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「饅頭」を「団子」と言い張る徳島県は糖尿病死亡率ナンバーワン

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日本は江戸時代に300程度の藩に分かれていた為か、地方によって珍しい習慣が残っていて驚かされることが多い流行の言葉でいえば「多様性」に富んだ文化をもつ国です。

「秘密のケンミンSHWO」で独特の食習慣が取り上げられ、出身地を見つけることができるとされる「方言診断アプリ」が話題になっているのもそれを裏付けることになります。

今回取り上げる徳島県は、1993年から2006年まで14年連続で糖尿病死亡率全国1位を記録しました。徳島県の食習慣に問題があるのかどうか検証してみます。

糖尿病の原因は食前の饅頭だったと予想したけど

徳島県はここ数年糖尿病による死亡率が全国ワースト1という不名誉な地位を挽回するべき対策を練っていました。徳島県美馬市の木屋平診療所の医師によって、地方独自の食習慣に原因があるのではないかという報告が日本糖尿病情報学会で発表されました。その原因とは食前に食べることのおおい「団子」が原因だったというものです。これはどう見ても「饅頭」ですが、木屋平では「団子」と呼んでいます。

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県別糖尿病死亡率ワースト1を脱出するために

徳島県の糖尿病による死亡率はワースト1であり、詳細な内訳では女性の糖尿病による死亡率はダントツでトップ独走状態です。

糖尿病死亡率の都道府県別ランキング_-_Google_検索

前述の医師が京都大学と共同で「美馬研究」と呼ばれるプロジェクトを立ち上げ、県民の健康を改善するために日常の診察で患者さんの生活様式を詳しく訪ねた結果が以下の通り。

  1. 食前に団子や餅を食べる女性が多かった
  2. 2.お祭りなどの行事でお団子を食べる機会が多かった
  3. 3.お団子と呼ばれているものは、どう見ても饅頭であってその大きさも巨大だった

はい、地方性たっぷりの食習慣が認められました。お祭りが多く、みんなで集まって楽しげにお団子を食べているほのぼのとした風景がイメージされて、私は好印象を美馬市に感じましたが、食前にお団子と称される、どう見てもあんこたっぷりのお饅頭には驚かされました。まさにサイバーシティ、多様性を誇る日本の文化です。

徳島県が糖尿病の死亡率を改善する方法

上記の結果から糖尿病の原因があんこタップリのお団子(どうみてもお饅頭)にあることが常識では予想されます。しかし、研究の結果判明したことは・・・

  1. 1.男性では食前の団子を食べないグループの方が、食べるグループと比較してBMIと中性脂肪が高かった(意外です)
  2. 2.男性では食前に団子を食べるグループが血圧と糖尿病の指標のHbA1Cが高かった(要は糖尿病が多かった)
  3. 3.おやつを食べる食べないは糖尿病に関する指標も脂質に関する指標も関連性が見つからなかった

以上のことが判りました。男性は食前にお団子を食べる食習慣がある人は糖尿病との関連がありそうですので、徳島県が糖尿病ワースト上位を脱却するヒントがこの辺りにありそうです。でも、徳島県の男性に限って言えば糖尿病死亡率は全国で低い方から数えて28位ですので、死亡率を高めているのは女性に原因があることが予想されます。

饅頭と糖尿病の関連性というより超悪玉コレステロール問題

木屋平の男性391人、女性207人を詳しく調べたところ、この「お団子」を食べる機会の多い女性の血液検査によって超悪玉コレステロールと呼ばれる小さなLDL粒子が多く認められました。残念ながら「糖尿病死亡率」と関連すると考えられる糖尿病の指標であるHbA1cは食前の団子を食べる、食べないによっての有意差はありませんでした。今のところ糖尿病死亡率を改善する糸口は「美馬研究」では見つかっていませんが、心血管系の死亡リスクを高める超悪玉コレステロールがこの地方独特の食習慣によって関連付けられたのは、住民の健康を管理する木屋平診療所の藤原所長のきめ細やかな診察の賜物だと感じ、町医者の私としては非常に尊敬をしております。

徳島県と似ている香川県の食習慣

なお藤原所長の勧告がかなり可愛いです。「食前の団子を食べる頻度を減らすように指導することが効果的かも」とのコメントです(メディカルトリビューン紙による)。食前の団子を禁ずると都会の医師なら言ってしまいそうで、住民に対する愛情があふれ、地方文化を守りながら健康を管理しようと言う気持ちが伝わってきます。そういえば当院の美容担当の松下医師は香川県出身で新年会で爆弾発言をしました。「香川ではお雑煮のもちはあんこ入りなんだよ!」発言に一同ドン引き。彼の大好物が「スイーツ」というのも県民性を表しているんでしょかね。

ふじまる_あん餅雑煮 やろ 元旦は!

http://s0904.ashita-sanuki.jp/e211046.html

結論:地域の特徴を出すのは良いことだけど命懸けで、出す必要無し

ということもできますが、やっぱり地方独自の食習慣って守った方が良いような気持ちも捨てきれない優柔不断の私の出生地はくまモンの熊本です。熊本の男性の県民性は偏屈で頑固(当たっている)融通が利かず(ユルユルのまったく融通だらけ)、「競争心が強く(かなり当たっている)、恥や面子にこだわる(全くはずれ)、保守的だが、意外に新しいもの好き(凄く当たっている)とのことですが⋯私、熊本で育ったのは生まれてからたったの3ヶ月なんですけど。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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