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「ステロイドの副作用で皮膚が黒くなる」は都市伝説です

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皮膚科の診察でステロイド外用薬を処方するとき、どんな他の薬より患者さんがする質問に「ステロイドが入っているけど副作用大丈夫ですか?」というのがあります。

抗生物質や血圧の薬を出す時より副作用の心配をする方が多いのです。

そのなかでもステロイドの副作用として「皮膚が黒くなりませんか?」とのご質問がトップです。

ステロイド入り塗り薬の長期連用による副作用

アレルギーは遺伝的な要素もありますので、ご自身が嫌な思いをされると「アトピー性皮膚炎のステロイド塗り薬拒否は父親の治療の失敗の影響が大きい⁉」ということにもなりかねません。

実は医学的にはステロイド外用薬は副作用として「皮膚が黒くなる」はあり得なく、逆に「皮膚が白くなる」ことが知られています。

一時期アトピーで悩んでいる方を取り込むための民間療法(多くはインチキ)業者が広めた噂が都市伝説的に未だに多くの人に信じられているのです。では、なぜそんな噂・都市伝説が流布しているのかを説明します。

ステロイドの副作用は「皮膚が白くなる」が正解です

この白くなるという作用は一部の美白化粧品で白班ができたという大事件がありましたが、その作用はステロイド外用薬によるもとのと違っていますのでご注意ください。副作用で白くなるメカニズムは血管を収縮させる作用がステロイド剤にはありますので、皮膚の表面の血管が目立たなくなるための肌が白く見えてしまうのです。

もちろん注意しなければならない副作用として、皮膚が薄くなるという現象があります。皮膚が薄くなってしまったため、赤みが目立つという症状もでますが、常識的な医学知識をもった医師のもとで治療を継続する場合はそのような副作用は避けることができるはずです。

アトピー性皮膚炎の人の皮膚が黒くみえるのはなぜか?

長期間アトピーで悩んでいる患者さんは肘や膝の裏側、そしておでこや首などの皮膚が黒くなっている場合が多く見られます。アトピーの原因はアレルゲンと呼ばれる、例えばハウスダストやダニの死骸・フン、さらには皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌などがアレルギー反応を起こす為に、症状が皮膚に出てきた場合がアトピー性皮膚炎と診断されます。呼吸器系で症状がでると喘息であり、鼻にでるとアレルギー性鼻炎と診断されます。

基本的に体質による病気であるために多くの方が長期に渡って苦しめられる病気です。なかなか良くならないために、医療不信になっている方も多いのですが、そんな間隙を塗って蔓延したのがインチキ民間療法です。ひどい業者になると「アトピーでステロイドを使うと皮膚が黒くなる」と言いながら、自然派の塗り薬といってステロイド含有の塗り薬を出していたという事件までありました。

皮膚が黒くなる原因は

かゆみのため、皮膚を搔き壊したため「外傷性皮膚色素沈着」を起こしている

ということが一番考えられます。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン剤と呼ばれるかゆみを抑える飲み薬を併用すると、搔き壊しも減ると考えられます。治療しないで放置した場合ほど、実は皮膚は黒くなる可能性が高くなりますのでご注意ください。

アトピー性皮膚炎の外傷性皮膚色素沈着

ステロイドの副作用は無いのか?

あります、たくさんあります。

  • リバウンド⋯強いステロイド外用薬を長期連用すると起こります、ホルモン系のリバウンドとは違います
  • 顔がむくむ⋯飲み薬のステロイド剤ではあり得ます
  • 皮膚が薄くなる⋯長期間の連用で塗り薬でも起こります
  • 免疫力がおちる⋯飲み薬では起こります
  • ニキビができる⋯塗り薬の局所的副作用として起こる可能性があります

ステロイドは様々な強さがあり、また場所によっても吸収が違いますので、使い分けが重要です。

ステロイドの部位別経皮吸収率

ステロイドの塗り薬で起こる副作用は「皮膚が薄くなる」「皮膚が白くなる」がほとんどです。全身的な副作用である「顔がむくむ」「骨が折れやすくなる」「免疫力が落ちる」などは飲み薬や注射で起きるものですから、ステロイドの塗り薬の使用を恐れるのは、反って「皮膚を黒くする」可能性が高くなります。もちろん、医師の指導のもとで治療をすることが必要です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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