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カネボウの美白化粧品による白斑被害に対する町医者の眼で見たまとめです

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どうして今回のように美白成分がまだらの白斑を生じてしまったかという原因の追究は,今後このようなトラブルが起きないようにするために必要なことはわかります。

また、原因や今回の様な症状があらわれてしまったメカニズムが解明されれば白斑の治療に役立つことも理解できます。

でも、被害者の方の一番の悩みは「果たして白斑症状は完治するのか?その為にはどの様な治療が役立つのか・効果的なのか?治るとしたらどのくらいの期間で治るのか?」に集約されるのではないでしょうか?

原因究明も大切だが、先ず治すことが重要じゃないか?

カネボウや行政側に責任があるのは明らかなことですから、今はとにかく「白斑治療」に医療サイドは100%の力を割くべきではないでしょうか?

皮膚科学会のHP上に「白斑症状が改善した例は多数あります」と解釈できる文言があります。もし、症状が改善した症例があれば写真を掲載して、どのくらいの期間を要したか、どの様な治療をしたのか等を明記するべきです。

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http://www.clinuvel.com/en/blog/tag/treatment/

これで完治したとは言えないのではないでしょうか?

一症例でも完治したと誰もが認める写真の掲載によって、今回の白斑被害にあった患者さんにどれだけ希望の光が差し込むのか予想できないのでしょうか?

今現在は被害者の拡大に対する懸念ばっかりが少なくともマスメディアの報道では感じられます。とにかく白斑は治るのか?ということが一番優先されなければいけないことなのです。

開業医の素晴らしさ

今回のカネボウの美白化粧品による「まだら白斑症状」に気づいたのは開業医、いわゆる町医者です。昨年の10月頃にカネボウの化粧品との関連に気づいた開業医がいたとの報道がなされています。

その報道内容によりますと、美白成分をパッチテストして陽性と診断されたために、カネボウの化粧品と白斑が関連するのではないか、とその開業医はカネボウに申し出たようです。

しかし、この報道は私たち医療のプロとしては少し疑問がでます。美白成分だけを開業医が抽出してパッチテストすることは不可能ですので、化粧品自体のパッチテスト(美白成分以外の含有物も当然含まれる)を行って陽性と診断されたのではないかと思われます。

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疑わしい物質を直接皮膚に注入して反応するかを調べるのがパッチテストです

アナフィラキシーショックを引き起す可能性があり開業医としてはあまりやりたくない検査です

するといくらカネボウがその報告を受けても「化粧品による接触性皮膚炎」として処理されてしまったのではないでしょうか?あくまで想像のレベルの話ですが開業医は「御社の製品でかぶれを起こした方がいますよ」と報告し、カネボウサイドは「この化粧品に対する接触性皮膚炎を起こした人がいる」程度の認識しかできなかったのではないでしょうか?どんな化粧品にも注意書きとして「お肌に合わなかったときは医師にご相談ください」と書いてあります。

カネボウをかばうわけではありませんが、このような状況であったら白斑との関連を強くカネボウが感じなかった可能性はあります。どんな化粧品でも合わない方はいますので。しかし、化粧品がこの患者さんの皮膚トラブルの原因ではないかと考え、手間ひまが掛かってしまうパッチテストを行ったこの開業医の探究心は素晴らしいものだと思います。患者さん優先で診療を行っている医師であることが、たったこれだけの情報でも伝わってきます。

☆当院の場合
カネボウ化粧品の白斑被害にあわれた患者さんを無料で診察・治療しますと「カネボウ化粧品被害の白斑を完治させる治療法の確立を目指しています⋯協力してくださる方を探しています」というブログでインフォメーションしたところ、こんな地域密着型の町医者である当院に10名近くの方から相談がありました。

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当院の患者さんです。首の前面にも同様の白斑が多数存在します。

実際に当院がカネボウの化粧品と関連有と判断して治療を開始、又は予定しているかたは計5名です。中には積極的に被害状況を多くの方に知っていただきたいとの気持ちからマスコミの取材を受けてくださった方もいます。

しかし、他の病気で当院に通院していた患者さんの中から二名も白斑の症状がでた方がいました。カネボウは8月4日時点での被害者は4549人になったと発表しています。目黒区で皮膚科を標榜している医療機関はは30クリニックくらいあります。

