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患者さんが信じるといけないので「医療関係者ホンネ座談会の正誤」を検討しました❗

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医師に騙されちゃいかんよ的な記事をシリーズ化している週刊現代です。このテキトーな記事について何回かブログを書きました。週刊現代「飲んではいけない薬」シリーズは木を見て森を見ずだ❗などなど。

週刊現代が売り切れなんで、ネット上の記事が本当か検証します

私の場合、理詰めで質問してくる方が多いのですが、この週刊現代が売り切れて、私のブログが正しいのか、週刊現代が正しいのか判別がつかないとのご意見をいただきました。そこでWeb上でどなたでも確認できるように「現代ビジネス」というサイトからの引用で、果たして週刊現代は実情を述べているのか、正誤表的に検討してみます。

筋肉が溶ける副作用も!

しょっぱなから横紋筋融解症という怖い副作用が小見出しで「『患者の命よりカネ優先』医療関係者ホンネ座談会〜医者が飲まないキケンな薬の恐怖」と題したページは始まります。開業医の発言として

風邪薬なんて飲む医者はいませんよね。寝てれば自然に治りますし、解熱剤で一時的に熱を下げると逆に治りが遅くなりますから。

と書かれていますけど、私は飲みますし、当院所属の医師も飲んでいます。熱でぼーっとした状態でこの開業医さんは診療しているんでしょうか?つまり

風邪薬なんて飲む医者はいません⋯×

さらに嘘っぽい話が続きます。

LDLが180を超えていて、薬を飲もうかどうか迷っています。自分のところに来た患者が、それくらいの値なら「薬を飲んでコントロールしましょう」と奨める値ですね。でも自分で薬を飲むかといえば別問題。飲んですぐに効果があるわけではないし、飲み始めたら半永久的になることがわかっているから、躊躇するんです。

ようは自分は悪玉コレステロールがこんなに高いけど、副作用としての横紋筋融解症が怖いからという話に持って行くのが見え見えです。やっぱりその数行後に准教授と称する人が

筋肉が溶けてしまう横紋筋融解症、腎不全、こむらがえりなど、いろいろ副作用も指摘されているが、すべての医者がそれを理解しているかは不明。

と語っています。横紋筋融解症の副作用を知らない医師はまずいないと考えて間違いありません。横紋筋融解症は骨格筋の細胞が壊れて血液中に流れだすものであり、重症化することは非常にまれであり、血液検査で簡単に判別できますので「筋肉が溶ける」的な表現はかなり誇張したものですから

筋肉が溶けてしまう横紋筋融解症⋯×

この表現だと殺人事件とかで塩酸等に死体を漬けてとかすイメージになってしまいます。

副作用は薬の添付書を隅から隅まで読むドクターはいないよ?

この発言は開業医と称する方のものです。開業医が一番気にするのは薬の副作用で患者さんから苦情が来ることです。添付書を隅から隅まで読んだとしても、副作用は確率的に生じてしまいます。特に重篤な副作用は患者さんにとって大問題でしょうけど、開業医にとっては死活問題です⋯あそこで処方された薬でこんな入院する羽目にとか、うちのおばあちゃんはあそこのクリニックの薬で死んじゃったの、こんな話が町内に広がったら数カ月以内にそのクリニックは廃業状態になります。ですから

副作用の注意書きを隅から隅まで読むドクターはいない⋯×

添付文書なんか一枚なんだし、普通読みます(憶えているかは別問題)。

「患者の命よりカネ優先」医療関係者ホンネ座談会〜医者が飲まないキケンな薬の恐怖 聞きたくなかった⋯___賢者の知恵___現代ビジネス__講談社_

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48909

講演会で100万も200万も謝礼が支払われる?

私は実際に定期的な講演会の世話人をしています。遠方より高名な教授をお招きすることも年に3回行っています。その時の謝礼は「10万円」です。旧帝國大学の教授であっても、私学の新設校の教授であっても距離に関係なく10万円。100万も200万も支払う製薬会社があったとしたら、ライバル製薬会社に速攻でチクられます。なので

講演会で話をするだけで謝礼は100万、200万もらえる⋯×

この発言は准教授のものですから、教授になりたくて仕方ないのでしょうね。いざ、ご自分が教授になった時、ワクワクしながら講演会に招かれたが現実を目にしてガックリ、って姿が目に浮かびます。

やっと正しい発言が出ました

開業医の中には「あそこ大儲けしているね」的な卑しい話が大好きな人がいるのは事実です。じゃあ、あんたも努力しなよ、って言いたくなる、あるいは言っちゃった、私って開業医友達が少ないです。開業医が

彼の病院は生活保護を受けている高齢者が多く住む地域にある。生活保護者は病気がちな人も多く、薬もただでもらえるので、たくさん薬を欲しがるそうです。だから、その地域の薬局は大儲け。病院も高級住宅地にあるものより立派なところが多いそうです。

と発言しています。悲しいことですが、これは真実です。

生活保護を受けている高齢者が多く住む地域にある医療機関は大儲け⋯◯

もちろん赤ひげ先生的な開業医も多くいますが、生活保護を受け入れている医療機関での不正請求事件を新聞とかで見かけますものね。しかし、次の発言

モーラステープを100枚ももらう人がいる⋯×

なぜかというと、平成28年度診療報酬改定で湿布薬は70枚を超えてはいけないよ、と決められました。この准教授って、本当に患者さんを診察しているの???

こんな感じの嘘っぽい医療関係者ホンネ座談会を、業界の裏を暴露します的に扱っている週刊現代の記事自体の質が問われます。週刊現代の怪しさにご興味がある方へどうぞ⋯「飲んではいけない薬」はウソだらけ⁉医師でも医療ジャーナリストでもトンデモさんが多発❗

まだまだあるんですけど、この当たりで止めときますね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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