fbpx

薬が多い、とお嘆きの方へ⋯医師はなぜ大量の薬を処方するのか?

更新日:

日常の診療を行っていると、ダブった薬を処方しないためや飲み合わせの問題を避けるために今飲んでいる薬を全て尋ねます。「これはサプリだから言わないでいいよね」と考えないで健康食品であるサプリもぜひお伝えいただきたいと思います。

しかし、とにかくやたらめったら大量の薬を処方されている方が多いのに驚きます。なかには薬だけどお腹がいっぱいになってしまうくらい大量の薬を処方されている場合もあります。

とにかく薬の数が多すぎ❗

薬を大量に処方されている場合の理由として

1:医師は薬を出せば出すほど儲かるから、大量に処方する

2:多種類の病気にかかっているので、大量の薬が必要となる

3:複数の医療機関を受診しているので、多量の薬が処方されている

などの、理由が考えらえます。波動系ソマチット派のFacebook有名医師の考え方は私とは99.9パーセント違っていますが、残りの0.1パーセントだけ、意見が一致しています。

そんなに大量の薬を飲んで意味あるの??

ということです。

波動系の某医師はだからこそ、薬を飲まないでこんな健康法で病気を治しましょう、製薬会社・医療業界の陰謀に嵌められないように気をつけましょう、と誘導して信者さんを獲得しています。彼の主張は99パーセント以上、トンデモ系の理論に裏付けられているんですが、特に精神科領域(たぶん某医師の専門分野)における多量の薬の処方はまともな医師なら疑問を抱かないわけにはいきません。

large_pills-in-hand_jpg__453×314_

大量の薬を処方すれば医療機関は儲かるか?

これは即答できます。儲かりません❗当院は院内処方という方式を採用しています。熱や痛みで苦しんでいる人がわざわざ処方箋薬局を訪れて薬を処方してもらう、現在多くの医療機関が採用しているシステムがどうしても納得できないからです。

昔は多くの医療機関が診療・診断後に院内で薬を渡していました。外国式に医薬分業しようよ、という厚生労働省、医師会、薬剤師会の考え方があったためです(この辺りの詳細は今後お伝えする予定です)。

当院の場合、泌尿器科・内科・皮膚科そして美容と広く診療をしていますので、抱え込んでいる薬の在庫の量っていったら、そりゃ半端ないです。薬も食べ物と一緒で賞味期限じゃないけど、消費期限が決められているので、毎月毎月破棄処分をしなければなりません。また、滅多に処方しないけど、万が一のために在庫として抱え込む必要のある薬もありますし、土地代の高い東京では薬を保管するスペースの問題、発注の手間暇などを考えると、大きな薬価差益が必要となってきます。

その薬価差益ですが、大病院ならともかく、当院のような一般のクリニックレベルですとあったとしても1パーセントくらいとなっています。デッドストックを抱え込むことはキャッシュフローに悪影響ですし、廃棄分で薬価差益なんて消え去るどころではなく、マイナスになります。

よくよく考えてみてください。大病院に所属する医師は売り上げをあげれば上げるほど、給与が増えるわけではないの、大量の薬を処方することによって医師個人が経済的に利益を得ることとは結びつかないんです。

特定メーカーの薬を大量使用して、製薬メーカーから賄賂がもらえる的に取られている、半可通の人もいますが、それは発覚した時点で完璧アウトですし、今回の話題である「多種多様の薬が大量に処方されている」ということの裏付けにはなりませんよね。その多種多様の薬が全部同じ製薬会社が製造販売している、なんてことはありませんから。

複数の病気にかかっているので、薬の数が増える

高齢化社会である、世界的にみて医療費が安い、保険制度によって患者さんの負担金額が低く抑えられている、医療機関を気軽に受診できるシステムが日本の医療制度の優れた点であるとともに国の財政危機を招いている点でもあります。

本来ならば寝て治すくらいで十分である「風邪」で医療機関を受診することが問題になっていますし、ちょっとした不調で大病院を受診する傾向によって大学病院などでの待ち時間問題が発生していますよね。ついでに受診って場合もあります。当院のように複数の診療科目を標榜していると、膀胱炎で受診したのに「先生のところって皮膚科もやっているんですね、実は⋯」って感じで半年もほったらかしていた湿疹の治療を希望する方もいます。仕事が忙しくて、やっと時間を確保して膀胱炎の治療に来たんだから、ついでに皮膚科もって気持ちは十分に理解できます。膀胱炎も湿疹も同一の医療機関で治療すると、処方する側も「これとこれを処方すると薬の数が多くなるから」と意識するために、本当に必要な薬だけを処方する傾向というか自主規制的な処方になります。

しかし、整形はこのクリニッック、血圧はこのクリニック、緑内障はこのクリニックなど、複数の病気を複数の医療機関で治療している場合、担当医師は自分の処方を優先しますので、合計10種類以上の薬が処方されていることも珍しくはなくなってしまいます。

このような病気の中には「治癒」つまり治らない病気も多数ありますので、治らない病気を治すためになんで通院するの?という医療拒否は・医療不信派が出てくる気持ちも理解できます(ソマッチド医師に0.1パーセント共感 )

複数の医療機関を受診している場合は重複する傾向が⋯

地方などで受診可能な医療機関の数があるていど制限されてしまうような環境だと、気軽におおくの別々の医療機関を受診することは難しいと思われます。大都市圏ですと、どこを見渡しても医療機関だらけなんで、「血圧は昔から通院しているからこのクリニック」「泌尿器はこの先生テレビにでていたからここ」「新聞でこんな症状がでたら、糖尿病っていっていたから検査はこの先生」的に患者さんからしたら受診できる医療機関がよりどりみどり、とある意味では恵まれた環境になっています。

各々の医療機関は自分の処方に自信と責任をもって処方してるはずですが、確実にその他の医療機関がどのような処方をしているのかを把握することは不可能です。というのも他のクリニックで処方された、その処方も毎回決まっているわけではないので、本来ならばあの「お薬手帳」で一元管理されるべきなのに、お薬手帳を持参しない人も多いですし、各医療機関がお薬手帳を別々に出している場合もあります。

そうなると重複して処方されていたり、薬同士の相互作用によって治るものも治らないこともありますし、副作用が増強される場合もあります。これだけネットが活用され、お年寄りでもスマホを使いこなしている時代です。

患者さんが今何箇所の医療機関を受診していて、どんな薬が処方されいるのか?という情報を一元管理することってそれほど難しいことだとは思えません。医療費の削減が必要ならば、このあたりから手をつければかなりの無駄が削減でき、重複した薬による相互作用による副作用も減る、と考えるんですけど⋯・。たぶん、医療情報は究極の個人情報である❗なんて感じの主張をする一派によってかなり強く反対されるんでしょうね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

Affiliated Medical Institutions

主な提携医療機関

一般診療
診療日
月・火・水・金
9:30~12:30/15:00~18:30

土 9:30~12:30
休診日
木・日・祝
受付時間
9:00〜12:15/14:30〜18:15

泌尿器科・内科・発熱外来

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7000

美容診療
診療日
月・火・水・木・金・土
10:00~18:30

※完全予約制です。ご予約はお電話ください。
休診日
日・祝
受付時間
10:00〜18:30

美容外科・美容皮膚科

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7015

© 2023 医療法人社団 萌隆会 五本木クリニック