊が別の人を刺すことでも感染が拡大することも危惧されています。日本で見られるヒトスジシマカもジカウイルスを媒介しますので、この感染経路が高い確率で起こりえたら、一気にジカ熱が世界中に広がってしまうのです。

さらにジカ熱の治療方法として確立されたものはありませんし、予防策としてのワクチンも現時点では開発されていません。

日本人の感染者も既にいます⋯「フランス領ポリネシア・ボラボラ島帰国後にZika feverと診断された日本人旅行者の2例」デング熱で騒がれた代々木公園の話は日本で感染したんじゃないか?との理由で騒動になったわけで海外でデング熱に感染して発症した、帰国後発症した人は別に珍しいわけではなかったのです。

感染症対策の原則に従うと⋯

感染症対策の大原則として以下の3つがあります。

  1. 感染源の除去
  2. 感染経路の遮断
  3. 抵抗力を高める

感染源の除去とは、感染した人が未感染の人に接触しないようにすること指しますが、ジカ熱の場合は蚊が媒介するので、ジカウイルスを保持していると考えられる蚊を退治することも重要です。

感染経路の遮断とは、体内にジカ熱の場合はジカウイルスを侵入させないことになります。インフルエンザのように手洗い・うがいで対抗できるワケではないので、蚊に刺されないようにすることになりますね。

抵抗力を高めるとの対策方法が果たしてジカ熱に対して、どの程度効果的なのかは未知数です。しかし、不顕性感染が80パーセント程度あるので、漠然としたものいいにはなりますけど「抵抗力を高める」必要はあるかもしれません。

リオデジャネイロのオリンピックはどうなるのか?

リオのカーニバルで有名なリオデジャネイロで開催されるオリンピックは当初は多発する犯罪に対しての懸念がありました。また、ラテン気質の陽気さ呑気さで開催会場が期限まで完成しないのではとハラハラさせています。そこに今回のジカ熱騒動です。世界各地への感染拡大を懸念するのなら、開催延期や開催地の変更が選択されるはずですが、オリンピック開催時期はリオデジャネイロでは冬季にあたるので、蚊はそんなに増えるわけではないので大丈夫じゃないか?との見解もあります。

身を守るためには、妊娠中・妊娠する可能性のある女性は残念ながら、2016年のオリンピックはテレビで楽しみましょう❗どうしても俺はリオデジャネイロ・オリンピックを直接観るんだ、という方は蚊よけスプレー・蚊取り線香・長袖長ズボンで身を守りながら、かつ日本へジカウイルスを持ち込まないように毎日体温チェックは欠かさないで下さい。

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https://www.vox.com/2016/5/25/11760228/zika-virus-risk-rio-olympics-2016

そんなに大騒ぎをしなくてもCDC (米疾病対策センター) Tom Friedenさんは別にオリンピックを延期したりする必要はないよ、とも述べているんですが、どうすりゃいいの??

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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