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「手術ミスの4分の1は単純なことが原因」だけど、手術ミスを防ぐ方法はあるか?⋯医療事故防止は簡単な事です。

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手術のミスによって取り返しのつかない被害を受けることがあります。

あまりにも重大なミスの場合はマスコミを賑わすことも多くなります。特に人為的なミスの場合、医師の力量や経験値、また非常事態に対応できる体制が取れているか?など問題の争点となります。

手術ミスの原因をよくよく調べてみると

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美容外科的な治療においては簡単に脂肪が除去できるとの考えから脂肪吸引という治療が流行していますが、そのリスクについては「脂肪吸引の危険性「死亡率ってどのくらいなのでしょうか?」」というタイトルで先日ブログに書きました。この場合は未熟な技術と緊急事態が発生した場合の回避手段が取られていないことが原因となることが多いのです。では、通常の手術の場合でもミスは起きてしまいます。その原因はどんなところにあるのか調べてみました。

医師の未熟度は論外です

通常大学病院などで一人前の手術ができるまでは10年はかかるとされています。一人前の意味は「自分が中心となって手術をして、何人かの助手を使って病変部を治療する」ということです。医師免許さえ持っていれば手術自体には参加できますが、通常は助手として経験を積んでいき最期に「前立ち」と呼ばれる術者の真ん前に立ちながら手術の手助けをします。

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前立ち以外は第2助手、第3助手とも呼んでいる医療機関もあります。開腹手術などであると第2、第3助手は手術をしている箇所さえも肉眼で目視できないでひたすら「鉤」と呼ばれるヘラ状のものを使用して手術者が術野を見やすくするためのお手伝いです。はっきりいって医療知識のない人でもできる仕事です。実際に経験を十分に積んでいない医師が関連病院などに出向となり「その手術は生まれて初めて自分が術者となって」こなす場合があります。そんな時は大学から先輩を呼んで「前立ち」になって手術を憶えていくのです。

しかしながら、そのような機能が働かないでトラブルを起こす医師は基本的に「見よう見まね」で手術をしてしまう人に多いようです。こんな未熟な医師がミスの原因となる場合以外にも重大なミスは特に美容外科分野で多いイメージがあります。

手術ミスの4分の1を占める原因とは⋯

なんとそれは医療機器のトラブルなんです。英国で調査・研究されたものなのですが、手術ミス等について書かれた論文を19362本対象ににして、基準を設けて28論文をピックアップしました。

その結果、
・23.5%が医療機器が関連していた

なかでも詳細が報告されていた論文が8件ありましたが、一番多いミスは
・手術時に必要な医療器具が無かった⋯37.7%❗

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子供じゃないんだから、学校に行くとき忘れ物が無いように事前にチェックしましょうよ、先生方。

さらに
・手術中に医療機器が故障⋯33.5%❗
どこのメーカーの機械使ってんですか、先生方

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なんて情けない報告が続きます。

改善方法は極々シンプルです

こんな慌て物の医師や作動ミスを犯す医療機器の被害にあった日には目も当てられません。ここでこの論文は解決策を見出しました。

・事前にチェックリストを作りましょう!

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これって小学生レベルなんじゃないですか?でもこの術前のチェックリストを作ることによってミスは60.7%も減少することが確認されています。

医療機器がかなり高度になり、中には手術自体をロボットにさせるものもあります。

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しかし、どんな高度な機器であり、精密な作業のできるものであっても「人間の眼で確かめる」ということは絶対不可欠なのです。つまり、医療はあくまで人間主導で行われないといけないと言えます。でも、単純なヒューマンエラーも起こりえるので、それをカバーする為に機械やコンピュータが登場するのですが、それが正常に働くためには、人間の監視が必要で⋯・。堂々巡りになってしまいます。

結論:医療においてはミスを無くすことは不可能と心得ましょう!

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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