五本木クリニック院長ブログ

イソジンの効果はウソ?うがいをしても風邪の予防にならないよ!!


■イソジンを風邪の予防に使っても効果はない??

カゼの噂に「イソジンでうがいをしても風邪を予防する効果は無い」との話を耳にして長い年月が経過しました。うがい薬としてのイソジンのブランドに関して明治(あれっ、明治製薬じゃ無いんだ)とシオノギ製薬、ムンディファーマ間でパッケージのデザインをめぐって裁判沙汰が生じたのが、本年2016年2月でした(インフルエンザ等の流行期になんで揉めるのよ)。

実は以前より

◎イソジン(成分としては「ポビドンヨード」が正式)でうがいしても、あんまり効果無いんだよね


そのうちに保険診療じゃ処方できなくなるんだよね的な話は医師間でも出回っていました。実際に

◎2014年から風邪の予防にイソジンは保険診療では処方できなくなっています


医師になった当時「月から帰還したアポロ11号は未知の病原菌を消毒するために、イソジンで丸ごと消毒したんだぞ」との先輩のお言葉(真贋は不明)を素直に受け止めていた、純情な時代の私としては「史上最強の消毒薬はイソジン」と信じていました。

イソジン®×ゴジラ|イソジン®_Info|ムンディファーマ株式会社
http://www.isodine.jp/godzilla/より ブランドのリニューアルとして企画されたそうですが、ゴジラがイメージキャラクターだったなんて、全く知らなかったですww


医療用ポビドンヨード製剤として1961年に厚生省の承認を受けたイソジンは今でも医療現場で大活躍をしてますが、感染症予防に対する効果はウソじゃないの、との話もありますので検証してみます。

■京都大学で研究によれば、イソジンのうがい効果は無かった、との引用が多数ありますけど・・・

イソジンによるうがい効果はウソだよ、と書かれたサイトを多く見かけます。それらのサイトでは「「2002年から2003年にかけて京都大学でうがいは風邪の予防になるか」の研究が行われ、その結果「イソジンによるうがいの効果は無かった」との意味合いで書かれています。しかし、このほとんどが「イソジン効果なし」の元の論文を明記していません。一般常識を覆す記事を書く場合はくれぐれも一次ソース、あるいは信頼たる論文を明記してくださいませ。

これらの元ネタとなった論文は「Prevention of Upper Respiratory Tract Infections by Gargling」(「American Journal of Preventive Medicine」 November 2005 Volume 29, Issue 4, Pages 302–307)です。この医学論文によれば「水うがい」「ポピドンヨードうがい(イソジンうがい)」「コントロール」の3群にグループ分けしたところ

◎風邪を引いた人は「イソジンうがい」>「コントロール」>「水うがい」


との結果になりました。つまりイソジンでうがいをしても、なーんにも効果が無かっただけでなく、水でうがいをした人よりも風邪をひきやすかったのです。これがイソジンでのうがいの効果は風邪予防として期待できない、って話になったしだいです。

本来ならば同様の研究や追試が望まれるところですが、探すことはできませんでした・・・だってイソジンの製造元でさえあえて反論はしてませんからね!!

■「イソジンでうがい」の正しい使用方法を読むと・・・

ブランド問題は置いといて、現在イソジンを取り扱っているメーカーのサイトを見て、こりゃ愕然としたよ!!

風邪やインフルエンザが流行しているとき、風邪をひいたとき、のどが痛いとき、体が弱っているときなどはイソジン®うがい薬でうがいしましょう。

だって(イソジン®と感染症のQ&A より)

これって完璧に予防になります、って多くの皆さんが信じ込んでいるイソジンの効果を強く主張していないじゃん。すでに風邪をひいて喉が痛い、大声?を出して喉が痛い時の使用を勧めているってことは、予防効果にはならないのでは。さらにツッコむと「風邪やインフルエンザが流行しているとき」では、本当にイソジンに予防効果があるのなら、効果・効能として「風邪やインフルエンザの予防に」と記すはずです。なんだか怪しげになってきたぞ、イソジンうがいの効果。

■イソジンの秘密

「イソジンスクラブ液7.5%」は手術前の手洗いや手術するところの皮膚の消毒に今でも医療現場でしっかりと使用されています。しかし、使用上の注意として「粘膜には使用しないこと」と添付文書には書かれているのです。

◎うがいをする目的は喉をばい菌から守るためだけど、喉って粘膜じゃん!!


