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「乳酸菌」生きてる派の森永製菓vs死んでても大丈夫派の森永乳業、どっちが正しいの?

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森永製菓が生きている乳酸菌を詰め込んだチョコレートを販売してちょっと話題になりました。とにかく乳酸菌は生きていないと意味がないって考え方のようです。でも、森永グループの森永乳業は死んでいる乳酸菌の効果を全面に押し出しています。

森永乳業「加熱した死んだ乳酸菌でも効果あり」

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http://www.morinagamilk.co.jp/sozai/shield/shield.html

右上に「加熱殺菌菌体」と小さい字で書かれていますので、死んだ乳酸菌と考えて間違いないです。一方の森永製菓はこんな感じです⋯

森永製菓「生きている乳酸菌じゃないと意味ない」

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https://www.morinaga.co.jp/company/newsrelease/detail.php?no=1363より

明らかに「生きている」ことを強く表現していますよね。

ビフィズス菌は乳酸菌の一種類ですから、森永製菓と森永乳業は真逆の主張をしていることになります。以前から乳酸菌は生きていようが死んでいようが効果に違いはない、との考え方もあります。果たしてどっちが正しいのか検討してみまーす。

乳酸菌は生きていなければ意味ないじゃん、は思い込みかも

乳酸菌が人体に及ぼす影響として、お腹の調子を整えることは以前から言われてきました。近年、お腹の調子だけでなく免疫力にも強く影響を及ぼしているんじゃない、との研究が進んでいます。森永乳業の「シールド乳酸菌」は加熱処理した乳酸菌ですので、当然死んだ乳酸菌です。このシールド乳酸菌(すごいネーミング)は免疫力にズームアップしています。森永乳業のサイトによればインフルエンザの感染さえ抑制するようです。

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前掲森永乳業サイトより

まあ、この研究はマウスを使ったものですから、そのまんま人間に適応するのかは不明ですね。森永乳業以外の乳製品メーカーも最近は腸内細菌を整えることによって免疫力が上がる、ってフレーズを使いまくっています。

乳酸菌は死んでいても体内に取り入れらるともともと腸内に住み着いていた善玉菌のエサになる、という考え方があることは以前ブログで紹介しました。

死んだ乳酸菌でも効果がある⁉それならあの恐怖の「糞便移植治療」はどうなっちゃうの??

森永乳業的には死んでいる乳酸菌でも免疫力アップするらしいです。

生きている乳酸菌を強調する森永製菓

お菓子も乳製品も作っているメーカーとして森永以外に明治があります。明治乳業と明治製菓は今では明治に統一されていますが、森永は製菓と乳業は兄弟会社として扱われています。明治の方も製菓は生きている乳酸菌派であり、乳業の方は死んでいる乳酸菌派だと、乳業VS製菓って図式が成り立って面白そうな話ができるのですが、R1シリーズに代表されるように明治は生きている乳酸菌一本槍のようです、残念。

森永製菓と森永乳業の年間の売り上げを比較すると乳業6000億、製菓1800億で乳業の方が断然多くなっています。兄弟会社として乳業には負けたくないぞ、との気負いからか乳酸菌に対する考え方が真逆になっている可能性も考えられますね。

食品ってどうしても新鮮である方が好まれますが、実際に生きているものをそのまま食す機会って普通は滅多にありません。しかし、イメージを先行させた場合「死んだ乳酸菌」よりは「生きている乳酸菌」の方が明らかにアドバンテージがあります。

森永乳業とは反対に森永製菓的には乳酸菌は生きているからこそ価値があると考えているようです。

腸内を善玉菌だらけにすれば健康なのか?という素朴な疑問

以前は乳酸菌をいかにして生きた状態で腸内に届けるかを各社しのぎを削って研究をしていました。森下仁丹はカプセルに乳酸菌を詰める方法で一世を風靡したこともありましたっけ。しかーし、元祖腸内細菌研究家の光岡知足さんは実は死んでいる乳酸菌支持者なんです。

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http://www.daiwa-pharm.com/info/mitsuoka/6459/より

こうなってくると話は非常に複雑になってきます。そこで素朴な疑問が出てくるのです。果たして腸内細菌って善玉とか悪玉とか決めつけちゃって良いのか?という疑問です。

人類の長い歴史において腸内細菌が健康を一定レベルで左右したのは間違いないと考えます。しかし、

単純に善玉菌を増やして悪玉菌を制圧することが健康に良いことなんでしょうか?

水素水信者さんが強く主張する悪役「活性酸素」ですが、この活性酸素は人体を守る働きもしているのです。善玉菌だけで腸内を埋め尽くした場合、どれだけ免疫力が上がり寿命が伸びるかはまだまだ研究途上にあります。

さらに今現在個人個人の腸内に存在する菌はその人の人生においてなにがしかの理由で定着している可能性もあります。長年住み着いたその人特有の腸内細菌を構成する菌類が外から取り入れた善玉菌によって簡単に構成要素を変化させること自体かなり難しいような気もします。

色々な乳酸菌を食べてみて、お腹の調子がいいなあと感じたものを見つけるしかないと考えます。この乳酸菌を食べると免疫力がアップ、ってのはまだ研究途上にあることにご注意ください。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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