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アスピリンが大腸ガンの予防になるのは知られていたけど、胃ガン予防効果もある⁉

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私はなぜか脳梗塞になることを理由があるわけではないのに異常に恐れていて、予防的にアスピリンの服用を毎朝の習慣としています。

アスピリンのガン予防効果

アスピリンは毎日服用していると大腸ガンになるリスクが減少するという言われていますが、これはオックスフォード大学のアスピリンを5年以上服用しているひとは大腸がんで死亡するリスクが半分になるという論文によって今では定説となっています。ガンを予防するために生活習慣を見直すことを「第一次予防」、検診で早期発見して治せるものは治し、サバイバーを増やす事を「第二次予防」と呼んでいます(がんになっているのに予防ってもおかしい気がしますけど)。

となると生活習慣と早期発見の間に位置するのが「サプリメント」に代表される健康食品になると思われますが、「第1.5次予防」として薬を服薬することも考えられます。つまり、私は大腸がんのリスクは考慮に入れてはいませんでしたが、脳梗塞に対しては「第1.5次予防」を行なっていたと言うわけです。

実際にこのように薬物(サプリじゃありませんよ)を服用する予防的な手段を行政は「先制医療」と呼んで多くの大病院の協力のもとに「厚労省第3次対がん総合戦略事業」として積極的に研究を行なっています。

BBC_News_-_Daily_aspirin__cuts_bowel_and_stomach_cancer_deaths_

アスピリンの大腸ポリープ再発を防ぐ効果が日本で実証された

欧米ではアスピリンの服用が大腸がんだけでなく、大腸ポリープの再発も軽減させるということが判明していますが、それが食生活が違う日本人にも当てはまるかは未だ分っていませんでした。そこで国内の19施設でアスピリンの大腸ポリープ抑制効果の研究が行なわれていました。

  • 大腸ポリープ摘出者311人にアスピリンと偽薬を二年間服用してもらった
  • アスピリン服用していたグループは服用していなかったグループと比較して再発リスクが40%減少

という結果が現在でています。この結果で注意しないといけないのは喫煙者の場合は大腸ポリープの再発がアスピリン服用によって増加する点です。

欧米ではアスピリンは胃がんの予防にも効果があるとの発表

BBCニュースによると Queen Mary University of LondonのJack Cuzick教授の話として

  • アスピリンは大腸がんだけでなく胃がんや食道がんのリスクなども30ー40%減少させた
  • アスピリンの効果を享受するためには少なくとも5年間は服用を継続する必要がある

などの知見を掲載しています (BBC News health) 。

BBC_News_-_Daily_aspirin__cuts_bowel_and_stomach_cancer_deaths_

アスピリンを服用すると胃潰瘍のリスクがある

アスピリン等の鎮痛剤系の薬を服用すると胃潰瘍などが副作用として発生することが知られています。抜け目の無い日本の製薬メーカーはアスピリンとランソプラゾール(消化性潰瘍治療薬)を合わせた薬を開発して大々的にセールスをかけています。

消化性潰瘍治療剤ランソプラゾールと低用量アスピリンの配合剤「タケルダ®配合錠」の_日本における発売について___2014年4月~6月___ニュースリリース___武田薬品工業株式会社

脳梗塞の既往がある方や心房細動などがあり血栓の飛ぶリスクがある方に低容量アスピリンが処方されていますが、胃潰瘍を起こさないように予防的にこのランソプラゾール(商品名タケプロン)が処方されていたので、二錠の薬が1錠で済むというベネフィットを患者さんは得ることができます。このタケルダ配合錠の薬価は89.3円で、タケプロンとアスピリンを合計した薬価より安くなっているという経済的なベネフィットもあります。

私がアスピリンの飲むようになったのは、医師になりたての研修医時代に麻酔科にいた時にアメリカ留学帰りの全てがアメリカナイズされた先輩医師の影響なのです。その医師(今は教授になっています)は朝、出勤するとロッカールームでおもむろにアメリカ製のアスピリンの錠剤に飲むんです。理由を聞くと「がんの予防効果としてアメリカで行っているんだよ」とのことでした。今から30年近く前の話ですが当時からアスピリンの先制医療効果って論文になっていなくても経験値として知られていたんですね。

1920年代の馬鹿騒ぎ状態のアメリカをRoaring Twenties(ローリングは間違いでロアリングが正解です)と呼びますが、別名アスピリンエイジとも呼びます。繁栄の裏返しとして見えない不安におびえた人々が「アスピリンでも飲んでいないとやってられないぜ」的にアスピリンを飲んでいた時代でもあります。

ひょっとして麻酔科の先輩医師も日本の古くさい制度のもとでの医療なんて「アスピリンでも飲まないと」と服用していた可能性もありますが、実は毎朝二日酔いで頭が痛かったためにアスピリンを常用していたことが後日判明しました。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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