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美肌のための「カタツムリクリーム」、成分と効果を疑いながら検証しました!

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五本木クリニックでは世界中の美容の情報を積極的に集めています。

数年前に「カタツムリクリーム」なるものを発見しまして、「これは韓国で大ブームなんですよ」と調査を手伝ってくれた業者の報告を受けたとたんに私の気持ちは萎えてしまいました。

決して嫌韓ブームに便乗した訳ではありませんが、当時も韓国のレーザー業者と一悶着を起こしていて、韓国の業者が介入するならヤーメタ、ということになりました。そんなカタツムリクリームについて改めて検証しておきます。

最近、美肌の為に「カタツムリクリーム」が話題になっているけど

多分、販売は韓国だけど原料は中国で製造も中国、さらに「カタツムリ」がベースになったクリームとなると、キワモノ・ゲテモノ的な印象があって日本で流行する事はないだろうと確信したのですが、静かにブームとなっているらしいのです、日本国で。当時このカタツムリクリームの歴史や成分そしてその効果を調査した時の資料が出てきたので、果たしてその実態はという感じで述べていきますね。

カタツムリが原料の美容クリーム

カタツムリクリームの歴史

まず、なんでカタツムリが美肌によいか?なんて変な事を考えた人がいるのかを調べてみました。歴史的には古代ギリシャの有名な医師ヒポクラテスが砕いたカタツムリを皮膚の炎症や怪我に使ったのが初めてらしいのです⋯米国の情報ですが。カタツムリクリームの歴史を調べる為にギリシャの古代文献まで調査する事はできませんので、始まりは古代ギリシャとしておきます。

いつのまにやらカタツムリクリームは歴史から消え去って一部で民間療法として使用されていたようです、それはそうでしょうね、カタツムリよりましな姿の治療薬がその後発見されていたらそっちを優先して使いますって普通。

その後、フランスで食されるカタツムリを養殖しているチリの業者が自分の肌が奇麗である事に気がついて「カタツムリがひょっとして美肌効果があるのではないか?」と気づいて再び脚光を浴びたという物語がホントウがウソかは明らかではありませんが、私が調べる事ができた範囲での「カタツムリクリームの歴史」です。

カタツムリクリームの成分は何?

現在はヒポクラテスのようにカタツムリを潰して、使用しているわけではなくあの「ヌメヌメ」を美肌成分として化粧品に入れ込んでいます。カタツムリのあの粘液はカタツムリ自身の体を守っているようで、海外ではカタツムリスライム (snail slime) と呼ばれています。

カタツムリスライム

このカタツムリの粘液が肌をキレイにしてくれるそうなんですが、その成分は

・アラントイン

・コラーゲン

・エラスチン

・グルコール酸 ( ?)

などがタップリ含まれているそうなんですが、これホントウでしょうか?「カタツムリエキスにはムコ多糖類がタップリ」なんて表現をしている広告もありますが、ムコ多糖類って単に動物性のアミノ酸を含むネバネバした物質をさす言葉ですので、ヒアルロン酸やコンドロイチンなどサプリメントなどが大好きな成分の事です。

もっと詳しく説明するとムチン (mucin) と呼ばれる物質がありまして、これは動物の上皮から分泌される粘液でして、人間で言えば膝関節や目の粘膜の表面に存在しています、あっそうだ!胃や腸からでるネバネバもムチンですよ。要は動物性のネバネバがムチンであり、ムコ多糖類であり、カタツムリクリームの成分であるカタツムリエキスを構成している重要なアイテムです。別にカタツムリじゃなくても、ウナギでも十分にムチンは取り出せますので、ウナギクリームでも大した違いは無いはずです。

カタツムリが分泌する (mucin) が美肌を作る

「カタツムリクリーム」の成分の有効性

カタツムリでもウナギでも美肌効果があれば、そりゃ全く問題が無いですし、ドンドン使用するべきです。人間の皮膚の本来の働きというか機能は中身が飛び出さないように形を整え(想像すると気持ち悪いですが)、外から異物が皮膚の奥深くに入り込まないように防御しているということなんです。皮膚に何かを塗ってもその成分が皮膚の奥深く浸透することは非常に難しいことであり、単に車にワックスを塗った状態にしかならないことがほとんどなのです。

現在、化粧品業界はしのぎを削っていかに皮膚に有効成分を浸透させるかと言うことに研究を進めています。薬剤の中には体内に浸透し易い性質をもっていることを利用して、有効成分をパッチ(貼付薬)として使われている例としては「心臓の薬」「ぜんそくの薬」「過活動膀胱の薬」などがありますが、それを開発する苦労といったら開発した会社の社史の厚さになるくらい困難な道だったのです。

もちろんカタツムリクリームの成分が皮膚の奥にしみ込まないという訳ではありませんが、有効成分が少なくてもコラーゲンやエラスチンが存在する真皮付近まで到達したことを示すデータは存在してませんでした。

カタツムリクリームの正体はこれじゃないのかな?

常識的な医学知識に基づいてこれまで考えてきましたが、美肌に対する有効成分は確かにカタツムリクリームには入っています。医薬品が病気に有効である為には病変部に有効成分が到達しなければ話にならないのは言うまでもないことです。

今回俎上に挙げました、カタツムリクリームの成分って基本的に分子量がメチャ大きいので皮膚から浸透するという可能性は非常に低いと思われます。怪我をしていて傷口に塗った場合は、病変部に直接有効成分が到達しますのでそれなりの効果は期待できます。

でも、肌に塗っただけで何とはなしに効果がある様な気がするのは、普通のクリームを塗った効果と対した違いは出ないと考えられますので、気持ち悪い(気持ちよいとの意見もありますが)カタツムリを直接顔の上に乗せるなんてことは控えた方がいいのではないでしょうか?

カタツムリを使用して効果のあった方は、よろしければ今度はウナギなどをお試しいただいて効果を教えていただけると幸いに存じます。ムコ多糖類を含むヌメヌメ系のものって結構身の回りにありますのですが、普通のそれなりの美肌クリームを使用していただいた方が気分的にはよろしいかと思います。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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