ドクター松下ブログ

鼻のプロテーゼを抜き続けて20年、そこから見えてきたもの(その1)


■20年間で抜いたプロテーゼは1000本以上。

  私が鼻の修正手術に本格的に取り組み始めたのは1995年頃からでした。   鼻にシリコンプロテーゼなどの異物を入れた後、いろいろなトラブルが生じて困っている方の異物を抜いて自己組織に入れ替える手術を20年にわたって行ってきました。   抜いたプロテーゼは実に1000本以上にのぼります。  

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当院で抜いたプロテーゼの数々。ほんの一部です。

形、色合い、大きさ、硬さ、材質などすべて異なっていて、ふたつとして同じものはありません。中には象牙でできているものまでありました。

 20年間で、実にいろいろな症例を経験しましたが、その中でも特に重症で、治療にてこずった忘れられない例があり、いまだに時々夢の中に出てきてうなされます。  

その患者さんは、L型プロテーゼの一部が皮膚を突き破って鼻先から飛び出しているにもかかわらず、誰にも相談できず、怖くて病院にも行けず、なんと一年間もマスクで隠し通して生活をしていたのです。  

皮膚に穴が開いた状態で長期間放置していましたから、鼻全体に細菌がひろがって化膿し、膿の混じった汁が出続け、穴が開いた皮膚のまわりが壊死をおこすという大変な状態でした。それでも、三回に分けて手術をおこない、なんとかマスクなしで外に出られるところまで回復できました。  

 

■L型プロテーゼは特に要注意です!

  プロテーゼはその形により大きく分けてL型とI型があります。さらに、L型の支柱の部分を短くカットした中間型というのも含めると3種類に分けられますが、当院で抜いたプロテーゼの内訳は70%がL型、20%が中間型、10%がI型です。  

1980~1990年代にかけては、L型プロテーゼが主流で使われていたということもあり、トラブルを訴えて修正に来る方は圧倒的にL型が多いということになります。   以下にお見せする写真は実際に当院で取り出したプロテーゼです。  

IMG_0926こちらがL型プロテーゼです。

30年くらい前にはこのタイプが主流でしたが、その後いろいろな合併症が報告されるようになったため、最近ではI型を用いるのが一般的になっています。

IMG_0942これはI型プロテーゼです。

側面から底面にかけて小さい三角形の切れ込みが数か所ありますが、これはプロテーゼの柔軟性を増してフィットしやすくするために、時々みられるものです。この切れ込みの部分に組織がからみつくため、このタイプは取り出す時には手こずることがあります。  

IMG_0950こちらが中間型です。

このプロテーゼはあちこち削った跡があり、輪郭にフィットさせるための苦労の痕跡がみてとれます。

  L型プロテーゼで一番問題なのが、90度折れ曲がる角の部分が鼻先の皮膚を裏から圧迫して、皮膚がだんだん薄くなってくることです。そうなると中のプロテーゼが透けて見え、皮膚が白っぽく見えたり、圧迫された皮膚が血流障害を起こし赤く変色したりします。さらに皮膚が薄くなると、プロテーゼの輪郭が丸く浮き出てきて、最悪の場合は皮膚が破れ、プロテーゼが飛び出してくることがあります。  

IMG_0952これは飛び出す寸前の写真です。

  鼻先の皮膚が赤紫色に変色し、丸くプロテーゼの角の輪郭が浮き立っています。また、中心部に小さなかさぶたがついていますが、すでに小さな穴が開いていて、そこからときどき黄色い汁が出ている状態です。  

自分の鼻に入っているプロテーゼがL型の方は、特に注意して経過をみていく必要があります。      

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