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「ジャバラ果汁」は花粉症に効果がある、医学的に説明している名誉教授のコメントが余分です

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「ジャバラ」と呼ばれる柑橘類が和歌山県の北山村で収穫され、この果汁が花粉症に効果があって村のおじいちゃん、おばあちゃんが一生懸命に収穫しているという良い話があります。

この微笑ましい話に水を差す医療系大学の名誉教授の解説が非常にマズいというか、余計です。

地域振興にも役立っている「ジャバラ」なのに、良い話が残念な結果に

じゃばら_柑橘_-_Google_検索

JA紀南

私の最近の趣味は「おばあちゃんの知恵」的健康法の宝庫である一般向け健康雑誌を読みまくることです。毒にも薬にも役に立たないってわけではなく、読みながら「確かに」とか「なるほど」と言う点も多数あり、微笑ましい身近なお金をかけないで健康になる方法が掲載されています。

なかには「○○を食べて末期がんから生還」なんて記事もありますけど、ほとんどの場合が「ガン」であるという確定診断がされていない杜撰な患者さんの思い込み&感想文なのでいちいち噛み付いていたら時間がありませんので今は放置しておきます。「おばあちゃんの知恵」が圧倒的に医療より安全で効果があるのが「しゃっくりの止め方」で、これは以前ブログに書いてあります。

せっかくの「ジャバラ」の効果もこの名誉教授の余分な説明が私の疑惑を招いた

「わ○さ」という健康雑誌は健康を害する様なサプリの広告も載っていませんし、○○食でがんを克服的な医療関係者に嫌われる記事もないので、私的には高評価な健康雑誌です。例えば「石鹸洗いをやめたら痒みが解消」とありますが、アトピーの方に対する石鹸・洗浄剤の使用については医師間でも決まった答えはでていません。また取り上げた健康法に必要なサプリ・健康食品への誘導法も露骨ではないので、愛読者の方は広告掲載した業者の期待ほどは申し込みをしていないと思われます。とにかく医療に携わるものとして全否定する必要のない健康雑誌とお考えください。このジャバラの効果を説明するにあたって大阪薬科大学の名誉教授が署名入りで投稿していますが、解説に違和感があったため、シツコク調査してしまいました。

○ジャバラで改善した花粉症の効果を示すグラフが怪しい

これが切っ掛けで元になっている論文を取り寄せました、多分この健康雑誌の愛読者13万人中私1人だと思います、元の論文を読んだ人。「スギ花粉症の症状とQOLに対する「じゃばら」果汁の効果」(臨床免疫・アレルギー科、50 (3) :360-364,2008)が投稿者の馬場先生の理論的バックボーンになっています。この論文で「ジャバラ」の効果としてこのようなデータが記されています。
スギ花粉症の症状とQOLに対する「じゃばら」果汁の効果_pdf(3_5ページ)
このデータ?を元にグラフが健康雑誌に掲載されていますが、グラフの基本である縦軸と横軸が0から始まっていないという、インチキグラフ特有の表記の仕方がされていたので、私は論文を取り寄せて読み込んでしまったのです。

アンケート調査レベルになってしまっています

「ジャバラ」の果汁を飲めば花粉症の症状が軽くなるなら、それで全く問題ないのです。花粉症自体、厚生労働省は病名として認めていませんので(正式にはアレルギー性鼻炎)、確定診断にはアレルゲンを特定する必要が少なくとも医学論文に記載しなければなりません。

研究の対象となった人は15名であり自分で花粉症と思っているだけの「たんなる風邪ひきさん」も混じっている可能性も否定できません。さらにこの15名の協力者全員に「ジャバラの果汁」を飲ませてしまったらブラインドテストにもなりませんし、当然ダブルブラインドでになりようがありません。あと、統計学的な処理をしたと論文にあるんですけど、p値が症例数15人で0.001以下になるのはどのような統計学的処理をしたか興味があるところです。

スギ花粉症の症状とQOLに対する「じゃばら」果汁の効果_pdf(1_5ページ)

論文をPDFで取り寄せたんですが、ボケています⋯多分、論文掲載誌をそのままスキャンしたんでしょうね、普通は電子データで論文データベースに保存されているんですけど。

正しい健康雑誌のありかた⋯私的提案

テレビも含んだマスメディアの○○健康法のいい加減さに、悩まされている医療関係者が多いのですが、健康雑誌は新聞よりスポーツ新聞、特に東スポレベルと考えれば、「あっ、そんな健康法もあるんですね」で済みます。それをNHK等が医師を登場させてもっともらしい論文のフリップボードを提示して信頼性を高めようとします。

私の友人も多数NHKを始め多くのマスメディアに登場してコメントしてますが、「重要な部分がカットされた」「説明の一部だけ強調された」などの言っています。先日、私も間違ったダイエット法についての解説をしたんですけど、そのダイエットの危険な点は「おならが臭い」という二時間話したなかの、数秒でした⋯まあ、これはお遊び番組でしたので私も一緒になって笑っていますけど。

多数ある健康雑誌で多くの中年以降の方を楽しませているので「おばあちゃんの知恵」の大ファンの私としては発展を願っています。

できれば「○○健康法でこんなに元気になった❗」という一般の方の感想文で十分なのではないでしょうか?占いや金運がつくグッズも一緒に広告されている健康雑誌ですから、まさか全部が真実であるなんて思う読者はいませんからね❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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