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長生きしたけりゃ「血管年齢」を若く保つことに限る⁉

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最近「血管年齢」って言葉をよく耳にしませんか?動脈硬化が進んだ血管は硬くなりもろくなっているので、心筋梗塞や脳梗塞・脳出血⋯そしてEDの原因にさえなります。

メタボ健診の項目は血管年齢を見るためだった⁉

メタボリックシンドロームの健診がありますが、対象は血糖値・高脂血症・高血圧、そして腹囲ですが、血糖値・高脂血症・高血圧は動脈硬化と密接な関係があります。つまり、

メタボ健診って動脈硬化の進行を防ぐためのものって考え方もできるわけです

メタボ健診だけでは動脈硬化の進行具合を知る「血管年齢」はわかりませんので、血管年齢ってどのようにして調べることができるかをお伝えしますね(私のブログを何回か読んだ方はご存知だと思いますが、私は理由は不明ですが脳梗塞を異常に恐れている町医者です)。

血管年齢を検査する方法はこんな感じです

血管の硬さを調べる、いわゆる血管年齢の測定方法としてはこのようなものがあります。

1:PWV検査(脈波伝播速度)

両足と両腕に各々センサーを取り付けて、心臓が鼓動するたびに全身に行き渡る脈波の速度を測定するものです。血管年齢が進む(動脈硬化が進行する)と血管自体の柔軟性がなくなるために、この脈波が伝わる速度が早くなりますが、閉塞性動脈硬化があると、逆に脈波が伝わりにくくなり偽低値を示すこともあります。

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血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン(2013年)より

これを導入しているクリニックって結構多いのですが、血管年齢を正確に測定するには「測定者の熟練した技術を要することから,わが国では使用できる施設が限られている.また,動脈長の決定方法が統一されておらず普遍性に問題がある」と前掲のガイドラインには記されていますので、この測定方法の結果に一喜一憂してもねえ、って解釈も成り立ちます。

2:ABI検査(足関節上腕血圧比)

これも多くの医療機関が導入している血管年齢測定機器です。足首と腕の血圧を同時に測定して両者の比を求めることにより、動脈硬化の進行度を予想する検査方法です。動脈に柔軟性があれば血圧は足首で測定した値が若干高めになりますが、動脈硬化が進むと足首の血圧の方が腕で測定した血圧より低くなります。

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前掲ガイドラインより  この検査方法は

高リスクの高血圧症例,冠動脈疾患症例,50歳以上の糖尿病症例もしくは喫煙者においてABI測定が推奨される.また,わが国における維持透析症例の高い病率を考慮すると,わが国では透析症例および ステージ3~5 の CKD 症例でもABI測定が推奨される

とガイドラインにかかれていますし

動脈硬化危険因子を合併する高血圧,メタボリック症候群,50 歳未満の糖尿病症例,また,複数の動脈硬化危険因子を合併する症例についてはABI測定が有用である可能性が高い

とも記されていますので、PWV検査よりは一般の医師は使いやすかもしれません。

SDPTG(加速度脈波)検査

動脈硬化や血管の閉塞がなければ、心臓から出ている大動脈の大動脈起始部圧波が末梢まで同じように伝わるはずである、との考え方から開発された検査方法です。今ではこんな簡易的なものも出ていますので、健診とかで見かけた方もいるんじゃないでしょうか?

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http://www.medicare24.co.jp/list/bc10M/index.html より 

そのほかにも多数の血管年齢(動脈硬化)を測定する方法がありますが、クリニックレベルで導入されている3つの方法を取り上げました。

血管年齢、というより血管のしなやかさは若さの証明?

人間は加齢とともに血管が硬くなってくることが知られています。この血管の硬さが様々な病気の原因にもなっていますので、血管年齢が若いことは血管がしなやかである、との意味で捉えてください。

大々的に血管年齢を調べた医学論文があります。「Prevalence, Correlates, and Prognosis of Healthy Vascular Aging in a Western Community-Dwelling Cohort」(Hypertension. 2017;HYPERTENSIONAHA.117.09026)によれば50歳以上の3196人の方のPWVを測定したところ、50〜59歳までは30パーセント近くの人が動脈硬化が認められない「健康な血管年齢」と診断されています。

しかし、年齢が増えるにしたがって「健康な血管年齢」である人の割合は少なくなり、70歳以上では1パーセントの人しか「健康な血管年齢(動脈硬化がない)」と診断されませんでした。

動脈硬化とEDの深〜い関係

日本で承認されているED改善薬は3種類あります。EDの原因は複数の因子が考えられますが、大きなリスク因子として「動脈硬化」があるんです。心臓や脳の血管より細い陰茎の動脈は動脈硬化の症状が出やすく、勃起するには血管のしなやかさが求められるためにEDの根本的な原因は動脈硬化である❗と言い切る泌尿器科医もいるくらいです。

あるED改善薬は全身の血管を柔らかくするとの研究結果も出てきていますから、将来的には動脈硬化を治療する薬として使用されるようになるかもしれませんね。

これが実現すれば人に隠れてこそこそED改善薬を飲む必要がなくなり「血管年齢を若返らせるために飲んでるんだよ」って言い切れますから。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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