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【第二弾】どうした「週刊現代」、デメリットが大きいと名医が断言する手術⁉

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どうした「週刊現代」の第二弾です。

がんの免疫療法はインチキだ❗と言っていた週刊現代ですが⋯

がんに対する標準治療と名前は似ているけど、実際上のところトンデモ医学とも言える自由診療クリニックによる「がん免疫療法」、これに対して「インチキだ❗」と声をあげた週刊現代。

週刊現代といえば、今まで現行の標準医療を目の敵にしてきて、「飲んではいけない薬」シリーズで薬の副作用の危険性を必要以上に煽ったり、予防接種は胃腸を通さず、注射によって直接血管に薬剤や異物が入るから危険としか読み取れない記事を掲載したり、多くの医師から冷笑されてきました。

汚名挽回的に自由診療クリニックで行われているエビデンス無きがん免疫療法の怪しさを伝えた良記事を2回連載しましたが⋯編集部が思ったような大きな反響がなかったのか、また標準医療を徹底的に批判しだしました。週刊誌ですから、意外でセンセーショナルな記事の方が売れるんでしょうね。

【第一弾】どうした「週刊現代」、改心したかと思ったらまたヘンテコな方向へ⋯薬を飲み続けるのは自殺行為⁉

週刊現代の、「メリットよりデメリットのほうが大きい」手術?のここがヘン

週刊現代の2017年9月16日号の「60歳以上の名医たちが実名で明かす『私が患者なら受けたくない手術』『私が患者だったら絶対にのまない薬」で取材に応じてヘンテコな意見を述べていた医師が実はトンデモ臭の漂う方々であることは昨日のブログで書きました。今回はデメリットのほうが大きいと名医とされる方々が答えている特集でどうみてもありえないような記載がありますので、それをご紹介しますね。週刊現代が複数人の医師を取材したところ

前立腺がんの手術も「受けない」と答えた医者が多かった

らしいのですが⋯前立腺がんは手術が唯一の治療法ではなく、放射線治療の治療成績が手術の成績と大差がないとの研究論文が多数あります。また、ホルモン療法も非常に効果的で、患者さんの年齢やライフスタイル、職業等を考慮しながら治療方法を選択するのが一般的なはずです。自分が前立腺がんであった場合に手術を受けたくないと述べている循環器内科の医師はその理由として

1:前立腺がんは進行が遅いので手術しないでも、そのまま寿命を終える可能性が高い

2:80歳以上で死亡した方を詳しく調べると生前は発見されていなかった前立腺がんが高率で見つかる

3:前立腺がんのマーカーであるPSAがちょっと高いと手術をすすめられる

をあげています。

1の前立腺がんの進行が緩慢であることは事実です。だからこそ早期発見をして的確な治療を選択すると生存率が高まるのです。その早期発見を可能にしたのが、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAであり、以前は前立腺肥大症の手術をした後の病理検査で前立腺がんが発見されていました(現在のステージ分類のステージAにあたります)。

2も間違いでありません。前立腺がんの進行が緩慢であるために、生前発症しなかった人はかなりの数であり、あまりにも敏感な腫瘍マーカーであるPSAの結果の判定に関して慎重な取り扱いが必要となっているのは泌尿器科医の間では常識となっています。

3の話は2の話と強く関連しています。まず言っておきたいことがあるのですが

PSAが高値であるだけで、前立腺がんであると確定診断はしません❗

腫瘍マーカーがちょっと高いから「自分は前立線がんだあ」と考えて、民間療法を行ったことによりPSAが下がったために「○○を食べたら前立腺がんが完治❗」⋯これインチキ臭い健康関連雑誌やインチキ医療と考えられる自由診療クリニックのサイトで見受けられます。PSAは前立腺の炎症でも、前立腺の大きさにも比例して高い値になることがあります。PSAが高いだけで手術をすすめることなんてありえないことは、泌尿器科医以外でもご存知でしょうから、取材した週刊現代の記者さんが端折ったか、盛ったか、あるいは重要なポイントを聞き逃した、と思いたいですし信じたいです。

がんである、と診断するのは簡単じゃないよ❗

医療で重要であることは「確定診断」であり、これは腫瘍マーカーだけで判断することはありえません。手術をした後も摘出した臓器を顕微鏡で精査する「病理検査」を行い、診断が正しかったかを確認します。私の守備範囲である泌尿器科の病気である「前立腺がん」の場合、以下のような段階を経て治療を開始していきます。

PSAが高い → エコーで前立腺を検査 → MRIやCTで前立腺及び周囲の様子を観察 → MRIやCTで前立腺内に怪しい部位があれば前立腺針生検を施行 → 病理検査にて悪性度をグリーソン・スコアで判定 → 骨シンチなどによって遠隔転移を検査 → 以上の検査結果を参考として治療方法を選択

画像

https://www.zenritsusen.jp/classification/

このような手順を踏んで治療方法の一つとして手術が選択されるのです。手術と言っても開腹する手術、腹腔鏡し手術、ロボット支援による手術(ダヴィンチとして有名ですね、今は名前が変わりましたけど)などがあります。

週刊現代さま、標準医療のネガティブな点を強調するとインチキ医学がはびこります

医療が批判される理由として医師側にも問題があることは否定しません。週刊現代等などのメディアが標準医療を深く理解しないで、センセーショナルな取り上げ方をすることによって喜んでる人々もいるんです。それが標準医療からかけ離れたトンデモ民間医療であったり、特殊な考え方を持った医師によるニセ医学であり、実際は効果がないことを知っていながら行われるインチキ医療を生業としている連中です。これだけは言い切れます

真っ当な医療によって救われた命の方がインチキ医療で救われた命より遥かに多い

週刊現代さま、何があったのかは存じ上げませんが、もう一度インチキ医療に取り組む心意気はありませんでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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