人口25万人の目黒区で皮膚科は約30クリニックです。単純計算だと目黒区だけで60人前後の白斑被害者がいることになります。その単純な計算で行くと全国では3万人くらいの被害者がいることが予想されます。

人口25万人の目黒区で60人の被害者

⇒日本の人口は目黒区の人口の500倍です

⇒60人×500

なんと30000人❗

乱暴な計算かもしれませんが、最大でこのくらいの被害者が日本に限って存在する可能性があると考えることもできます。

皮膚科学会に対する苦言

なんで大学病院中心にカネボウの白斑対策指定病院にしたのだろう。一般の被害者と考えられるOLなどは平日診療を受けるには会社に申し出て会社を休まないと受診できないではないですか。

白斑被害という微妙な状況の患者さんが会社に「私白斑の被害の可能性があるので今日は休みをもらって病院を受診します」と簡単に申し出られるでしょうか?あまりにも被害者の方の心中を察していない権威主義的なイメージが伝わってきます。

日曜日に診察してくれる「カネボウ白斑被害専門外来」でも設置した病院ってあるのでしょうか?その後、幾つかのクリニックが指定医療機関になっているようですが、休みを取ってまで受診していない人も潜在的にかなりの数になっている事が予想されます。

さらに皮膚科学会の医師向けのインフォメーションには可能ならば皮膚の一部を切り取って顕微鏡で検査をする「皮膚生検による病理診断」を促すことが明記されていました。今回の白斑と一般にみられる尋常性白斑の違いさえも分かっていないのになぜ、皮膚生検が必要なのでしょうか?美白成分による白斑と尋常性白斑が病理学的に違いがあるのなら、鑑別診断として皮膚生検の必要性は理解できます。

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日本皮膚科学会のHP

しかし、このようなトラブルが起こったメカニズムが解っていないのに皮膚の一部の採取に応じてくれる患者さんに何のメリットがあとは思えません。患者さんの深刻な悩みに対応した処置とは思えません。何のために生検の必要があるのか明記してもらいたいです。

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「半年から1年で回復したという症例が多く経験されています」本当にそんな症例あるのですか?

日本皮膚科学会のHPより (http://www.dermatol.or.jp/upfile/1375252293_1.pdf) )

皮膚科学会にお尋ねします。尋常性白斑であってもかまいませんが、完治と呼ぶことのできる症例はあるのでしょうか?患者さんが満足しているなんて表現の症例ではなく、だれが見ても正常な皮膚と変わりがないくらいに白斑が改善した症例が有ったらぜひマスメディアを協力してもらって広く被害者の方に知ってもらおうではありませんか!

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日本皮膚科学会HP

治るとは言っていません 

私たちは美容皮膚科に特化していますので、皮膚科学会の専門医としては認定を受けていません。皮膚科で治療が難しい症例が保険診療が適用されない美容皮膚科に回ってくることが多いのです。

美容皮膚科では保険適用外であっても海外などで治療に効果が認められた治療機器・医薬品を積極的に使用することが可能です。しかし、私たちの情報収集力が足りないためだといいのですが、現時点で残念なことに誰が見ても完治したと呼べる症例は尋常性白斑に限って言えば世界中のデータ・症例報告でも見つけられませんでした。
私たちの様に保険診療に拘らないでレーザー等を使用できる立場にある医療機関でも治療は非常に困難であることを「カネボウの白斑被害は完治するのか?どう見ても保険診療では無理です 治療方針さえハッキリ示されていません」という題名で先日ブログに書きました。

カネボウの対応

カネボウを取材してきたマスコミの方と接触する機会がかなりあったので、カネボウサイドの対応についての感想です。患者さんが感じたカネボウの対応は「白斑の原因となった化粧品を回収するのが優先課題」だというのです。ある見方をすれば証拠隠滅的な感じもします。白斑の治療に対しては医師に投げっぱなしという感じも受けたようです。

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どこまで誠意を表せるかが、ユーザーが最も抱いている関心事項です

