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ハイテンションで徹夜をすると花粉症が治る説を医学的に検証⁉

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知人のおじさんがノリノリで仕事をしていたら徹夜になってしまったそうな。そしたら、このシーズンに毎日毎日苦しめられている花粉症の症状がピタリを治っているんだって。

徹夜すると花粉症の症状が出ないんだよ⁉

たまたまなんじゃないの的に始めは受け止めていました。

しかし、このおじさん(科学的な思考回路は十分に持っている)のつぶやきを「素人さんの言うことなんて相手にしないで」なんて考え方じゃ医学は発展しません。ちゃーんと皆さんのお客様の個人的な感想です、であっても一考してみるのが正しい町医者の姿勢です(ちょっと気張りすぎ)。

ハイテンションで徹夜すると花粉症の症状が出ない❗との医学的に非常に興味がある現象に対して、いくつかの仮定を考えて見ました。

  1. 仕事場で徹夜で仕事しているのだから、外気中の花粉症は吸入していない
  2. アレルギーには自律神経が関わっているのでその状態に何か花粉症を抑えるメカニズムが働いた
  3. 花粉などは最終的に床に落ちるので、仕事をしている姿勢だと花粉を吸入しにくい
  4. 薬を飲んでいるから症状が治まっているだけ
  5. たまたま症状が出なかった

以上の5つが頭に浮かびました。これらを医学的・科学的に(苦笑)検証してみまーす。

花粉症のアレルゲンに接触していないから花粉症が治った

春の花粉症は主にスギとヒノキの花粉がアレルゲンとなって、目や鼻あるいは呼吸器の粘膜に触れることによってアレルギー反応が起きることによって発症します。今回のハイテンションで徹夜して花粉症の症状が出なかったおじさんの場合、前述1と3によって花粉に接触しなかった、と考えられます。要するに花粉のない北海道に行けば、花粉症が発症しない現象と同じです。

しかーし、このおじさんはお客さんを相手にする仕事であり当日は千客万来であったために、仕事が増えて徹夜に至ったのです。となると、仕事場のドアが開くたびに花粉は侵入してきますし、お客さんの衣服に付着した花粉も室内に入り込んできます。ですから外気中の花粉に感作される可能性は低く、室内にあった花粉が床に落ちたとしてもお客さんの髪の毛や肩などに付着した花粉に接触しなかったとは考えにくいです。ということは、「ハイテンション」との言葉に徹夜すると花粉症の症状が出なかった秘密があるかもしれません。

ハイテンション状態だと花粉症の症状が出にくい

人間の神経には興奮状態である交感神経優位な場合とゆったりリラックス状態になる副交感神経優位な場合があります。交感神経と副交感神経がバランスを取りながら日常生活を送っている人間ですが、一般的には昼間は活発に活動するために交感神経が優位であり、夜になるとリラックスして睡眠に入れるように副交感神経が優位となります。

アレルギー症状は副交感神経が必要以上働くと症状が強く出ます。鼻水や涙といった花粉症の主な症状は副交感神経が興奮しているから出るのです。このおじさんは徹夜で交感神経が亢進している上に大好きな仕事をハイテンションでこなしていたので、交感神経が異常に亢進した状態であった可能性が出てきます。

このメカニズムによって花粉症の症状が落ち着いていたとすると、一仕事終わってビールでも飲んだら途端に花粉症地獄を見る羽目になるはずです。

薬を飲んでいた、あるいはなにがしかのプラセボ効果が出ていた

毎日服用するべき薬であっても、28日分処方されたのになぜか一ヶ月以上経過しても薬が余っちゃう人っています。その逆で「あれっ、今日は薬飲んだっけ?」と認知症方面の疾患を患っていなくても薬を飲んだか飲まなかったか忘れちゃうことがあります。服薬指導上は飲んだか飲まなかったかが不明の場合は飛ばす、つまり二回飲むことを避けるのが基本です。

しかし、近年眠気がこないとして多用されている抗アレルギー剤であるザイザルは基本は1日一回の服用ですが、症状に応じて二回飲むことが可能です。今回のハイテンションで徹夜したら花粉症の症状が出なかったおじさんの場合、服薬していたかいないのかは現時点では不明ですが、言葉のニュアンスからは4である通常は服薬しているしかし、症状が100パーセント治っているわけではない、今日の時点では症状がピタリと治っていることも考えられます。前掲の仮定の4と5ということになりますね。

またプラセボ効果もあり得ます。花粉症を心配した家族の方が「お父さん、このお茶って花粉症に効果あるんだって」とか「ヨーグルトって花粉症にも効果があるんですって」などの愛情あふれた言葉によってプラセボ的に花粉症が治っている可能性もあります。まあ、せっかく家族の方が教えてくれた食材を忘れちゃっていたら、それはそれで家族内で一悶着起きそうではありますが(笑)。

画像

https://tenki.jp/pollen/3/16/

今回の徹夜でハイテンション状態で仕事をしていたら花粉症の症状が出なかった、という非常に短い情報でも雨の降る休日の有意義な使い方ができました。明日は花粉症は「やや多い」そうです。明日に向けてハイテンション状態で徹夜する、なんて花粉症対策を試してみたらいかがでしょうか?仕事が終わってビールを飲んだら、多分リバウンド的に涙だらだら鼻水ズルズル状態になっても当方は責任は負えませんけど。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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