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若者向けなら何でもネットで解決と思って失敗、外国もやっぱりお役所仕事 (笑)

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海外では若者の飲酒が問題化されていますが、草食系男子という言葉の流行とともに最近の若者はオッサン達と比べて飲まなくなったと言われています。オッサンの飲酒量と比べて明らかに飲まない傾向が読み取れます。

ニュージーランドで15000人の大学生を対象とした飲酒対策は大失敗

海外では学生の飲酒問題が深刻化しているために、対策の一つとしてネットを使用して飲酒量を減らす試みが行われました。

クルマ・旅行だけでなく、若年層の「酒離れ」が進行_(1_1):MarkeZine(マーケジン)

http://markezine.jp/article/detail/8000

この研究はオーストラリアのグループにより、なぜかニュージーランドの大学生向けにプログラムを組んだものです。改善させようと思った飲酒傾向は
・飲酒頻度
・トータルのアルコール量
・気晴らしの飲酒の機会
・深酒
日本と違って急性アルコール中毒を心配したものではなく、飲み過ぎで二日酔いで学校をさぼらないようにするためのプログラムだったようです。ニュージーランドの大学7校の学生14991人を対象にアルコールの問題を特定するAUDIT-C (簡易版アルコール使用障害特定テスト)へアクセスできるメールを送りました。
oki-kyo_jp_who-audit-jp_pdf
WHOが作成したアルコールの危険を訴える内容とともにこんな質問用紙がメールで届いた模様です。この質問票で回答してきた人は5135人⋯意外と真面目なニュージーランドの大学生。アルコールがその学生の生活に悪影響がでると判断されたのは3422人でした。
JAMA_Network___JAMA___Web-Based_Alcohol_Screening_and_Brief_Intervention_for_University_Students__ A_Randomized_Trial
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1849990より

行事における飲酒しかセーブできなかったという悲惨な結果

3422人を二つのグループに別け、一方はアルコールに対する教育をシツコク行い、もう一方はほったらかしにして5ヶ月間様子を見ました。その結果両者に差がでたのは、
・イベントにおける飲酒量、それもたったコップ一杯の差しか両者に認められなかった
という悲惨な結果になってしまいました。
joi140023t3__1__png
上記論文より

なんでもネットで解決しようとする大人

ネットだと若者にとって親和性が高いだろう、と予想するのは大人の論理であってなんだか知らない所からメールが来ても当然開かないでしょうし、開いてもご褒美が貰えないと参加しないのは当たり前です。以前も若者を対象としたFacebookを使っている人ほど落ち込みやすいというメールを使って調査した論文の欠陥をブログで指摘しました。

メールがスマホなのかPCを対象にしているのか、ニュージーランドのウェブ事情には疎い私ですが、日本でもキャリアメール(@docomo.ne.jp、@ezweb.ne.jp、@softbank.ne.jp)は大学生はほとんど使用していません。せめてGmailかYahoo!メールを使うか、レスポンスを高めるならLINEの使用も考えられます(私は中学生の息子とLINEで繋がろうと思ったら「通報するよ」と脅されました)。

役所のオッサンが「おっ、海外では若者に調査に協力してもらうためにメール使ってるらしい、じゃ今度ウチの省の調査もメールで」なんて決して思わないで欲しいですね。

しかし、15000人にメールしたら5000人以上が反応したということに私は驚いてしまいました。ニュージーランドの大学生って結構純情なのかも知れません、酒癖が悪いけど。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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