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トンデモ系医師のニューフェイス?「うがいにインフル予防効果なし」⋯これは誤解を招きますぜ❗

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別に「女性自身」、あるいは取材を受けられた医師に恨みがあるわけじゃないですが、記事の内容があまりにもお粗末、武士の情けでトンデモ記事にご協力された医師の方の名前は伏せます。

常識と思われていたインフルエンザ感染予防に関する内容です。

うがいは効果なし⋯でも、鼻うがいは効果あり、ってヤバいぞ❗

なんとうがいにインフルエンザの予防効果はないとの内容がネット上に公開されています。

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女性自身のサイトhttp://jisin.jp/serial/%E5%81%A5%E5%BA%B7%
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これってヘンテコじゃないの、医学的に裏付けあるの、と疑問を感じたのは以下の3点です。

1:うがいは効果なし

この医師はうがいはインフルエンザを予防する効果はない、でも「鼻うがいは効果的」と述べています。これって本当でしょうか?医学的な根拠があるのでしょうか?

2:マスクの着用方法で予防効果が違ってくる

ウイルスがマスクを通過するので、一定の効果以上は期待できない。マスクを装着しても隙間からウイルスが侵入する、との主張です。でも、マスクがインフルエンザを予防する効果ってそこじゃないんだけどね。

3:ビタミンCとニンニクで免疫力をアップしてインフル予防

ビタミンCが免疫力を活性化させ、ニンニクが抗ウイルス効果を発揮するので、ビタミンCとニンニクを積極的に食べよう、との仰っています。これもチト通常の医学的な考え方からはかけ離れているのです。

トンデモ系と思われる医師が述べた「インフルエンザ対策」、1〜3のどこがヘンテコかを解説してまいります。

この記事を書かれた、あるいは取材を受けた医師は別の記事で「アロマでインフルエンザを予防しよう」的な主張をされていますが、これも変です、というか非常にリスキーです。

女性自身「インフルの予防にアロマ」記事を信じると女性化乳房のリスクがあああ❗

女性自身「インフルの予防にアロマ」記事を信じると女性化乳房のリスクがあああ❗

女性はみんな大好きなアロマ。いい香りは男性女性問わず幸せな気持ちにさせてくれます。しかし、アロマオイルにもリスクがあります。びっくりするような副作用があるのです。アロマでインフルの予防という記事が週刊誌に掲載されていましたので、アロマの注意点を医師が解説します。


女性自身をお読みになって間違った予防方法を実践される方もいると思われます。効果が無いだけじゃなく、副作用等の心配もある危なっかしいトンデモさんの主張を、あえてブログにさせていただきます。

1:うがいは効果なし⋯「鼻うがい」で死亡者出ているんですけど

前述女性自身のサイトでこの医師はこのように語っています。

鼻の粘膜に付着したウイルスを洗い流すためには、医師の指導を受けたうえで、生理食塩水(0.9%の食塩水)で鼻うがいをするのが効果的です

あれっ、女性自身さん、この医師は「うがいは効果なし」なんて言っていませんぜ❗

ウイルスはのどや鼻の粘膜に付着し、増殖することにより感染します。これを洗い流すという意味では、うがいは効果的とも思えますが、

ってわざわざ書いてあるのにです。やっぱりトンデモ疑いをかけてしまっってごめんなさい、と0.1秒くらいは思いました。でもね、先生「鼻うがい」ってFDAが注意を促しているんですぜ。

鼻うがいで2名死亡しているんです❗

日本ではないですが、米国で鼻うがいをしたことが原因と思われる死亡事故が起きています。そのためにFDAはこんな記事を載せているのです❗

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FDAのサイト

青くした部分に「2名が脳の感染症で死亡」って書かれています。この場合、汚染された水道水を鼻うがいに使用したことが原因ですが、安易に鼻うがいを推奨するのはいかがなものでしょうか?いくら医師に相談しながら、と前置きをしていても「ぜひ、鼻うがいをしてください。生食処方しますね」なんて医師いるの???