カネボウとしては自主回収という手段をとったがために余計にマスコミに疑われて厳しい評価を受けてしまったようにも取れます。今までも同様の健康被害が起こる化粧品類や食品類はありましたが、トラブル慣れしている企業によっては自主回収には応じないで回収命令がでるまで、自社の非を認めない体質の所もあると記者の中では言われている会社もあるようです。

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国内経済誌の取材もありました、業界内部の詳しい情報を逆に教えてもらいました

水面下ではカネボウ同様の健康被害が出ているのに上手く自社内で解決していて行政側に報告していない企業もあるのではないかと噂されているようです。

カネボウはどちらかというと危機管理がゆるい、良い言い方をすればおっとりしている、悪く言えばどんくさい企業とマスコミ特にビジネス関連のマスメディアは捉えているようです。

こんな事件を引き起こしユーザーの信頼を失ったカネボウですが、今後の真摯な対応によっては不名誉を回復できるチャンスはまだあると思います。

例えば皮膚科学会主導ではなく、化粧品トラブルに日頃接触する機会が多い一般の開業医のチームを編成して原因を追究することは大病院にまかせて、一刻も早く白斑を完治させる方法の確立を目指すことも一つのアイディアだと思います。

厚生労働省の対応に疑問あり

厚生労働省は今の段階では一企業が引き起こした、たまたまの事故程度の解釈をしているとしか思えません。しかし、カネボウが今回の美白成分を厚生労働省に対して認可を受けるためには多くのデータを提出したと予想されます。厚生労働省が承認した経過とその時カネボウ側が提出したデータを公表する事が必要だと思います。

一般の方は海外の方が効果効能が高い成分が化粧品として認可・承認されていると考えがちですが、実際は欧州はかなり制限が厳しい国も多いですし、アメリカも実際は化粧品として認められるにはFDAなどがかなり厳しい審査を行っています。

今後医薬部外品という区別自体を考え直さないといけないのではないでしょうか?それこそTPPに参加したら日本の医薬部外品に分類される化粧品が排除されてしまう可能性も出てきてしまうかもしれません(TPPは交渉に参加しただけであって化粧品が対象商品になっているかは不明ですが、シンガポールなどは化粧品に関する要件はかなり厳しいとの話です)

海外のマスコミのとらえ方

実際に海外のマスメディアの取材を数件当院で受けましたが、彼らの切り口は日本の会社の危機管理の甘さを指摘して、また水面下で他のメーカーでもトラブルが起きているのではないかと熱心に取材をしていきました。

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ロイター社の当院での取材風景です 記者は日本のマスメディアの取材方法に疑問を持っていました

しかし、日本のマスメディアのカネボウへの追及が甘いので「化粧品業界は大スポンサーだから厳しいことは書けない、報道できないのでは?」などと囁かれていました。しかし、一切化粧品メーカーの広告を載せていない日本の有力雑誌の記者さんの話によるとカネボウはガツガツした体質の企業ではないこと、行政などへの根回しが下手などんくさい企業との評価があるそうです。

優しい気持ちを持ち合わせている日本人の被害者に対しては、誠意ある対応をしていけば納得していただける可能性が残されていると思います。しかし、訴訟大国・なんでも人のせいにする国民性・反日強硬団体のある国にもカネボウの化粧品が販売されている可能性があります。

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フェニックスTVの取材風景です 世界中の華僑2億人が視聴しています

海外のマスコミはそのような世界への被害の拡大を予想して取材をおこなっているように感じました。対海外としてカネボウが攻撃をされた場合、一私企業の問題として国が捉えるか、それとも積極的に海外に進出している企業として国がアシストするのか?その当たりも今後日本企業のグローバル化を目指している政府はどの様な対応をしていくのか興味深く見守っていかなければいけません。

当院が存在価値を示すために

この様な複雑な事態が絡み合っている「カネボウ白斑被害事件」ですが、当院は今までの治療の蓄積・海外まで広げた情報網を100%フル回転させて、一刻も早く白斑を治療するということに専念させていただきます。

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エキシマレーザーが治療に有効であるとされていますが、保険治療の適応外です

極端な事を言えば原因や保障の問題は後回して、とにかくそこにいる白斑で悩む患者さんを治したいのです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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