五本木クリニック院長ブログ

台風と病気の関係、特に「慢性疲労症候群」は症状の悪化と密接だった!


■台風、低気圧と病気の関係

以前、台風が近づくと喘息発作が増えるというのは都市伝説であって「ぜんそく発作は気温差による」とうブログを書いたら多くの方から「ウチの子は台風が近づくと発作をおこすよ」「私は絶対台風が切っ掛けで喘息が起きる!」などの苦情を頂きました 汗。呼吸器の専門医の間では、実際は温度差によって喘息発作がおきるのは常識らしいのですが、台風前後の温度差より風の方に目がいってしまいますから「台風が喘息発作の切っ掛けになる」という大人の対応とさせていただきます。
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慢性疲労症候群という病気がありますが、この病気の場合は台風うんぬんではなく、冷えることが症状を悪化させることが明らかになっています。

ちなみに痛みと低気圧の関係は以前「台風は痛みなどの体調不良と関連があるのか?」というブログでその関係を解明?しております。

■慢性疲労症候群と冷えの強い関係

慢性疲労症候群って最近よく耳にする病名ではありませんか?たんに疲れが取れにくい状態を示し「俺も最近疲れが溜まったな、慢性疲労症候群かな?」なんていうのは大間違いです。この病気は今まで多くの誤解を招いて来たのですが、どのような病態であるのかを簡単に説明します。

海外では筋痛性脳脊髄炎と訳される「myalgic encephalomyelitis」が一般的に使用されますが、他にも「chronic fatigue syndrome」と呼ばれることもあるため慢性的に疲れが取れない症状が一定しない病気と医師さえも少し前まで考えていました。

日本疲労学会が2007年にガイドラインを作成したためにやっとこのような病気があることを医師も含めて知られるようになったのです。日本では4〜500万人もこの病気に苦しめられている患者さんがいると予測されています。予測という言葉を使ったのは患者さん自身も疲れがなかなか取れないだけと思い込んでいたり、症状が一定しないために医師も他の病名と診断している場合もあるからです。

診断基準は次のようになっています
(1)労作後の疲労感(休んでも24時間以上続く)
(2)筋肉痛
(3)多発性関節痛 
(4)頭痛
(5)咽頭痛
(6)睡眠障害
(7)思考力・集中力低下
以下は医師が少なくとも1か月以上の間隔をおいて2回認める
(8)微熱
(9)頚部リンパ節腫脹(明らかに病的腫脹と考えられる場合)
(10)筋力低下
この基準の他に前提がいくつかありますが、詳しくはhttp://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/をご覧ください。
この慢性疲労症候群の症状を悪化させるものとして「冷え」があります。次に増悪させるものとして「気圧の変化」が挙げられています。

■台風と慢性疲労症候群の関係

台風が接近すると気圧の変化はもちろん、寒暖の差も大きくなりますので、慢性疲労症候群の症状を悪化させるという原因として、台風の接近は「冷え」と「低気圧」の両者を含みますので、一番症状に影響をあたえる環境の変化となります。

以前は慢性疲労症候群の診断基準は一般的には不定愁訴と呼ばれ、心ない医師からは「精神的な問題だよ」と言われてしまう場合もあったそうです。

■台風接近時の症状悪化に効果のある対処療法はあるか?

残念ながら慢性疲労症候群に対する決定的な治療方法はまだありません。しかし、症状を軽くするためにはとにかく暖めるという行為が効果を示します。「Medical Tribune 2008年8月7日(VOL.41 NO.32)」 に書かれている班目医師によれば薬物療法の前に暖めるという単純な目的のために「シャワーだけだった人の場合、湯船につかるだけで改善した」とか「お灸も効果がある」とのことです。と、いう「おばあちゃんの知恵」的な治療で多くの方が病気自体を治すことは無理でも、症状の悪化を改善することができる可能性が大きいのです。

どうしても蒸し暑い今の季節に台風はやって来ますが、家族や友人、職場で上記の様な診断基準に当てはまる方がいたら、まずは室温の調整を少し高めにしてみてはいかがでしょうか?と、いつになく妙に地球に優しいエコ派風を装った本日のブログです。

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