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偽医療・ニセ医学・の典型「ホメオパシー」とはどのような治療方法か?その2 計算してみればわかるインチキ医療

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ホメオパシーはレメディーという不思議なものを治療に使用します。

レメディーは病気の原因となっている物質をそれはそれは薄めに薄めたものを使用するんです。これがホメオパシーを「同種療法」と呼ぶ所以です。

ホメオパシーに使われるレメディーの非科学レベルをこんな例えで説明してみます

どんだけ薄めるのか、ということを理屈っぽく説明してみます。高校レベルの計算と化学知識で十分にホメオパシーのレメディーの怪しさが理解できるはずです。

地球上の海水の総量は1兆4000億リットル、1400兆ミリリットルです。1リットルの水に食塩(NaCl 58.5) を58.5g混ぜると、その水溶液には約6×10の23乗個の食塩分子が存在します。それを海に投げ入れて十分に混ぜ合わせた場合、6×10の23乗÷1400兆ℓ=6×10の23乗÷1.4×10の19乗ですから、4.2×10の4乗個の食塩の分子が1リットルに含まれることになります。つまり、

海に塩を58.5g混ぜると、1リットルあたり4万個の塩の分子が存在することになります

一方、ホメオパシーではある特定の物質を10の60乗まで薄めますので、食塩の場合は海に58.5g混ぜた場合よりさらに10の31乗分薄くなる計算になり、1リットル中には4×10の4乗÷10の31乗で導き出される塩分子が含まれることになります。

となると、ホメオパシーのレメディーはどのくらいの濃度になるんでしょうか?

1リットルあたり4÷10の27乗個、0.0000000⋯⋯004個の食塩(NaCl) 分子が含まれる計算になります(ゼロが小数点以下26個つく個数❗の分子が含まれるのです)

この辺り計算間違いしている可能性が大なので後で検算をして確認しますが、分子は原子に分けられますが原子を二つに割ることはできませんので、ホメオパシーのレメディーに塩分子あるいはナトリウム原子、塩素原子が1個でも含まれることはありえません。ホメオパシーに使用されるレメディーは水溶液ならば単なる「水」なんです。

化学・物理の基礎と簡単な計算で「ホメオパシー」及び「レメディー」が限りなく怪しいものであることは、理解していただけたと思いますが、ホメオパシー信者さんはさらにヘンテコな理論を用意しています。

レメディーの超極薄成分が効果を発揮することを説明するために、さらにヘンテコな理論が⋯。

日本ホメオパシー医学協会もそのあたりの科学的説明を受け入れていて

こうして作られたレメディーそのものには、何の効力もありません。砂糖以外の物質は何もないのです。だから、物質作用的な力はないのです。ただ、パターンのようなものが残っているため、体内の症状に共鳴し、自己治癒力の活動を発動させるきっかけを与えることができるのです。

https://jphma.org/About_homoe/about_homoeopathy.html

という奇妙な論理を持ち出しています。

残っているパターンってなんですか?体内の症状になにが共鳴するんですか?

という直球的な疑問が湧き出てくる解釈です。

日本ホメオパシー医学協会ホームページ

この考え方は「水の記憶」とか「波動」といったありえない擬似科学・偽医学の理論に限りなく近いものです。

ひょっとしたら「波動」とかから導き出された「水の記憶」 (「水からの伝言」という疑似科学本があります)はホメオパシーを今ある科学で無理やり理論付けるために考え出された詭弁なのかもしれません(この辺りもさらに探求する必要があるので、ホメオパシーはかなり面倒な相手です)。

ホメオパシーを発見した過程にも不思議な点がたくさんある

ホメオパシーを提唱しドイツ人医師サミュエル・ハーネマンはマラリアの治療薬であるキニーネを服用したところマラリア同様の症状が出たためにホメオパシー療法の基本的な考え方である「同種療法」が編み出されたようです。

正確にはキニーネが分離されたのが1820年なので、キニーネを抽出する前の「キナの皮」を使用していたことが当然考えられます。ホメオパシー懐疑的に見ている研究者の調べによると、ハーネマンが使用したキナの皮は15gなので、それに含まれるキニーネは400mg前後になり、現在マラリアの治療に使用される硫酸キニーネとして、成人1回0.5gを1日3回経口服用する基準から考えて薬にもならないし、副作用を起こすような量でもない中途半端な量であったことがわかります。

もしハーネマンがマラリア様の症状になっていたのなら、単に「キニーネアレルギー」でも持ち合わせていたことが予想されます。となると「同種療法」はもとより「ホメオパシー」という擬似科学に基づいた偽医療は勘違いから発生した、うっかりミス的大発見となりますよね。

日本でホメオパシーを推進しているグループ

既存の医療に不満を抱えている人が多数存在することは

医師でなくても既存の事実です。長寿国である日本、誰でもある一定レベルの医療を同じ様に受けられる国民皆保険が浸透している日本でさえ数団体が設立されてます。

  • 日本ホメオパシー医学協会⋯山口ビタミンK乳児死亡事故の助産師が所属していた 会長は由井寅子さんで「ホメオパシーはがんにも有効」と聞き捨てならない発言をしています。日本ホメオパシー財団が核となった企業グループという見方もあり、かなり派手な活動を行っている。
  • 日本ホメオパシー医学会⋯医師が中心の団体ですが、かなり偏った考えをしている人が目立ちます
  • ホメオパシー振興会⋯日本ホメオパシー医学協会の油井さんと共同経営をしていた永松昌泰さんが会長

各派閥?は独自のホメオパシーの解釈をしているようにウェブサイト上から伺われますので、熾烈なビジネス競争が起きているんですね、きっと。

彼らがよく主張する「英国ではホメオパシーは専門医がいて、王立の病院や取り扱い薬局が多数あり、健康保険の対象で、もともと英国王室はホメオパシーに絶対的信頼をおいている」という話は本当でしょうか?次回はそれを追求してみますね。お楽しみに❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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