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死んだ乳酸菌でも効果がある⁉それならあの恐怖の「糞便移植治療」はどうなっちゃうの??

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多くの女性がお通じ問題を抱えているので、女性ウケを狙って最近は乳酸菌を徹底的に調査しています。

昨日のブログに続いて今回もお通じに関連する腸内細菌について考えていきます。

乳酸菌って死んでも他の善玉菌の餌になるらしい

いくら乳酸菌がたくさん入っているサプリ・乳製品でも死んだ乳酸菌の数までカウントして「乳酸菌が100億個」ってやっても効果あるんの?という素朴な疑問をブログに書きました。その後の調査でっていうか、新聞広告で目撃したものはなんと「乳酸菌が一兆個!」ってどんどん乳酸菌の数を争う感じにサプリや乳製品業界は突き進んでいます。
死んだ乳酸菌を摂ってもしかたないんじゃないの的に話をまとめたところ、理系のオッサン友達から実は「死んだ乳酸菌でも腸内で生きている乳酸菌の餌になって、いわゆる善玉菌が増えるのに役立っている❗」って情報が入りました。

この衝撃的な新事実の真贋を確かめるために、ネット上をさまよったところ

生きた乳酸菌はプロバイオティクス、死んだ乳酸菌はバイオジェニクス

という表現のサイトにたどり着きました。この聞きなれない「バイオジェニクス」って用語を使用しているサイトは「死んだ乳酸菌も生きている乳酸菌の餌になる」つまり、死んでいても役に立つという主張になっています。

となると、いかに胃酸で生きた乳酸菌が死なないで腸管まで届くように努力を続けてきた、理系農学系のオッサン達の今までの血と涙と汗の研究はどうなっちゃうの?

生きた乳酸菌プロバイオティクスはなぜ注目されるのか?

死んだ乳酸菌なんて腸管には入っても正常なというか善の働きをする腸内細菌叢に全く貢献してないじゃん、ってちょっと医学知識がある人は考えていたはずです、私も含めて。

まずは生きた乳酸菌がどのように健康な腸内細菌叢作りに役立っていて、どんな作用が体内で起きているのかを考えてみます。

(1)強力な胃酸で分解されるので、生きたまま腸に届く確率は低い。
(2)生きたまま腸に届いても、自己の1000兆個もの腸内細菌に排除され付着出来ない。
(3)食べ物が腸を通過する時間は約24時間なので、付着しても増殖するには時間が足りない。
(4)胃酸で分解されて死菌になることで、善玉菌の餌になる。
(5)加齢や病気の時は、生菌ではかなり大量に摂取しないと効果が得にくい。
(6)糖分を含むヨーグルトや乳酸菌飲料では、大量摂取するとカロリー過多になってしまう。
(1)大量に摂取しても、直接パイエル板に作用させることは出来ない。
(7)気軽に摂取できる。価格は安め。

と書かれたサイトがありました。コグコンセプト株式会社 生きている乳酸菌と死菌(加熱処理菌)の違いより 原文中(1)が重複していることは気にしないでください。

このようにわざわざ生きている乳酸菌を食べてもほとんど効果がないばかりではなく、免疫も強くならないし、カロリーオーバーになってしまい、あまりお勧めできない的なイメージが前面に打ち出されています。このなかで(4)において、やっぱり死んでも善玉菌の餌になってそれなりの貢献をしていることが記されています。

一般的な医学としては生きている善玉菌であるプロバイオティクスはかなり健康改善に貢献すると考えられています。

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北里大学薬学部微生物学教室「期待されるプロバイオティクスの有益作用」より
お通じ問題だけではなく、感染症に対する抵抗力、さらには高血圧改善も期待されています。

死んだ乳酸菌は健康にいい⁉

わざわざ生きた乳酸菌を食べなくても腸内細菌叢に生きている乳酸菌が存在すれば死んだ乳酸菌が餌となり、結果的に善玉菌が豊富な腸内環境が整う、という考え方ができます。

(1)乳酸球菌であるEF-2001株の有効な部分だけを取り出すので大量摂取出来る。
(2)加熱処理をすることにより品質を高め、安定させる事が出来る。
(3)腸の状態にかかわらず、腸に付着して善玉菌を増やす効果がある。
(4)パイエル板に直接作用させることが出来る。
(5)EF-2001株は、免疫を上げる効果がダントツに高い。
(6)飲み物や食べ物に入れて加熱しても、品質が変化しない。
(7)1度に1兆個以上摂取する事が出来る。
(8)1リットルから数グラムしか取れないので、価格が高め。

前述生きている乳酸菌と死菌(加熱処理菌)の違いより

この考えに従うと、死んだ乳酸菌の方が抜群に効果があることになります。ネット上をウロウロしてこのサイトに辿り着いたんですけど、

なんだこのサイトは加熱処理した、つまり死んだ乳酸菌のサプリを販売している会社のものでした❗

バイオジェニックって用語もこのような主張をするグループが使用している内輪でのみ通じる言葉だったんですね。

自分だったら腸内細菌のことを考えて食べるなら、乳酸菌をいかに胃酸から守り、腸内まで送り届けるかを長年の課題としてきたメーカーの乳酸菌を含む食品を選んじゃいます、研究者の努力に報いるためにも。

糞便移植ってとんでもないけど、かなり効果のある治療法がありまして⋯

以前、ブログでご紹介したのもので「糞便移植治療ってやりたくないな。 集団感染の対策っていわれても⋯。」ってものがあります。クロストリジウム・ディフィシルというバイキンが原因となって免疫力が衰えた高齢者の多い施設で集団発生によって多くの方が重篤な病状に陥っています。その解決手段として健康な人の腸内細菌叢に存在する「生きた善玉菌」を直接、体力のない人の腸内に入れてしまう

糞便移植治療という画期的な治療方法が注目を浴びています。

実際の治療風景の画像もあるのですけど、ゲッというよりオエッって感じなのでアップするのは控えますね。方法としては鼻からチューブを移植を受ける方に入れてもらい、そのチューブのなかに乳酸菌などの善玉菌がいっぱい(100億個か一兆個かは不明ですけど)の糞便を直接注入する、という想像しただけでもオエッって治療方法です。

あっ、ご安心ください、まだ米国でも治験段階なのですぐに日本でこの糞便移植治療が行われるワケではありませんから。この治療法は正式にはfecal microbiota transplantsと呼ばれ略してFMTと記載されることもあります。実際にFDAの承認を受けることを目的として多くの施設で治験が行われています、しつこいけど米国で。

せっかくこんな辛い治療を真面目にそれこそ血と涙と汗とう●ちにまみれながら研究している人が日本の乳酸菌業界の見解を見たら、研究に使用している良質なう●ちをばら撒いて怒りまくるんじゃないでしょうか?

是非とも、糞便移植が日本で正式に医療行為と認められる前に、乳酸菌関係者の方々は死んでいようが生きていようが、腸内細菌叢を健康な状態に保つ方法の研究をお願いいたします。

追伸 ブログ「乳酸菌が100億個❗ところでどうやって数えてんだ??」で宿題とさせていただきました、ビフィズス菌の数え方ですが、製薬会社に電話で問い合わせました。何倍かに希釈した溶液を培養してコロニーに存在する菌の数を顕微鏡を見ながら一々カウントするんだそうです❗今は知りませんけど昔NHKの紅白歌合戦で勝敗を決めるために「野鳥の会」の方が出てきてカチカチとカウンターで数を数えているように数えているそうです。熟練した検査技師さんなら10000個くらい数分で数えられるかもしれません。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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