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糖尿病の経済的損失

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厚生労働大臣が経済財政諮問会議で「糖尿病患者の増加抑制を推進すれば、2022年の医療費が1兆四千億円減らせる」という試算を発表しました。

糖尿病は開業医をやっていますと、日常茶飯事に遭遇する病気です。私が医師になった1986年と比較すると体感的には10倍くらい増えたイメージがありますので、早速調べてみました。

厚生労働省の試算

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さすがに10倍にはなっていなかったようです。しかし、当院は糖尿病を専門とするクリニックではありませんが、検査の機会に血糖値も一緒に採血する場合かなりの数の糖尿病が疑われるデータが見受けられます。もう少し長いスパンで比較すると私が生まれた1960年から50年間でなんと50倍に増えているのです。
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関田病院のHPからグラフをお借りしました。

さらに時代背景を考慮したデータもありました。
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砂糖を科学する会というホームページにありました。
総カロリーの摂取量はあまり変化していないが、脂肪の摂取量が年々増加していることがよみとれます。ということは総カロリー=脂肪+タンパク質+糖質ですので、脂肪が増加、タンパク質はあまり変化なし、糖質は減少していると解釈できます。面白いことに自動車登録台数の増加と糖尿病患者の増加傾向は類似していますので、歩かなくなったことも糖尿病患者を増やしている原因のひとつとこのグラフは訴えかけているのです。

糖尿病って痛くもかゆくもないし

糖尿病の「初期症状は痛くもかゆくもありませんので、自覚症状はないと言っていいでしょう。また、以前はヘモグロビンA1Cという検査方法が一般的ではなかったので、いくら健康診断を受けても空腹で採血すると、血糖値が下がった状態でのデータになってしまうので、発見が遅れてしまっていました。このヘモグロビンA1Cという検査法が普及することによって、ここ一か月くらいの血糖値の状態が解るようになって「隠れ糖尿病」の患者さんが見つかりやすくなったことも、患者数の増加に影響を与えています。

糖尿病になるといくらかかるか

もちろん日本は国民皆保険制度がありますので、米国と比較すると医療費は安くなっていますが、糖尿病になると年間ざっとこのくらい医療費が掛かります

  • 薬での治療⋯32万円
  • インスリン注射で治療⋯44万円
  • 人工透析併用⋯500万円

糖尿病の怖い所は自覚症状のないうちに、腎機能障害を引き起こし最終的には人工透析をしなくてはならなくなる点です。週に三回は透析を行わなくてはならず、半日がつぶれてしまいます。さらに上記のように医療費も高額となってしまいます。

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日本生活習慣病予防協会 (http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2011/001716.php)

糖尿病患者さんの増加に従って、人工透析を行わなければならない方も右肩上がりで増加しています。これが日本の医療費を上昇させている原因の一つであることは否定できない事実です。

じゃぁ、どうすればいいの

もちろん生まれつきインスリンの分泌に異常があるⅠ型糖尿病の方はどうしようもありません。しかし、糖尿病になりやすい遺伝的な要素がある方も食事・運動によって十分に予防または改善ができる病気でもあります。だからこそ国を挙げてメタボリックシンドロームを予防しましょう!生活習慣病に気を付けましょう!と啓蒙活動を行っているのです。医療費を削減うんぬんを抜きにしても糖尿病は生活の質を非常に落とし、死にいたる病気の原因となります。国の医療費の心配はさておき,ご自身がつらい思いをしてしまいますので、健康診断やたまたまの採血結果で糖尿病が疑われた場合は食事・運動に気を付けて糖尿病と確定診断される前に改善する努力を惜しまないで下さい。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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