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不妊治療で助成金がでるのは体外受精です

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体外受精で出産した子供に自閉症のリスクが高いということはありません

こんな話がまことしやかに流れていますが、スウェーデンで生まれた250万人の子供を10年間に渡って追跡調査した論文があります。結果として「自然妊娠で生まれた子供と体外受精で生まれた子供を比較して自閉症の発症率には差がなかった」としています。

なぜネット上の質問箱で「体外受精で出産した子供は障害がおきるという話がありますが」的な質問をするのでしょうか?なんで素人に聞かなきゃいけないんだ、医療機関を受診するか、体外受精を行っているクリニック・病院のサイトを見れば詳しく書いてあるのに。

不妊症の原因は男性側にもあり、それを専門にしているのは泌尿器科なんで(私は泌尿器科医です)、今回その辺りについての簡単ですが、正確な情報をお伝えします。

人工授精と体外受精の違い

ところで「人工授精」と「体外受精」の違いをご存知でしょうか?

数十年前の「試験管ベビー」なんてイメージでとらえているオッサンは論外ですので、これ以下は読む必要ありません、と言いたいところですがそんな考えを持っていると日本の未来に影響を及ぼしますので我慢して読んでくださいね。

・人工授精⋯精液を取り出して、その精液を直接子宮に送り込む方法です。
・体外受精⋯卵子を取り出して、精子と受精させ、この受精した卵子を子宮に戻す方法です。

簡単に分類すると此の様な違いになります。人工授精もいかにして優良な精子を取り出し、確実に受精できるか多くの手法が考案され実行されています。また、体外受精も様々な方法がありますが、卵細胞質内精子注入法といわれる顕微鏡を使った方法なんかが、体外受精のイメージとして捉えられています。

世界初の試験管ベビーといわれたルイーズ・ブラウンさんは1978年に英国で生まれましたが、その後元気に問題なく成長して今では自然妊娠でお子さんにも恵まれています。当時は「体外受精で生まれた人は将来妊娠出産できない」なんて無責任な意見があったのですが、見事に迷惑な予想を裏切ったことは不妊症に悩む多くの方にとって朗報だと思います。

朗報といえば体外受精に補助金がでることになっています。

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補助金がでるのは体外受精です

当院は「子宝クリニック」と一部で呼ばれており、不妊で悩んでいた女性スタッフが当院に就職すると妊娠することがここ10年近く続いており、やっと仕事に慣れてきて責任ある立場になったと思ったら「寿退社」で私は常に厳しい状態に置かれています 涙。人工授精・体外受精ともに保険治療の対象になっていなかったので経済的負担もかなりのものになっていました。

少子化対策の一環として体外受精に対して制限はあるものの補助金が自治体によって出ることになったのは喜ばしいことです、が残念ながら対象は「体外受精」だけです。今後は妊娠して出産した女性が安心して子育てができる環境を早急に作らないと日本はどんどん少子高齢化がすすみ国力が低下してしまい、明るい未来像が描けなくなってしまいます。実現できなくても明るい未来を描けるということが大切だと私は考えています。

これは私が生まれた1960年に出版された未来予想の子供向けの本です。挿絵が手塚治虫によって描かれていて可愛い本ですが、予想が当たっているものもありますが、当然外れているものも多いのですがとにかく「明るい未来」が盛りだくさんです。

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体外受精で先天性の異常が起きるという報告の真偽

体外受精児は先天的な異常を持って生まれてくるとか、成長途中で問題が起きるなんてことを言っている人がいますが、本当でしょうか?少なくとも前述の自閉症のリスクは自然出産と体外受精ではまったく、差がありませんでした。「Autism and mental retardation among offspring born after in vitro fertilization.」というタイトルでJAMA (2013 Jul 3;310 (1) :75-84.) に掲載されています。体外受精は早産のリスクは高まる傾向はあったようですが、今の医学ではちょっと早産くらいでは母子ともになにも問題なく健康に過ごすことが可能になっています。

妊孕力は考えないといけません

妊娠する能力を「妊孕力」と呼びますが、ある一定の年齢を超えると妊娠しにくくなるだけではなく、受精自体もしづらくなります。この当たりについてはブログに書いておきました。今回、体外受精に対しての条件としても年齢制限が設けられていますが、妊孕力を考慮にいれた結果だと思われます。なぜか体外受精で生まれた子供に健康上の問題が起こるイメージが蔓延しているのは、高齢で体外受精を受けて出産した有名人の影響が大きいのではないでしょうか?ご本人は子供を産む喜びと子育ては大変だがやりがいがある、さらに此の様な条件の子育てに対して多くの人に知ってもらい国側の支援の重要性を訴えているのですが、少し違和感を抱くのは私だけではないと考えます。実際上はなんの問題もなく、健康に生まれすくすくと成長している子供がほとんどなんです。妊孕力を判断基準としてある程度の制限を設けながら、体外受精を促進していくことは少子化が大問題の日本に取ってはmust事項です。

妊活手帳__妊孕力(妊娠する力)と女性の年齢について その2 治療すれば、妊娠できる?

http://ninkatsutecho.blogspot.jp/2013/02/blog-post_1697.htmlより年齢が高まれば妊娠しにくくなり、流産の率も高まり、生まれてきた赤ちゃんに問題が発生するリスクも高まります。

とにかく子宝に恵まれなくて悩んでいる方は、ネットで質問なんかしていないで専門医に直接相談した方がいいです、ある意味で妊娠するのは時間との競争でもあるからです

当院は不妊症は専門外ですので、ネットで不妊を専門としている医療機関は検索してください。補助金のことなども丁寧に説明してくれるはずです。

令和4年4月から、不妊治療が保険適用されます。詳しくは厚生労働省のウェブサイトをご覧ください。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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