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梅雨前線が近づくと脳梗塞が多発⁉気候と脳梗塞の意外な関係。

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私はなぜか脳梗塞恐怖症なんです。

理由は判然としないし、家族歴でも脳梗塞はないし、脳梗塞のリスク群である高血圧でもないし、糖尿病でもないし、心房細動もありません。

脳梗塞って寒い冬に多発しやすいイメージだったのですけど⋯

以前、病気と気候の関連性についてこんなブログを以前書きました。

季節の変わり目、特に低気圧や台風は痛みなどの体調不良と関連があるのか?「低気圧と体調」の関係について。

季節の変わり目、特に低気圧や台風は痛みなどの体調不良と関連があるのか?「低気圧と体調」の関係について。

季節の変わると体調が悪くなる人もいれば良くなる人もいます。季節の変わり目における気温の変化は、服装でカバーできますが気圧の変化への対応は難しく、この気圧の変化がキーポイントなのです。低気圧や台風で頭痛や関節痛を引き起こす原因は、気圧の変化に体が対応しきれないためです。体調不良と気圧の関係について医師が解説します。

またこんなのも書いて喘息のお子さんをお持ちの母親にすっげー勢いでおこられました(涙)。

台風や低気圧で「喘息発作」が増えるという都市伝説

台風や低気圧で「喘息発作」が増えるという都市伝説

低気圧は喘息を悪化させている?体調不良を誘発させる低気圧ですが、台風が近づくと喘息発作が増える理由は低気圧という説(都市伝説)があります。そもそもなのですが喘息発作はウイルスによる「鼻かぜ」が流行る秋に増えがちなことに加えて台風シーズンと被っているわけです。台風(低気圧)が直接関係しているといえるのか医師が検証します。

寒い冬のあとに春が来ましたが、あっとまにすぎて嫌な季節である梅雨がやってきます。脳梗塞の発症って季節変動があるのか?と素朴な疑問を抱いて調べていたら意外な結果となりました。

  • 寒い冬が脳梗塞が一番多い季節⋯これは間違いのようです
  • 脳梗塞と前線の深い関係⋯これは全く知りませんでした
  • 脳梗塞は遺伝する傾向がある⋯これも間違いのようです

自分で知っているようで知らなかった医学知識、自分の無知を晒すようなことなんですが、ぜひ全国の脳梗塞恐怖症のかたと情報共有したいと思います。

脳梗塞は冬だけでなく、夏でも多発するんだよ❗

開業医をやって経験的に脳梗塞って冬場に起きやすいと思いこんでいました。でも、でも調べてみると冬以外にも脳梗塞が発症しやすい季節があるんです。

節電の夏 脳梗塞にご注意ください

https://www.ncvc.go.jp/pr/release/004134/

国立循環器病研究センターが出しているグラフを見ると冬に確かにピークがありますが夏場のほうが脳梗塞を発症する人が多い❗ことがわかります。冬は寒いので血管が収縮して、動脈硬化が進んだ血管の中に梗塞をつくることはそれなりにわかりますが、なぜ夏なんでしょうか?それは水分不足なんです。夏場になると熱中症への注意として水分補給をうるさいくらいテレビなどでいいますが、脳梗塞の予防策として水分補給は必要なんですね(水分のとりすぎが原因で夜間尿となって来院する方多いですけど)。

意外だった梅雨前線と脳梗塞の深い関係

なんと、日本の研究者の手によるこんな研究結果が発表されていました。「気象前線通過、脳梗塞に注意を」(メディカルトリビューン2017年4月20日号)、メディカルトリビューンはネットでも見ることができますが、会員制なんで内容をざっくりと書き連ねてみます。

  • 広島の病院に脳血管障害で入院した患者さん3935人について調べた
  • その中で脳梗塞の患者さんは81.2パーセント、脳出血の患者さんは18.8パーセント
  • 気象庁のデータをもとにして脳血管障害の発症頻度と温度と前線通過の関係を調べた

広島大学大学院脳神経内科学の下村怜先生の講演内容を私が独自に整理したものであることをお断りしておきます。

その結果

脳梗塞の発症6日前に寒冷前線が、発症前日に温暖前線が通過していた❗

との意外な結論が統計学的に有意に認めらたのです。

梅雨前線って停滞前線です。しかし、気象庁の方にお尋ねしたところ梅雨前線って将来的には温暖前線に変化するらしいので⋯・脳梗塞恐怖症の私の背筋に冷たい汗がタラーリ。

脳梗塞って遺伝はしないのね❗

将来どんな病気になるかを遺伝子検査それも郵送ってのもあるようです。遺伝子を調べることによって生活習慣を気をつけよう、という意見もありますが、どうせ遺伝子できまっているんだから無駄な抵抗しないぞ❗との極論もあります。

私の知る範囲では通販型遺伝子検査ってある特定の病気以外は占いレベルに感じてしまうもの多しです。

遺伝子検査で病気のリスクを予測することは可能、しかし結果が判ったところで予防方法が無い病気も多数ある

遺伝子検査で病気のリスクを予測することは可能、しかし結果が判ったところで予防方法が無い病気も多数ある

まあ、通販型郵送遺伝子検査でも脳梗塞のリスクは多分分析できるのでしょうけど、結論的には影響を与える因子が多すぎて、遺伝というよりは生活習慣によってリスクが高まることが知られています。

現時点で脳梗塞が遺伝する、との考え方はスタンダードではなく、親子で脳梗塞になった場合はライフスタイル、食事の好み、そして糖尿や高血圧・高脂血症の影響の方が大きいと考えて差し支えありません。脳梗塞の予防には抗血小板作用のあるバイアスピリンを服用するって方法があります。しかし、当然作用機序として血が止まりにくくなるために、脳卒中の一つである脳出血を起こした場合はかなり厄介なことになります。

このバイアスピリンですが保険診療上は脳梗塞の再発予防・心房細動による血栓予防が適用なんですけど、なぜか私は40歳になった時点から毎朝欠かさず飲んでいます(おまけ パイアスピリンって大腸がん予防作用があるとの論文多数)。

脳梗塞を異常に恐れる私の対応を見て多くの医師の知人に笑われていますが、後輩に「先輩、脳梗塞予防のエビデンスって無いですよ」と小馬鹿にされた時はかなり頭に来て、脳の血管が切れそうになりました、もちろん脳出血を起こさない程度ですけどね。

しかし、脳梗塞ってこれからの季節、前線が通過した翌日に発症しやすい、これはメモメモです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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