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美白化粧品の肌がまだらに白くなったトラブルはカネボウだけなのか 他の美白成分の健康被害は大丈夫かな?

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先日、NHKの時事公論で「美白化粧品 なぜ被害が起きたのか」とのタイトルで、カネボウの白斑問題を扱っていました。非常に調べこんだ番組でした。

しかしながら、多くの女性が抱える肌の悩みで一番多いのは、シミや色素沈着であり美白を求める傾向が出現するのはやむを得ない状況だと考えます。消費者のニーズにこたえる為に、化粧品メーカーはしのぎを削っています。

美白に走る化粧品業界

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http://sangyo.jp/

美白成分は

  • コウジ酸 (例 INFINITY)
  • ハイドロキノン(例 オバジ)
  • トラネキサム酸 (例 トランシーノ)
  • ロドデノール(今回のカネボウの白斑被害)
  • 4MSKと呼ばれる4-メトキシサリチル酸カリウム塩(例 HAKU)

これらが化粧品で使われています。

すべての美白成分が安全といえるか?

これらの成分を含んだ化粧品は「機能性化粧品」とも呼ばれ、通常の化粧品である口紅やマスカラ等とは違って肌自体に影響を与えることによって、多くの女性が求めているシミや色素沈着に対抗しようとの考えに基づいて開発されたものです。

カネボウのロドデノール以外は安全と言えるのでしょうか?

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日本皮膚科学会において「 ロドデノール含有化粧品の安全性に関する特別委員会」が設置され、「美白成分ロドデノール含有化粧品使用後に生じた色素脱失症例 医療者(皮膚科医)向けの診療の手引き」においては「美白化粧品の安全性はロドデノール以外についても情報がなく、安全であるとも安全ないともいえない」と不気味なことを表明しています。

そのほかの美白成分もトラブルを起こすことはあります

化粧品トラブルで一番多いのは、化粧品のどの成分が原因かを特定するのは難しいのですが「かぶれ」で表現する肌トラブルです。

一般的な医療サイドの治療は原因であると考えられる化粧品の使用中止とかぶれに対するものです。かぶれは化粧品以外の原因でも日常見慣れた症状であるために、簡単な塗り薬の使用によって短期間での治療が可能です。

命に係わるトラブル

美白効果があるとされる「トラネキサム酸」は実は強力な抗炎症作用があるため医療機関でも喉の腫れなどに使用されるものです。また、医療関係者には「止血剤」としても知られています。止血剤は血を固まりやすくする作用機序を持っていますので、血管内がつまってしまうリスクも発生します。

医師はある一定の年齢の方にトラネキサム酸「製品名トランサミン」を使用すると脳梗塞のリスクが高まることを懸念して、慎重に処方するべき薬との認識をもっています。

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https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/content/000035393.pdfより

化粧品におけるトラネキサム酸の含有量は高々知れていると思いますので、脳梗塞のリスクはあまり考えないでいいかもしれません。

しかし、今後データとして「トラネキサム酸を含む化粧品を使用していた人に脳梗塞が多く発生していた」なんて論文が発表されたら化粧品業界は大きなダメージを受けるのは当然予想されることです。

発がんのリスクが一時問題になった成分

コウジ酸は日本で美白効果が発見され現在海外でも広く使用されている成分です。

このコウジ酸は一時厚生労働省が「発癌リスクあり」と判断されましたが、そのご化粧品業界が精力的にデータをあつめ「発癌リスクなし」と前言を取り消して現在に至っています。

海外の美白化粧品の中にはコウジ酸と比較して「当社の美白化粧品はさらに効果があります」的な広告を行っているほど一般的な美白成分として知られています。

ハイドロキノン入りの化粧品は発がん性が疑われていてヨーロッパでは使用禁止となっています。

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http://whiteningsoap.net/products/kojic-acid-soapより
コウジ酸を含んだソープもあります
そういえば2500人以上の被害者が出た「茶のしずく石鹸」も医薬部外品でした。

しかし、少なくともリスクが懸念された材料を敢えて成分に加えることに抵抗を感じないという感性が化粧品を求めるユーザーの美しくなりたいという感性と合致するのが不思議です。

4-メトキシサリチル酸カリウム塩は情報不足です

大手化粧品メーカーが開発した4-メトキシサリチル酸カリウム塩ですが、これに関連した情報は今回十分に集めることができませんでした。

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http://www.shiseido.co.jp/haku/products/より

水面下でなにかトラブルが起こっている可能性もありますが、皮膚科学会の声明である「安全か、安全で無いかも情報が十分にない」ということを頭にいれながら使用するべきものだと思われます。

再発防止に何が必要か

医薬部外品の臨床試験は医薬品の臨床試験と比較して緩いものです。厳しい試験に合格した医薬品でさえ「薬害」「予想しなかった副作用」が使用後に報告されることがあります。そのようなことが拡大しないために発売後に「使用後調査」が義務付けられています。

機能性化粧品と呼ばれ医薬部外品に分類されるものは使用後調査を厚労省は指導していますが、調査内容に問題はなかったのでしょうか?

美白は化粧品じゃなく医師の指導の下で医薬品を使用した方が良いようにおもえますが⋯。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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