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脱毛で火傷の被害が続出❗エステだけじゃなく、なぜ医療機関でも被害者続出したのか?

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昨日は休診日でしたので、のんびりとテレビを眺めていたところ「脱毛で痛みや火傷多発」とのニュースが流れました。

脱毛でやけど多発報道を見て驚いた、医療機関でも多くの被害者が❗

エステや医療機関での脱毛でやけど等の被害が相次ぐというニュース

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20170511-00000060-nnn-soci

脱毛施術で964件もの火傷などが発生していたのです⋯さらに驚いたことは964件の被害のうち医療機関での脱毛による被害が約30パーセントも起きているではないですか❗なんとも情けない医療機関における脱毛被害。

国民生活センターは平成29年5月11日付けでこのような報道資料を作成しています。

脱毛による被害件数のグラフ

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20170511_1.pdf

この資料を読むと2012年から5年間で964件の脱毛による被害(国民生活センターは危害との言葉を使用しています)の相談があったようです。

最初の報道を受けて「またエステねえ」的な反応だった私もこの資料を見て「こりゃ大ごとだ❗」と早速当院における脱毛施術状況を美容担当医師に確認しました。当院は現在は積極的に脱毛を行なっていませんので、健康被害あるいは患者さんの不満は出ていませんでした。

脱毛は医療機関は安全、エステは危険は間違った常識?

法律を厳格に解釈した場合、エステティックで脱毛をすることは違法です。以前はエステティック業界はなかなか面倒なロジックを使って、エステでの脱毛は脱法行為ではないと主張していました。

エステの脱毛行為に対して、激しい避難・抗議を行なっている美容クリニックもありますが、当院の基本姿勢は無視

これだけ情報が溢れている美容医療、特に脱毛の宣伝広告はSNSにも出てきますし、電車内の広告も見かけますし、テレビCMまでもあります。若い女性は誰でも脱毛をしたくなってしまう環境に置かれています。エステでレーザー脱毛は明らかに違法ですので「光脱毛」と呼ばれる機器を使用しています。医療機関はレーザーと光脱毛の両方の機器を揃えているところが一般的です。

そうなると彼女たちはネットを駆使して、いかに安く脱毛をするか検索するはずです。私は吟味して調べての上の行動なのだから、正規品のヴィトンのバックを頑張って買うか、パチモンのヴィトンを買うかの違い程度に捉えていました。

このたとえ話を当院でお嬢さんが脱毛をしているお父さんにしたところ、もの凄い勢いで叱られたのです。「先生は仕事にプライドを持っていないのですか?パチモンのソフトが流通しているのを多めに見るんですか❗」って感じでした。

お父さんはソフトの開発会社を経営していた方です。ヴィトンのバッグのたとえもあまり上手なたとえ話ではありませんし、脱毛治療中のお嬢さんをお持ちのソフト会社お父さんのたとえも今ひとつですが、なんとはなーくイメージは伝わって来ると思います。親としてはエステより医療機関の方が安心・安全と考えるのです。

当院でも以前は全身脱毛を行なっていた時期がありますが⋯

医療用レーザー脱毛機が当院には数台あります。かなり以前ですが、治療する側もどうしても新しい機種を使いたがる傾向があるためにちょっと古くなったレーザー脱毛機(古いといっても発売されてから5年程度、美容医療系の機器は数年で過去のものになります)が遊んでいるような状態になっていました。

そこで私は「全身脱毛一年間何回通院しても○○万円」という案を考えて、これが噂が噂を呼んで、予約が入らないような状況になってしまいました。とにかく料金を下げれば患者さんは集まることが実証されたのはいいとして、予約が入らない、予約が入りにくいなんて話が広がったら予約金だけ集めて倒産しちゃう悪徳エステ脱毛のように思われてしまいます。

混雑を解消するためにレーザーではなく、その当時流行りだしていたIPL(光脱毛機)を数台導入しました。

当院も患者さんに迷惑をかけたことがあります

光脱毛機はIPL(Intense Pulsed Light)と呼ばれる光の熱を利用して脱毛をする機器です。このインテンス・パルス・ライトは、コンデンサ等を用いキセノンランプを極短時間のみ強烈に発光させた光です。

医療用のIPLはエステで使用されているIPLよりかなりパワーが高いものです

確かに効果もあり、短時間で広範囲を脱毛することが医療用IPLは可能にしてくれましたが、問題は火傷の発生率の多さ。

いくら脱毛器の欠陥であったとしても、残念ながら非常に小さな範囲ですが火傷になってしまった患者さんが2名連続で出てしまいました(火傷の被害を受けた患者さんには心から謝罪いたします)。当院は皮膚科も形成外科もありますので、火傷の被害は患者さんを長年苦しめることにはならなかったことで胸をなでおろしました。

欠陥のあった、このIPLは某隣国製でした。私は隣国の医療機器をあまり信頼していなかったので、機種選定の一環として半島方面の某国のIPL製造会社まで直接訪ねて技術担当者とも工場でお会いして、複数回会食を共にしました(費用は私が払いました)。

非常に優秀であり誠実な技術者のいる会社ですから、当然脱毛機もしっかりしたものだと思っていたのです。火傷のトラブルがあったので、その会社の複数の技術者と連絡を取ろうとしたら既に退職。あの国の特徴として優秀な技術者はさっさと米国に行ってしまう、とのことでした。今回多数の被害者を出した脱毛機に欠陥があったのか、施術者のミスなのか、これは報道ではわかりません。

現在、このIPLは全て当院の倉庫にひっそりとしまわれて、だーれも見向きもしない状態です。

脱毛をやるならエステか医療機関か、どっちが正解?

毛根までしっかり破壊して永久的な脱毛効果(永久という言葉の使用は禁忌)を求めるのなら、当然医療機関を選択するべきです。先ほど私がエステの脱毛は違法と書いたのは、しっかりと脱毛をすることをさしています。国民生活センターの考え方はこのようになっています(厚生労働省の考え方は若干違っています)。

国民生活センターに掲載の医療脱毛とエステ脱毛の違い

国民生活センターサイト

エステでも「光脱毛」は行なって良いとの判断になっています。しかし、ここで一つ問題が発生するのです。医療機関は地元の保健所に始まり最終的には厚生労働省の管轄になっています。これは常に監視され指導される立場であることも意味しています。

しかし、エステを管轄する役所ってあるのでしょうか?健康被害、脱毛によるやけどなどの被害が起きた場合、考えようによっては速攻で警察沙汰になってしまうはずです。だから国民生活センターは「危害」という表現をしているんじゃないかな。

イメージ的にはエステは料金が安い、医療機関は料金が高いけど確実に脱毛できると捉えている方が多いと思われます。しかし、医療業界もエイジングケアブームに乗って美容皮膚科が乱立していますので、経済の原則として価格が安くなる傾向があります。

ひょとすると医療機関でもエステなみあるいはエステ以下の料金で脱毛可能なところが出て来るかもしれません(既にあるかも)。万が一のことを考えると医療機関の方が安心だと判断して良いのではないでしょうか?

追記:2023年より医療脱毛を復活させました。その理由は男性の脱毛について考えてみた。五本木クリニックで医療レーザー脱毛を再開する理由!をご覧ください。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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