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便秘に新薬登場⋯32年ぶりだって

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アミティーザというカプセル状の便秘のお薬が本年登場しました。便秘に対応する薬としては32年ぶりの新薬です。

32年ぶりに新薬登場ってどれだけ放置されていたんだ

この32年間便秘で悩まされていた人は製薬会社から放置されていたともいえます。なぜ放置されていたかというとまず、便秘の定義がはっきりしていないことも影響していたと思われます。しかし、便秘に悩んでいる方は特に高齢者に多くみられ、70歳代では一割以上の人が薬を飲んでいます。
便秘の定義は日本内科学会によると「三日以上排便が無い状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」とされています。日本消化器病学会は一般向けには「排便の回数は人によっていろいろで一日2~3回の人から2~3日に一回位の幅に広がっています。3~4日に一回でもそれが長年の排便習慣で、苦痛がなければ便秘と考えなくて良いでしょう」とのんきに記述しています。
これがアミティーザです。朝夕に一カプセルづつ飲みます
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amitiza1

このあたりはっきりしない基準ですが私は町内に大便が溜まった状態で、腹痛などの症状がある場合と力んでも便がでなかったり、便が硬いために痛みがある場合などを治療の対象と考えています。

アミティーザの特徴

小腸から腸液の分泌を促進して、腸の中を水分でふくらまして、腸を刺激するとともに、便自体を軟らかくして排便させるとういう仕組みです。この薬の特徴は自然な排便が可能ということです。今までの便秘薬は腸を刺激して排便を促進する「大腸刺激性下剤」や「浸透圧性緩下剤」といわれるものが中心でした。大腸刺激性の問題点は便が出過ぎたり、腹痛が起こることです。生薬系で安全と思っている方が多いセンナ・アローゼンと呼ばれる便秘薬も長期に連用すると大腸メラノーシスと呼ばれる状態になります。
このように腸の粘膜が真っ黒になる状態です。
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colon2

浸透圧性の薬は塩類下剤ともいわれ、便が緩すぎたり、中には高マグネシウム血症という副作用の恐れもありました。

どんな症状でも効果があるか?

一番適しているのは「弛緩性便秘」とされています。弛緩性の便秘とは腸の動きが悪いために、腸の通過時間が長くなってしまい腸において便の水分が必要以上に吸収されるために、便がかたくなってしまう便秘をさします。高齢者の多くみられる状態ですが⋯実は私の利用したことがあって、人間ドックを受ける時に前もって飲んでおく薬を飲み忘れて、このアミティーザを使用してから大腸の内視鏡を受けました。便秘には器質性便秘というのもあります。これは大腸の形状に問題があったり、他の病気が原因となって便秘になるものですから、今回の新薬にあまり期待はできません。でも、一般的に便秘と言っている状態は機能性便秘ですので、便秘に悩ませられている方には朗報といえます。

第三の便秘の原因

前述の便秘以外に増えているのが自律神経の乱れから、過剰な緊張がおこり便秘を引き起こす「痙攣性便秘」です。過敏性腸症候群の方などが当てはまりますが、アミティーザはそのような方が服用すると、気持ちが悪くなったり、反対に下痢の症状があらわれたと報告されています。このような方は今までの薬と併用しながら様子を見ていくと、症状が治まっていきます。しかし、一番の治療は原因となっているストレスを解消して、自律神経の乱れを防ぐために規則正しい生活が必要⋯といった教科書的なアドバイスになってしまうのが残念です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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