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バストが大きい女性に肩こりが多い理由、それは、ブラジャーの大きさと肩こりに深い関係があるからです

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都市伝説に「胸が大きい、つまりバストが大きい女性ほど肩こりになりやすい」という話があります。イメージ的に大きなバストを胸部に抱え込んでいると、その重みで肩がこってしまう、という理論?は納得しやすいですよね。

もちろん、そんなことあるわけないじゃん、って笑い飛ばす人も多いかと思います。

整形外科医や鍼灸師さんや接骨師さんが肩こり巨大バスト原因説を説明しているサイトもいくつかあります。いくつかのサイトを覗いてみて、女性は胸が大きいと肩がこりやすくなることのメカニズムを医学的・解剖学的に説明していて納得していました。

でも、まず重要なことは

胸が大きいと肩が凝りやすい

というデータが存在していることが大前提になって、初めてバストが大きいとこんなメカニズムで肩がこるんだよ、という説明が必要となってきます。

胸が大きいと肩がこる、を証明した論文があります

はい、実はあるんです、ブラジャーのカップの大きさと肩こりの関係を調べた医学論文が❗この論文は三重大学医学部のよって「Relationship Between Brassiere Cup Size and Shoulder-Neck Pain in Women」というタイトルで医学専門誌に掲載されています(Open Orthop J. 2012;6:140-2. )。

Relationship_Between_Brassiere_Cup_Size_and_Shoulder-Neck_Pain_in_Women___DeepDyve

上記論文より

やっぱり肩こりはブラジャーのサイズと密接な関係があった❗

今回、胸が大きい(下品な言葉かも知れませんが巨乳)だと肩が凝りやすい、という俗説を実証した論文の内容はこんな感じです。

・三重大学病院の女性職員339名を対象に調査が行われた

・首の痛みや肩の痛みはブラジャーのカップサイズが大きくなるほど多くなった

という結論を導き出しています。この論文を素直に読み下せば

肩こりは胸が大きいほどなりやすい❗

ということになります。ここで論文は肩こりじゃ無くて「shoulder-neck pain」って書いてあるんじゃない、というツッコミもあるかと思います。

肩こりを直球的に英訳すると英訳すると「stiff shoulder」になりますが、実際に英語圏では肩こりは「stiff neck」っと表現して、「首こり」と呼んでいるんです。これこそ俗説になりますが、英語で肩こりを表現する言葉がないので、外国人は肩こりにならないで、肩がこるという症状は日本人特有のものである的な説明をしてるサイトもありますが、それは明らかに間違いです。

今回の肩こりとブラジャーのサイズを検討した論文は「shoulder-neck pain」となっていてわざわざ「肩」の英訳を入れたのはもともと日本語の論文があって(下書きかもしれません)を海外の医学誌に掲載するために、英訳したためと考えられます⋯こんなところが日本人研究者の涙ぐましい努力のあとが伺えます。

どのサイズの胸の大きさから肩が凝りやすい、と言えるのか?

論文で物事を判定するためには、まずは基準が必要となります。胸が大きい(巨乳⋯もちろん医学用語ではありません)とか、胸が小さいことと肩こりの関連性を研究するにあたっても、もちろん判定基準と考えられるものが存在しています。この研究ではAカップ以下とBからDカップ、そしてEカップの大きく分けて三段階にブラジャーの大きさを分けています。となると、胸が小さいのがAカップ、胸が大きいのがEカップ、標準的な大きさがBからDカップということになります。

医学論文というのは多くの参照論文を使用して書かれますので、この三段階に胸の大きさを分類したのは三重大学独自の基準ではないと予想されます。

バストの大きさの基準を論じた「What is a large breast? Measuring and categorizing breast size for tangential breast radiation therapy.」という放射線治療をするさいに、バストの大きさで放射線量を決定する基準を決める必要があると考えた研究者による論文があります (Australas Radiol. 2007 Dec;51 (6) :589-93) 。

この論文によればDカップ以上がlarger-breasted patients、つまり巨乳となっていますので、論文の基準となったオーストラリア人と比較すると、小柄な日本人の場合をEカップ以上で区分けした三重大学の論文は賛否が問われる重要な問題を抱えた研究と言えるかもしれません。

えーっと、ブラジャーの大きさが胸の大きさを厳密に反映しているか?という素朴な疑問

実は三重大学のブラジャーのサイズと肩こりの関連性を論じた文献には大きな不備があるのです❗というのも、ブラジャーのサイズは自己申告制だったんです。一般的に研究の協力者、この場合は女性職員339名と研究者の間に「実験者効果」のバイアスがかかった可能性があります。

この実験者効果というのは人を対象にして行う研究では非常に厄介な影響を与えるんです。簡単にいうと研究の対象者は研究者に対して、ついつい協力的な研究者に有利な申告をしがちになるのです。研究者が「胸の大きな女性は肩こりになりやすい」という気持ちで研究すると、協力者が「私は肩こりをするからブラジャーのカップは大きめに申告しよう」とか「胸が小さいのに肩こりをするというと、研究者の意図に反するんで、肩こりしないと申告しよう」ということが起こり得るのです。

このようなことが起こらないために、医学の実験や治験では「二重盲検法」という方法がとられます。女性の胸の大きさと何の関係を調べるための実験であるか、をはっきりさせないで「ブラジャーのカップはいくつ?」と聞いて回ったらその時点でアウトですし、「カップだけでは判定できないから、直接バストを測定させてね」なんて言ったとたんに「エロ医者」と呼ばれて通報されかねません。

倫理的な縛りのキツイ昨今の研究者の苦労を評価する意味も込めて、「胸が大きいと肩こりになりやすい説」は本当だと、現時点で判断するしかないようです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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