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ヘルスケア大学さま、走りながら間違いを訂正するのは、かなり厳しいかと。

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私が先日から数回に渡って医師が監修するヘルスケア情報サイト、とのキャッチフレーズを使用している「ヘルスケア大学」「スキンケア大学」(リッチメディアという会社が経営運営)の医学情報の間違いを指摘してきた大きな理由は

間違った医学情報を鵜呑みにした読者がそのうち健康被害を受ける可能性があるからです

今現在、健康被害を受けたと思われる患者さんには幸いにして遭遇していません。

ヘルスケア大学さま、走りながら医療記事を精査しつつ、改善する⋯本当にそんなこと可能?

先日から数回ヘルスケア大学及びスキンケア大学を運営しているリッチメディアさんの数名の社員、そして社長と面談しました。私がこんないい加減な記事を撒き散らしているのだから、一度閉鎖して再スタートを切った方が読者のことを考えるとよろしいのでは?と提案した時の回答が

走りながら、精査して訂正してまいります

でした。社長によれば記事の数は数万ページに達するとのこと、そんなこと可能でしょうか?と問い返すと、サイトの構造を変えて、社内のチェックシステムも見直して、何月までに達成します、とのお答え。

数万ページの医療記事を精査して、コピペはないか、パクリはないか、元となっている医学論文を探してそれを読み込み記事に間違いがないか、期限まで達成できるんでしょうか?(膨大なコストを負担してあえてやります的な発言も気になりましたが)。ちなみに医学の教科書は500ページ程度であっても、作成するのに数年の歳月を要します。

15分間で大量の医学的間違いを発見、ヘルスケア大学、やっぱり一度閉鎖するべきですよ

ヘルスケア大学等の間違いを指摘してきましたが、ヘンテコなサイトの医療記事の無料添削をすること自体がバカバカしくなり、ヘルスケアに関するブログはもう書かないようにしようと考えていました。見納め的に私の守備範囲の泌尿器科、それも

膀胱炎の記事だけを読み飛ばしていたら、出てくるわ、出てくる間違いのオンパレード❗

当院に於ける保険診療の患者さんで一番多いのが泌尿器、特に膀胱炎は女性に多く発症する傾向がありますので、ヘルスケア大学の間違いをこのまま放置しておくのは、当院の患者さんにとっても不利益になると考え、泌尿器科それも膀胱炎の記事中の間違いをいくつか提示します(全部はやめておきます、だって膀胱炎だけで100記事以上あるんですから)。

明らかにパクって構成された記事については、社長に直接お伝えしましたので、今回は医学的なそれも初歩的な間違いの指摘に留めておきます。また、医師監修の医学記事がどのように作られるのかを説明した後述の豆知識を読んでいただけると、監修医師個人を批難することも、監修医師個人の責任問題も現時点では対象外です(私は法の専門家ではありませんし、聖人君子でもありませんので)。

医学的な間違いは健康被害の原因になるし、ヘンテコな文章はライターさんのレベルの問題?

15分程度、泌尿器系それも膀胱炎の記事だけをサラサラと読んだだけで、これだけの間違いや恥ずかしい文章がありました。

●膀胱炎とは?膀胱炎の症状(http://www.skincare-univ.com/article/005449/)

膀胱炎とは、尿管から入り込んだ大腸菌などの細菌が膀胱内で増殖してしまい、膀胱内の粘膜が炎症を起こす病気です。そもそも私たちの周囲には、常に細菌が存在しています。それは尿管周辺も同じです

尿管は腎臓と膀胱をつなぐ管状の器官であり、尿管は腎盂腎炎を起こしていない限り無菌状態です。標準医学の考え方は細菌が入り込むルートは外尿道口からです。尿管の周辺に常に細菌が存在していたら、腹膜炎それも手強い後腹膜炎を発症していることになってしまいます。

●膀胱炎の症状 (1) 血尿など尿の変化(http://www.skincare-univ.com/article/005450/)

膀胱に入った細菌と戦うために集まった白血球や炎症ではがれた膀胱の粘膜、さらには炎症部分の分泌液などが尿に混じることで起こります。濁りは膀胱炎のどの段階でも見られる症状です。

濁りは膀胱炎の初期では肉眼では認められないことも多いですから、どの段階でも尿の濁りとの表現は医学的に間違っています。だからこそ、検尿してウロペーパーなどを使って汚染度などをスクリーニングします。普通トイレで排尿した時、濁りに気がつきますか?確かに昔の教科書では膀胱炎の特徴の一つとして「尿の濁り」がありましたが、当時は和式トイレであり今はほとんどが洋式であることを考えると、かなりの膿尿状態にならないと尿の濁りには気がつかないと考えます。

