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「シミ」だと思ったら皮膚のがん「日光角化症」かもよ⁉

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サプリとか通販医薬品で「シミに効果あり」とされているものがこの時期に大々的に広告されていますよね。

脂漏性角化症は日光角化症と全く別物❗

シミと呼ばれれいるものの多くは「脂漏性角化症」あるいは「老人性疣贅」であり、老化によるイボと多くの方は解釈しています。

これらの特徴は「盛り上がっている黒いシミ」ですが、一方で平らなシミの場合は「老人性色素斑」や「肝斑」と診断されます。しかし、脂漏性角化症と思っていたら実は「日光角化症」だった、なんて恐ろしいこともありうるので、その違いを説明しますね。

安易に日光角化症を取っちゃうと大変なことになるぞ❗

「シミってレーザーで簡単に取れちゃうのよね〜」って時代を迎えたことは、当院としては非常に喜ばしいことです。しかし、基本的なスキルが無いのに、レーザー機器さえ導入しちゃえば「美容皮膚科」と名乗って保険のきかない美容医療を始めることができます。

約20年前に当院を開院した当時は目黒区の皮膚科系のクリニックで、レーザーを導入しているところは多分1〜2軒くらいでした。多くの皮膚科系のクリニックが美容医療を取り入れたことは、美容医療がスタンダードになることなので良いことなんです。別に他のクリニックに患者さんを取られちゃう的な感覚は当院は全くありません(ほんとだよ❗)。

しかし、追い風状態の美容医療において「日光角化症をレーザーで取っちゃった、大変、大変」という事態を危惧しています。

日光角化症の症例___そのシミ日光角化症ではありませんか?___持田製薬株式会社

持田製薬サイト

一瞬、普通のシミに見える場合もあります。

日光角化症って皮膚の有棘細胞癌の初期段階ですので、治療がきっかけとなって、全身に転移ということも考えられるのです。現時点で医学的に知られている有棘細胞癌はどの時点で、どんなきっかけで表皮にあった「シミ」が真皮の奥深く侵入して、他の臓器に転移するのか明確になっていませんからね。

普通、見りゃ判断できるんだけど念のための検査も必要

ある程度のスキルをこなしていれば、肉眼でも「脂漏性角化症」と「日光角化症」の判別は可能です。両者ともに紫外線を浴びたことが原因ですが、日光角化症は赤っぽいものがほとんどですけど⋯レーザーで取っちゃった医療機関があったんです。そのあとは大騒ぎになったようですが、訴訟沙汰にはならないで沈静化した、と風の噂で聞きました。

日光角化症が疑われる場合、「ダーモスコピー」という光の乱反射を抑えて、皮膚の状態を把握する拡大鏡があるのですが、なんでその医師はダーモスコピーを使用しなかったのか、不思議で仕方ありません。

このダーモスコピーは黒子と悪性黒色腫を見分ける強い検査機器であり、これを使用しないで「ハイ、レーザーで簡単に取れますよ」ってやったんでしょうね。ちなみに診断精度は98.5パーセントです(「Validation of Dermoscopy as a Real-time Noninvasive Diagnostic Imaging Technique for Actinic Keratosis」 Arch Dermatol. 2012;148 (10) :1159-1164.による)。

日光角化症と判別しなければいけない皮膚の病気

間違った診断をすれば、治療方法も違ってしまいますので診療・治療には「鑑別診断」が重要となります。安易に切ってはいけない、レーザーで取ってはいけない「日光角化症」と似た皮膚の悪性腫瘍は「Bowen病」「悪性黒色腫」があります。これらの疾患の治療はクリニックレベルでは厳しく、入院施設のある大病院・大学病院レベルを受診する必要があります⋯大病院なのに「当院では対応できません、手術できる要員が十分でないので」と紹介を断られた経験ありますけど。

クリニックレベルで治療しても問題がないのは「脂漏性角化症(老人性疣贅)」「老人性色素斑(日光黒子)」「色素性母斑」です。これに「肝斑」を加えたものが美容皮膚科の守備範囲とお考えください。

「シミ」を治療するときにクリニックを選ぶコツは?

どんなベテラン医師でも診断間違い、いわゆる誤診をする可能性は否定できません。開業医の場合は一人で診察をしていることが多いので、ある一定方向の思考を続けてしまい「誤診」が発生する可能性があります。大学病院クラスだと、難しい症例の診断に際してカンファランスを行い多くの医師の意見を聞きながら、鑑別診断を行います(教授が言ったことに対する反論も可能)。しかし、美容目的で大学病院を受診する人は稀でしょうし、大学病院だって自由診療のシミの治療を積極的に行っている所は少数です。

となると、地域の皮膚科や美容系のクリニックを受診することになりますので、くれぐれも医療機関の選択は慎重に行ってください。ちなみに当院は美容医療に携わっている医師は非常勤も加えて計4名在籍しています⋯結局、これを言いたかったんだけど(笑)

レーザー治療をお受けになる前に是非「シミ取りレーザーの特徴と注意点」を読んでくださいね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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