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騒音が寿命を縮める!例えば飛行機の爆音による健康被害状況

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米軍基地の航空機が不時着して地元の住民の不安をかき立てる事件がマスメディアを賑わすことがあります。空から物体が落下して、さらに炎上なんてことが起きたらそれは大騒ぎになって当然です。

現在、民間航空機の発着陸も周辺住民にとっては「騒音問題」として反対運動などが起きていました。

飛行場反対という意見に医学的なアプローチ

東京在住の人は人里離れた羽田空港が深夜もフライト出来るようになって利便性を感じています。インフラの一つとして飛行場を考えた場合、多くの人の利便のために夜間飛行は望ましいことですが、近隣住民にとってははた迷惑であることは当然のことだと思われます。酷い意見ですと周辺住民のエゴである、なんてものまで存在しています。高速道路であっても騒音をまき散らさないように、防音壁が張り巡らされていますが、欧米ではそのようなものを見かけることはあまりないようで、日本人の優しさが感じられますが、一方で高速道路を建設する場合にコストが高くなってしまうというマイナス面もあります。飛行場にしても、高速道路にしても周辺住民はそれなりになにがしの優遇をされているんだから辛抱しろ、なんて乱暴な意見を主張するグループもありますが⋯。

健康面に対して騒音はどのような作用を引き起こすのか、ということを調査した研究がありますのでご紹介します。

騒音レベルと死亡リスクの関係

今東京都知事選真っ盛りです。候補者の論点が原発問題に絞られているように私には思えるのですが、「今まで原発で直接死んだ人はいない」という主張がありました。実際に死亡した人はいないのですが、避難によるストレスが主因として亡くなった方々は通常の死亡率を上回っているのではないでしょうか(この辺りの厳密な統計学的に処理された適切なデータは私が勉強不足の為か目にはしていません)。英国のヒースロー空港の周辺住民の健康を調べた論文があり、それによると「騒音は心血管系の病気のリスクを高める」という結果になっています。

飛行機の騒音と健康の関係

ヒースロー空港は英国最大の飛行場であるとともに国際線の利用者数も世界最大とされています。その周辺住民360万人を対象として心血管疾患、脳卒中、冠動脈性心疾患のリスクを調べました。

  • 入院のリスクは飛行機の騒音レベルの上昇につれて高まった
  • 昼間の騒音レベルが高い地域と低い地域で死亡リスクが高くなっていた

という結果が導きだされました。良好な睡眠をじゃまする夜間の騒音がこれらのリスク上昇と関連しているかまでは今回の調査では判明させることは出来なかったようです。さらに今回の研究は夜間騒音と昼間の騒音それぞれが心血管の病気のリスクを高め、死亡率さえ上昇させるかという関連は判明しなかったようです。多分、ヒースロー航空では一日中飛行機が飛び交っていて明確な区別をつける事が出来なかったのかも知れません。

夜間飛行の騒音は睡眠を妨害するので病気のリスクや死亡率と深い関係がある

今回の研究はあくまで私の予想ですが、夜間飛行は睡眠を妨害する為に病気のリスクや死亡率に多大なる影響を及ぼすことを仮定して行なわれた研究に思えます。騒音容認派が「これじゃ、夜間飛行が住民の健康に影響しているかハッキリしていない」という理論武装に使用される危険性を含んだ論文です。でも、明らかに騒音レベルが高い地域では病気で入院するリスクが上昇していますし、死亡率にも影響していることは間違いありません。

米国では明らかに飛行機の騒音が心血管系にリスクを与えるという論文がある

実は心血管系に限った場合、飛行機の騒音が55デシベルをこえると入院のリスクが高まるという調査結果がでています。以前から騒音がストレスとなって心疾患系の病気のリスクが高まると言われていましたので(突然大きな音がすればびっくりして心臓がバクバクしますよね)、これについて全米レベルで調査をしたようです。「Residential exposure to aircraft noise and hospital admissions for cardiovascular diseases: multi-airport retrospective study」というタイトルで発表されているのですが、残念ながら論文の全文を入手できなかったので、詳細は不明ですが、入院する人は55デシベルを越える地域に住んでいる人に多く、その原因のうち2.3%は明らかに飛行機の騒音だったとのことです。

利便性だけを考えると交通の便の良い都市部に近い、つまり住民が多い地域に飛行場があることが理想ですが、内陸部であるとそれなりに周辺住民の健康を脅かしている事は間違いないようです。東京五輪によって羽田空港が活性化することは望ましいのですが、沖合に作られた飛行場といっても、狭い東京のことですからどうしても騒音の迷惑を受ける住民がいることは避けられない問題なんでしょうか?

新都知事になる方はその辺り、どのようのお考えでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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