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わかりやすく解説します、インフルエンザ予防接種の効果の有効率⋯かなり誤解されています

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インフルエンザワクチン接種などでつかわれる「有効率」の本当の意味を知っている人ってかなり少ないと思います。

インフルエンザワクチンの有効率の考え方、知ってますか?

Q.60パーセントの有効率のあるインフルエンザのワクチンがあります。このワクチンを100人に打ったらインフルエンザに感染しないと予想される人数は何人でしょうか?

こんな質問されたら、ほとんど人が60人と答えるはずです。

参考にさせていただいたネタもとがインフルエンザワクチンを製造している製薬メーカーだからといって算数が間違うことは無いと思いますので、一番理解しやすいのでお借りしてだれでもわかるように簡潔に説明しますね。

小学校で1クラス40人のクラスが2クラスあったとします。合計80人です。一方のクラスは全く予防接種を受けません、つまり全員未接種です。もう一方のクラスは全員がインフルエンザワクチンの予防接種を受けます。流行の季節になると当然両方のクラスでインフルエンザに感染した小学生が出てきます。

未接種のクラスでは10名発症したとします。

接種したクラスは4人発症したとします。
           10人−4人=6人  
ワクチンを接種していたことで未接種クラスより6人発症者が減ったことになります。この結果を「有効率60パーセント」と判定するのが医学的なデータの処理なんです。

インフルエンザワクチンの有効率

http://www.astellas.com/jpよりお借りしました

以前に同種類のインフルエンザに感染していて、もともと免疫のある人が未接種のクラスと接種したクラスでは均一に存在することが基本の考え方にはなりますが、実際上インフルエンザの罹患歴によってクラス分けをすることはありませんので、両者の免疫力の差は無視できます(疫学的論文はこのあたりの大前提抜けていて発表後に猛烈な批判を浴びる場合があります⋯論文を医学誌に発表することは議論の機会を提供する場でもあるのです、ここんとこ重要ですので憶えておいてください)。

インフルエンザワクチンは打たないで!に対する疑問

「インフルエンザワクチンは打たないで!」という本があります。著者は元国立公衆衛生院疫学部感染症室長というものものしい肩書きがある方なので、専門家が言うのだから間違いないから「インフルエンザワクチンは打たない」という純朴なグループが存在しているのも頷けます。

実際、ネット上でこの本に書かれている極端な内容をもとに「ワクチン害毒説」を唱えている人も多いのですが、本当にこの本を読んだのか怪しい内容の意見も多く見受けられます。極度なワクチン否定派のHPは最終的にへんてこな電気治療器や水を販売するサイトに誘導されるのは何故なんでしょうか?

著者の勤務していた(彼女の権威を高める為と思われる肩書きの)機関は現在では「国立保健医療科学院」と名称は変更され埼玉県にある国の機関であることは間違いがありません。

患者さんに接する私たち臨床医とはかなりかけ離れた思考回路をもった医師免許をもった役人が多く在籍する機関と考えていただければ間違いないと思います。かといって基礎的な研究をしている機関でもないようです。私たち医療関係者でもあまりここの情報を気にかけることはありませんで、感染症に関する情報は国立感染症研究所のデータをもとにすることが多いと思います。

この本の著者が在籍していた時代に日本国内で発生した感染症の情報を公衆衛生院にどのように集められていたかは、十分な情報を得ることができませんでしたが、少なくとも私が医師免許を取得した1980年代には国立感染症研究所の前身である国立予防衛生研究所の存在は知っていましたが、著者の所属する機関のデータを使用することはありませんでした。

この著者ってインフルエンザワクチンの論文書いていないのですが⋯

別に論文を書かなくても、私たち町医者は毎日患者さんと接して地域医療に少なからず貢献していると自負しております。

この著者のように研究者なら研究をしてその結果を論文にして多くの医療関係者にその結果が正しかろうが誤りであろうが発表する義務があると考えます。

「インフルエンザワクチンは打たないで」の著者は「インフルエンザワクチン」に関する論文は書いてない❗

これほどインフルエンザワクチンが問題があることに気がついていたのならなぜ論文にして、多くの医学関係者の論議を受けようとしなかったのか不思議でなりません(医学誌に発表するのは、先ほど書いたように皆んなの意見をもらう場でもあるのです)。

巨大製薬メーカーの陰謀とか白い巨塔的圧力ってのはなしですよ、そんなに閉鎖的な世界ではありませんので医学の世界は。そんな巨大な力がもしも存在しているならこの本自体出版できないと思いますよ。

厚生省が効果なしと言ったという誤解

インフルエンザワクチンの有効性を簡単に説明します ワクチンを接種しても、もちろん感染はします。しかし、感染したことに気がつかないくらい症状がでない「不顕性感染」というものがあります。また、感染しても免疫の為の抗体がありますので、重症化することが少なくなります。

インフルエンザワクチンの効果に関する研究

多くのネット上の情報では上記の発表(実際はもっと詳しい内容です)をもとにワクチン打っても感染してんじゃん、という指摘がなされています。

「ワクチンを打ってももちろん感染はします」という厚生労働省の発言を捉えて「厚生労働省も効果がないと認めている」と公言している一派がありますが、インフルエンザワクチンは抗体が体内に入ることによって、100パーセント感染を防ぐことがワクチンの目的ではありません。

感染することと発病することは全く違う意味なのです

ウイルスは変異してどんどん遺伝子を換えていきますので、多くの人に感染すればするほど遺伝子の変異が起こり易くなります。

ですから感染者して発病してウイルスをまき散らす人の数を減らす必要があるのですが、それの説明は私のブログ「インフルエンザ予防接種ワクチンは打たない派の方へ⋯なんで判ってもらえないんだろう?」で解説させていただいています。

別に権威のある人でなくても、正しいデータであり、第三者によって検証され同様の結果の得られたものは医学的には正しいものとされます。

例えば川崎病という小児が罹患する病気がありますが、この病気を発見したのは一勤務医ですが、世界的にも「Kawasaki disease」として認められています。逆の場合として医学会の大権威が発表したデータが大間違いのことが後日指摘されることもあります(最近、偽造の疑いがある論文が問題になりましたが、一医師がデータの不自然さを見抜いたのです)。

自閉症の原因?と疑われたチメロサールが入っていないワクチンもありますよ。

この著書でもインフルエンザワクチンに含まれていて有害説の有力な攻撃材料となっている「チメロサール」ですが、現在は全く使用されていないものもありますし、含まれていても以前から見ると微量になっています。

無添加のものは生産量がまだ少ない為に、優先的に万が一のリスクを考えて小児科に回す努力というかマナーが今の日本では行なわれている現状は「俺が俺が」とか「私だけが助かれば」的な他人の不利益を考えず、自己優先思想の強いどっかの国と違って奥ゆかしい日本人の特性を表していると私は考えておりますので、当院でインフルエンザワクチンを受けるオッサンは無添加ではないワクチンで我慢してください。いまさら自閉症にはならないと思いますので⋯。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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