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尿管結石症の方に朗報⁉さあ、ジエットコースターに乗ろう⁉

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一生のうちに10人に一人は経験する、と言われている尿路系の結石。その痛さって言ったら人類が経験できる痛みのベスト3に入るという説もあります。そんな痛みの王様ともいえる尿道結石の痛み対策として医療機関でできることは限られており、痛みをその場で綺麗サッパリ取る術は残念ながらありません。ですが、ひとつ朗報があります❗

厄介な腎臓結石、痛みの王様「尿管結石」の新しい治療法⁉

「痛みの王様」尿路結石の発作は繰り返すことが多いです。しかも治療法はイマイチです。

「痛みの王様」尿路結石の発作は繰り返すことが多いですが、治療法はいまいちです。

「痛みの王様」尿路結石の発作は繰り返すことが多いですが、治療法はいまいちです。

痛い尿路結石は、無事治療できても再発率が高く、二人にひとりは再発すると言われています。できれば一生経験したくない尿路結石ですが、10人に1人が経験すると言われています。別に命を落とすわけではないということで後回しにされてきた尿路結石の治療や予防法ですが、これから進歩していくはずでう。

尿管結石の発作の痛みに対して、医療機関ができることと言ったら
「痛み止めの投与」
「排石を促す点滴」
「結石を溶かす薬の投与」
くらいしかありませんでした。

そう、痛みに悶え苦しむ患者さんに対して、その場でスッキリさっぱり痛みを消し去ってあげたいのですが、決定的な治療法がありませんでした。

そんな腎結石にお悩みの患者さんに朗報があります。

それは

腎結石を自然排出するにはジェットコースターに乗ろう❗

という提案です。

ジェットコースターに乗って尿路結石を出す

何を言ってるの?冗談でしょって思われるかもしれませんが、マジメな話なんです。

昔々、まだ医師が尊敬されていた頃は「水をいっぱい飲んで、縄跳びをすると石が出やすいよ」とのたまっても許されていました。現在は医師の立場が非常に弱くなったために、そんなこと言ったらネットに悪口を書き込まれるだけではなく「病人に縄跳びをしろと、いい加減なアドバイスをされた。縄跳びで石が排出しやすいとの医学論文を提示せよ」的なことまで言われかねません。

少しでも患者さんのご機嫌を取ろうと「ビールでもいいですから、水分をいっぱい摂って、石を洗い流すようにしてください」と言っていた医師もいます⋯でも、これは再発を招いてしまう可能性があります。

腎結石の患者さん,今まで間違った指導をしてきてごめんなさい

腎結石の患者さん,今まで間違った指導をしてきてごめんなさい

腎結石や尿管結石は激痛なので一度発症してしまった人は二度とかかりたくないはずです。ですが治療後に再発する確率は非常に高く5年以内で二人にひとりと言われています。結石予防の定番は水分を多くとることです。ただ水分といってもNGな飲み物があります。

痛みに苦しむ結石患者さんのご機嫌を取ろうと、今度はジェットコースターかい、と思われた方もいるかもしれませんが、これちゃんとした医学論文になっているんです。

ジェットコースターで腎結石を排石させる、という論文はこれ

衝撃的な(?)医学論文は「Validation of a Functional Pyelocalyceal Renal Model for the Evaluation of Renal Calculi Passage While Riding a Roller Coaster」(J Am Osteopath Assoc. 2016 Oct 1;116(10):647-52. doi: 10.7556/jaoa.2016.128.)です。ジェットコースターに乗った患者さんの「石が出やすいみたい」との言葉に触発された医師がディズニーワールドのビッグ・サンダーマウンテンとスペース・マウンテンを舞台に果たしてジェットコースターは腎結石の排出を促すかを実験しました。

方法は、3Dプリンターで製作した腎臓のモデル。この腎臓の模型に尿と石を入れて、ジェットコースターに乗りました。

3Dプリンタで作られた腎臓のモデル

http://www.corespirit.com/health-benefit-riding-roller-coasters/

これが3Dプリンターで作った腎臓の模型です(実際は腎臓の一部である腎盂腎杯)で、これに石と尿を詰め込んで、バックパックに入れてジェットコースターに乗ったようです。

ジェットコースターに60回乗って試した結果、後方の座席に乗った場合の排石率はなんと64パーセントに達しました。

やっぱり海外の泌尿器科医も結石の患者さんには気を使うのね

この論文から読み取れることは、米国の泌尿器科医が単にジェットコースターに乗りたかった、ということは確実です(笑)。それ以外は結石で苦しんでいる患者さんに、気を使うあまり「まあ、ジェットコースターに乗るって治療法もありますが」的に苦し紛れに言ってもエビデンスもあるし、と言い張れることくらいでしょうか?

この論文は「再発を繰り返す尿路結石に悩まされている方は、石が小さいうちに排石される方法として、ジェットコースターに乗ることで痛みの発作を防ぐことができる」ということです。

しかし、どんなに小さい石であっても排石するとき、メチャ痛みを伴うこともあります。腎結石が見つかって、どうしても排石したい場合は体外衝撃波(ESWL Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy)での治療が一番だと考えます。

実はあるんです、尿管結石を早く出す裏技

腎臓に石がある限り痛みの発作が起こることはありません。石が尿管に落ちてくることによって、激痛が生じます。その石さえ早く取り除くことができれば、痛みの発作は解消します。現在、勉強している泌尿器科医は、αブロッカーを尿路結石の痛みに苦しむ患者さんへ痛み止めと共に処方します(保険適用的には問題あるんで、薬の名前は控えます)。

この薬は前立腺肥大症に使われるので、前立腺肥大で狭くなった尿の通り道を広げる効果があります。なんせ古い薬のために、前立腺だけじゃなくて、血管まで拡張してしまうために、副作用として起立性低血圧を引き起こしてしまいます。そのため現在では、血管には効果を発揮しないで、前立腺のみに集中的に効果を発揮する薬が前立腺肥大症の治療の中心となっています。

この治療方法は尿管結石の排石促進剤として「尿管結石症 ガイドライン」(日本泌尿器科学会)にも掲載され推奨されてているのですが⋯女性に「前立腺肥大症」と病名をつけるわけにもいきませんし、20歳代の男性でもその病名はつけるのも問題です。治療方法があるのに保険適用されない、この現実に悩まされた泌尿器科医は「予防としてジェットコースターがいいらしいよ」と囁くしかないのです⋯。

今回、論文にリンクしてありますが、気を利かせてPDFとしてダウンロード可能ものをチョイスしました。どなたか論文片手にディズニーランドの入場料を医療費控除として税務署に申告してくださいませ、責任の一切はミシガン大学のDavid Wartingerさんにありますw 

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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