おまけ:イソジンによるうがいの効果(上気道炎に対して)は否定されています。インフルエンザに対する効果はPCRなどの普及によって今後、うがい効果の論文が出ると予想します。

イソジンの効果はウソ?うがいをしても風邪の予防にならないよ❗

イソジンの効果はウソ?うがいをしても風邪の予防にならないよ❗

「ポビドンヨード」うがいが新型コロナ治療に効果期待できると大阪府が発表して話題になっています。ポピドンヨードはなじみのない言葉かもしれませんがイソジンという名称ならご存じの方も多いハズ。イソジンの成分であるポビドンヨードについての解説です。少なくともイソジンうがいは風邪の予防にはなりません。

2:マスクの着用方法で予防効果が違ってくる⋯マスクはそんなこと期待されていません

手術中にマスクをするのは、自分の飛沫物で手術野を汚染しないためです。風邪を引いた時にマスクをするのは他の人に感染を拡げないためです (「The effect of mask use on the spread of influenza during a pandemic.」Risk Anal. 2010 Aug;30 (8) :1210-8. などによる)。

この医師

マスクと顔の間に隙間があったりすると、飛沫はそこから入ってしまい、意味がありません。しっかりフィットするものを正しく着けてこそ、マスクは効果を発揮するのです

と前述の女性自身のサイトで述べています。だからマスクは効果がなし、は間違いです。

マスクをすることによって、湿気に弱いインフルエンザウイルスが繁殖することを予防する

これが拡散予防以外に風邪やインフルエンザシーズンに予防のためにマスクをすることの意義ですし

乾燥によって粘膜の機能低下が起きますので、マスクをすることによってこれを防ぐ

ことができるのです。

本当にウイルスの侵入を防ぐためなら、自衛隊の方々が生物兵器に対応するため使用するようは物でないと無理ですからね。

3:ビタミンCとニンニクで免疫力をアップしてインフル予防⋯調理しちゃったら効果なしです

ビタミンCもニンニクも元気が出たり、疲労回復に役立つイメージ強いですよね。ニンニクたっぷりのステーキで風邪なんか治しちゃう、って80歳過ぎの患者さんいますもの。でも、このドクターが述べている

にんにくに含まれるアリシンには抗菌・抗ウイルス作用があるので、にんにくを使った料理は効果的といえるでしょう

との記述と

緑茶や紅茶に含まれるカテキンは天然のワクチンともいわれ、ウイルスが体内で増殖するのを防ぐ効果があります

が気になってしかたないぞ(前述女性自身サイトより引用)。だってビタミンCにしろ、アリシンにしろメッチャ熱に弱いので、抗ウイルス効果があろうと、免疫機能を高めようと、料理として摂取したら失活しているですけどね⋯生で召し上がればそれなりの効果はあるんでしょうけど。

さらに、医学界では、あるいは代替医療方面では

カテキンって本当に天然のワクチンって呼ばれているんですか?

私の検索方法が要領を得ていない可能性ももちろんありますが、そのような記載・論文を見つけることができませんでした。「うちのおばあちゃんがカテキンって天然のワクチンって言っていた」レベルの話になっちゃうような気がしないでもないような気がします(ナンジャコリャ)。

おまけ:逆にカテキン危険、と主張するトンデモ方面の方もいらっしゃいます

ヘルシアで肝機能障害??カテキンに深刻な副作用は本当にあるの?

ヘルシアで肝機能障害??カテキンに深刻な副作用は本当にあるの?

トクホという不思議な分類に、医師としてはあまり好意を抱いてはいません。トクホの代表とも言える花王の「ヘルシア」によって肝機能障害が引き起こされて、さらにはヘルシア4本でマウスの75パーセントが死亡した!!という記事を見つけて「いくらなんでもそこまでは⋯」と考え、この記事が掲載されたサイトについて検証してみます

ヘンテコな医学風的な情報を垂れ流す一派にも様々な流派があるんですね(笑)。

女性自身と千葉方面にトンデモ警報発令中⁉

今回、女性自身でコメントしていた方は千葉県船橋の開業医さんです。先日取り上げた、自分の子供には薬を飲ませない(患者さんには出しているかい?)と不思議なことを主張されている小児科医さんも千葉で開業しています。

「自分の子どもに薬を飲ませない」小児科医さん、 芳しいトンデモ臭がプンプンです。

「自分の子どもに薬を飲ませない」小児科医さん、 芳しいトンデモ臭がプンプンです。

「自分の子どもに薬を飲ませない」という鳥海佳代子医師の主張にたいして意見させていただきます。子育て中の親御さんにとって一番心配なのは子供の病気です。そんな悩める親御さんに対してニセ医学テイスト溢れた非科学的発言・記述を世にばらまき、不安を増長させ、さらに間違った方向に導くのはもはや医師とはいえません。

今、千葉方面ではトンデモ医師さんの旬の季節なんでしょうか?

取材を受けて自分の伝えたいことと全く違う方向性の記事になっちゃった、と嘆いている医師も多数です。この船橋の開業医さんも「取材時に話した内容と違う」との結果になっていることを心からお祈りいたします。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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