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高脂血症の薬は食道がんの予防になる、という肥満が気になるオッサン大喜びの結果??❗

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高脂血症の治療薬、コレステロール値を下げる働きがあるスタチン系の薬を飲んでいると食道がんになりにくい、つまり発症のリスクが減少することが分りました。以前からスタチン製剤は発ガンを抑制する効果があるんじゃないのか?と囁かれていたことをさらに裏付けるデータが発表されました❗

高脂血症の治療薬を飲むと、食道がんの発生が減る❗

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このメバロチンは日本で日本人によって開発されたスタチン系の薬として世界中で使用されています。血液中のコレステロールを減少させる「スタチン」自体を日本人が発見しています。このメバロチンを出しまくって儲けようとしてるんじゃない的なご意見がでるかもしれませんが、当院ではメバロチンは院内処方としては採用していませんし、製薬メーカーである第一三共と利害関係は一切ございません。

このスタチンは私の専門である泌尿器科領域では「前立腺がんの死亡リスクを低下させる」という報告があります。

Statins_and_Prostate_Cancer_-_Prostate_Cancer_Foundation__PCF_

Prostate Cancer Foundation

コレステロールの治療で薬を飲んでいると良い事もあります

メタボリックシンドロームの基準の中で脂質異常が含まれているのはご存知だと思いますけど、繰り返します。中性脂肪が150mg/dL以上あるいはHDLコレステロールが40mg/dL未満(いわゆる善玉のコレステロールですね)だと引っかかります。オッサンの場合、アルコールが中性脂肪を高める主な原因と予想されます。一方、トンカツやステーキ好きのオッサンの場合、コレステロールは全体的に上昇しそうなものです。以前ブログで「健康の悪役 トンカツを無理やり擁護してみます」を書いて一部のおじさんから賞賛を頂きました。www

でも、肉食は善玉コレステロールよりも悪玉コレステロールを上げる傾向があるようですし、運動不足や喫煙も悪玉のコレステロールを増やしてしまいます。つまり、肉食中心の不健全な生活を送っている人は善玉コレステロールが低くなるのです。

健康診断で注意されても「運動をこころがけます」「肉食を避けるようにします」「もちろんタバコやめます」と宣言したその夜に悪友と串カツで一杯引っ掛けて、タバコを吸いながら悪友と悪巧みをして、次の日はウォーキングしようと思っていても二日酔いで、なんてパターンの方も多いのではないでしょうか?そこで善玉コレステロールを増やして、悪玉コレステロール値を下げる働きがあるのが「スタチン系の高脂血症治療薬」です。

コレステロールの薬を飲んでいると、食道がんになりにくい

というオッサンが喜ぶ論文が発表されたのです。

スタチン系の薬は食道がんの予防になる??

この衝撃の論文はなぜかあまり大きく報道されていません。

Statin_Use_Is_Associated_With_Reduced_Risk_of_Histologic_Subtypes_of_Esophageal_Cancer__A_Nested_Case-Control_Analysis_-_Gastroenterology
https://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085 (13) 01727-7/abstractより
赤字で囲った「Statin 」は日本ではメバロチンやリピトールが有名です。

英国のデータベースにあった2000年から2009年までに食道がんである食道腺がん581人,扁平上皮がん332人、食道胃接合部腺がん213人を対象としています。対照群としては食道腺がん2167人、扁平上皮がん1242人、食道伊接合部腺がん783人です。

この研究はコホート内症例対照という方式で行なわれました。この方式は前向きのコホート研究(特定の条件に当てはまる人と当てはまらない人の両者に参加してもらい、将来に渡って追跡調査する)のうち、調査期間中ある特定の病気になった人とその病気にならなかった人(今回の研究では食道がん)を対照群として選び、両者の違いを研究するものです。

食道がんはスタチン系の薬を飲んでいる人に有意に少なかった

との結果がでました。分りやすくザックリの表現をすると対照群の人の方がスタチン系の薬を飲んでいた率が高かったということです。さらに食道腺がんの場合は、飲んでいるスタチンの量と期間に比例して発生リスクが減少していたのです。

ここの所はかなり重要で薬の量とある結果が比例していると、その薬は明らかに結果に対して影響があると考えられるのです。逆の例えで言えば、少量の毒薬では効果が現れなくても、毒薬の量が増えると死に至るという場合と同じです。

肥満度、喫煙、アルコールなどをチェックしても結果は変わらなかった

このような結果がでた論文・データって後からケチを付けられる事があります。喫煙やアルコール摂取などの嗜好品の有無を加えて検討したら、喫煙していると逆にリスクが上昇するとかぬか喜びした人がガッカリする結果になる、ということがありがちです。しかし、この論文はBMI・喫煙・アルコールに関しても補正してデータを出しています。

ということは健康診断で「高脂血症」と言われたら直ちにスタチン系の薬を飲みだせば、太っていようが、タバコを吸おうが、ガブガブお酒を飲もうが食道がんになるリスクが減るということになります。

注意:現在治療中のオッサンの場合、肥満であれば当然、心血管系の病気で死亡するリスクは上昇しますし、喫煙は当然肺がんのリスクを高めますし、アルコールの過剰摂取は肝硬変への近道です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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