●急性膀胱炎の症状と原因(http://www.skincare-univ.com/article/005457/)

急性膀胱炎は、細菌による感染症で、細菌が尿道から膀胱に入って炎症を起こします、原因となる菌は大腸にいる大腸菌や腸球菌、皮膚・粘膜にいるブドウ球菌、連鎖球菌などです。圧倒的に多いのが大腸菌で、まれにクラミジア(性感染)のこともあります。

えええっ、膀胱炎=細菌によるものとは限りません。膀胱炎を細菌による感染症と仮に定義したとしても、この医療記事は間違いです。だってクラミジアってどんな微生物学の教科書でも細菌には分類されていません。

●膀胱炎の症状が出たら何科を受診するべき?(http://www.skincare-univ.com/article/005470/)

膀胱は、排尿を担当する泌尿器ですので、専門の診療科は泌尿器科です。

これは⋯文章を書いたのは小学生ライターでしょうか?医学的間違いというよりは、原稿を作成したライターさんのレベルが疑われてしまいます。さらに監修した時に医師は見逃したのでしょうか?私もブログで時々ヘンテコな文章を書いてしまって大恥かくことありますが、これはちょっと。監修医師の方の不利益になりかねないかと、余計なお世話的に心配になってしまいました。今、日本で小中生の理系の学力レベルの低下が問題となっています。文系のレベルもかなり低下しているんでしょうかね?

豆知識:医師監修とはこんなことだそうです

これは先日、社長にお会いした時にお答えいただいたものです。
社内、あるいは外部ライター、あるいはクラウドソーシングを使って医療記事を書く → 医師にその原稿を見せる → 社内でもう一度読み直す → ヘルスケア大学、スキンケア大学に医師監修として公開する 

このような流れとリッチメディアの方(確か社長の発言だった)説明を受けました。クラウドソーシング使うって昨年大問題となった健康情報サイトと同じじゃん❗

●治らない・繰り返す膀胱炎の原因と対処法(http://www.skincare-univ.com/article/005468/)

膀胱炎は細菌感染・炎症によって引き起こされますが、間質性膀胱炎の原因は不明で、細菌感染ではないことがわかっています。

これは理系と文系の合わせ技的間違いです。まず、膀胱炎は細菌感染だけではなく、ウイルス性・クラミジア性もあります⋯これは医学的な間違い。膀胱炎って膀胱が炎症を起こしている状態を示す日本語ですから「炎は炎症によって引き起こされ」との書き方は文章力のレベルというより、国語的に間違い。本当に頭痛で頭が痛いよ❗

間違いを指摘された場合は社内で検証して、その時は「本記事は、内容指摘を受けており、確認中となります」とのこりゃまた日本語的にどうよ、とのエクスキューズを記載して、他の医師に監修を求めるそうです。リッチメディアとしてはこのような説明を公表していますが(http://www.rich.co.jp/news/20170507)

このサイトを見つけ出す、読者は少ないと思われます。本当にコンテンツを良いものにしたいのならヘルスケア大学、スキンケア大学のサイトのトップにこのような取り組み姿勢を掲載するべきではないでしょうか?

ちなみに「2. 医師の無断登録について」は、私は今まで一切発言した記憶はありません。

一時閉鎖、なんでそんなことを私は主張したのか?

ヘルスケア大学の主な収入は広告だと思います。しかも、健康関連サイトに広告を掲載する会社は製薬会社、健康食品、衛生用品の会社が中心になりますね。自社が広告を出している健康情報サイトがいい加減で間違った情報を掲載して、もし万が一健康被害が起きてしまったら、広告主としては法的には問題なくても、社会的というか社内的にそれなりの問題が起きると思うんです。まあ、間違った健康情報サイトを広告費という形でバックアップしてることにはなりますから、道義的責任問題は避けられないんじゃないかな?

万が一の健康被害のことを考えると、一旦閉鎖する選択肢が正しいものと考えています

しつこいですがサイトを公開しながら、精査作業をする、それも数万ページある医学関連記事を。健康関連キーワードで検索すると多数の記事が上位表示されます。被害者が出る前に決断をなされることを老婆心ながら申し上げておきます。

以上を持って私のヘルスケア大学、スキンケア大学、リッチメディア関連のブログはひとまず終了とさせていただきます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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