うがい薬として販売されているイソジンは実はポピドンヨードが主成分ではあるのですが、医療機関が使用している目的が主ではなく「喉の粘膜の炎症を抑える」ことが主目的になっているとしか解釈できません。腸の常在菌の大切さが重要視されているように、喉にも常在菌がいて、いわゆる「善玉菌」の役目を果たしていると多くの医療関係者は考えています。イソジンで綺麗さっぱりバイキンをぜーんぶ綺麗にちゃうと、喉を守ってくれる細菌叢も死なせちゃうことになり、だからこそ京都大学での研究のような結果になったワケです。

このように感染症予防としてのイソジンによるうがいは疑問点だらけですが、うがい自体の感染症予防効果も本当なのか、少々疑問を抱いています。口腔粘膜自体にバイ菌の侵入を防ぐシステムがあり、粘膜のバリアを突破したバイ菌に対してもマクロファージ等によって防御システムが稼働します。風邪をひいて咳をした人の体液を吸い込んじゃった(医師は患者さんの喉を見るときによく経験します)場合に即うがいをすることはそれなりに効果があるとは思いますけどね。

うがい関連エントリー・・・こんなのはいかがでしょうか?

風邪の予防に「紅茶でうがい」が効果的?!じゃあ緑茶はダメなの??

うがいをするのは日本人だけ??は都市伝説、海外でも風邪の予防でうがいをしますよ!!

花粉症対策で「鼻うがい」というのがあるけど、安全性に少々疑問あり!!

↑ページTOPへ

関連記事

デング熱の予防ワクチンが開発された!!こんな時期に発表するから製薬会社陰謀説が巷にあふれるんです。追記ありイメージ

デング熱の予防ワクチンが開発された!!こんな時期に発表するから製薬会社陰謀説が巷にあふれるんです。追記あり

■デング熱に有効なワクチンが開発されて近々販売されるらしい 今、日本で代々木公園発のデング熱の広がりが危惧されています。最初は感染者が3人と発表されましたが、その後感染者は増加して11都道府県の計48人に(9月3日時点) … 続きを読む

悪貨が良貨を駆逐する?ヘルスケア大学のトンデモパワーに脱帽。イメージ

悪貨が良貨を駆逐する?ヘルスケア大学のトンデモパワーに脱帽。

■ヘルスケア大学で正しいのは最初の1行だけ、と内輪でばかうけ 非常に深刻な病気についても、さらっと書き流しちゃうのがヘルスケア大学の特徴です。がんに関する記事の正誤表を作ろうと試みて、複数の真っ当な医師に協力を求めたとこ … 続きを読む

中国人の動体視力は世界一!!能力を悪いことに使わなければいいんだけど・・・。イメージ

中国人の動体視力は世界一!!能力を悪いことに使わなければいいんだけど・・・。

■中国人は動体視力が優れている スポーツ界で中国人が大活躍をしているのは、運動音痴でスポーツ観戦を全くしない私でも、オリンピックとか世界水泳、世界卓球などでの中国人選手の活躍は一般のニュースや新聞で知ることになります。 … 続きを読む

高齢者の定義の見直しを検討中、じゃあ「老人は幸福」と言う話は本当だろうか?イメージ

高齢者の定義の見直しを検討中、じゃあ「老人は幸福」と言う話は本当だろうか?

■幸福度を数値化できるのか?という素朴な疑問 WHOによって高齢者の定義は65歳以上となっています。でも、個体差がかなり大きく64歳でも70歳以上に見える人もいますし、80歳でも60歳代に見える人もいます。一般的には数十 … 続きを読む

鼻くそはワクチンの効果があり、健康に良い!!??そんなワケないじゃん!!イメージ

鼻くそはワクチンの効果があり、健康に良い!!??そんなワケないじゃん!!

■鼻くそを食べることは健康に良い、って話が出回っているけど、そりゃ無いよ!! 昨日「鼻くそを食べるとワクチンのような効果があるって本当ですか?」とのご質問を受けました。えええっ、と思って教えてもらったサイトがこれ。 ht … 続きを読む