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テストステロンこそ、男の味方だ❗テストステロンが高いと脳卒中のリスクが低くなる❗

更新日:

テストステロンというホルモンがあります。

男性の更年期障害の指標になるホルモンで、減少している場合は補充療法で諸症状を解消することが可能です。

なんで美容をやっているお前が泌尿器の分野のテストステロンを取り上げるんだ、という疑問をお持ちの方へ⋯私は専門は泌尿器でして、泌尿器の一分野に副腎や睾丸より分泌される副腎皮質ホルモンやテストステロンがあるのです。

男が男である証がテストステロンです

男性のエイジングケアに限って言えば、そんじょそこらのエイジングケアドクター(そんな用語があるかは不明)よりは詳しいですし、私以外の泌尿器科医もエイジングケアは大好きです。男性の薄毛、ED、そしてLOH (男性の更年期)の治療に使われる薬は全て泌尿器関連の薬です。テストステロンと言うと戦い・野蛮なイメージをもった方も多いですし、前立腺がんの場合はテストステロンががんの餌になるので、良い印象を持っていない非泌尿器系の医師も多いのです。しかし、泌尿器が得意とする

テストステロンはやっぱりいいやつで、テストステロン値が高い男性は脳卒中になるリスクが低い

という論文が発表されました。

テストステロンと脳卒中の深い関係

このテストステロンいい奴じゃん説は「In Older Men, Higher Plasma Testosterone or Dihydrotestosterone Is an Independent Predictor for Reduced Incidence of Stroke but Not Myocardial Infarction」(J Clin Endocrinol Metab 2014; 99: 4565-4573.)というタイトルでちゃんとした医学専門誌に掲載されています。科学系の専門誌のクオリティを評価する指標としてインパクトファクターというものがあります。このインパクトファクターの点数の付け方自体に賛否両論があるんですが、一応の目安としてこのournal Of Clinical Endocrinology And Metabolism は6点代をキープしていて、非常に残念なんですがインパクトファクターが1.7点台の日本の英文泌尿器専門誌「International Journal of Urology」よりは世界的に評価が高いものになっています。

www_pfizerpro_com_co_sites_g_files_g10017511_f_publicaciones_122014_20V99I12-_20In_20Older_20Men__20Higher_20Plasma_20Testosterone_20or_20Dihydrotestosterone_20is_20an_20Independent_20Predicor_pdf

前述論文より

今回の論文は70から89歳の男性2690人のテストステロン値を調べ(ねっ、エイジングケアでしょ)、そのおじいちゃんたちのうち脳卒中を起こした人と起こさなかった人のホルモン系の違いを検討したものです。対象としたホルモンはテストステロン・ジヒドロテストステロン・エストラジオールでした。結果は
・約7年間のフォローアップ期間に344人が心筋梗塞を起こしていた
・300人が脳卒中を起こしていた
・心筋梗塞は測定したホルモンと相関関係はなかった
・テストステロン・ジヒドロテストロンが高い人は脳卒中になりにくかった
となっています。つまり

テストステロンがたっぷりあるおじいちゃんは脳卒中になりにくい

ということがこの論文より言えますね。

テストステロンを補充するとEDが改善するのと脳卒中の関係

LOH (男性更年期)の初発症状としてEDがあります。血液中の遊離テストステロン値が一定レベル以下の場合にテストステロンを補充する治療を行うと、かなりの確率でEDが解消します。

注意:EDの治療目的だけでテストステロン補充療法は通常行いません

バイアグラ・レビトラ・シアリス等のED改善薬が効果を発揮するミソはNO(一酸化窒素)に対する効果であり、簡単に言えば血管のしなやかさを取り戻すのです。血管の太さはざっくり言うと 陰茎<脳<心臓 の順になっていますので、EDの原因が血管のしなやかさがなくなった為であれば、EDは脳卒中・心筋梗塞の前触れという表現もできるのです。実際にED改善薬を飲み続けると高血圧が改善する症例もありますので、理にかなった考え方なのです。

テストステロンが高くても心筋梗塞になってるじゃん、に対する検証

今回のオーストラリアの研究者が対象とした男性は70から89歳とかなりの高齢者を対象としたものです。心筋梗塞に対してテストステロンの量が影響を与えていなかったという残念な結果になっています。

ちょっと下衆な話になりますが、世界初のED治療薬バイアグラが発売された当初、いわゆる性行為中の死亡が米国で多発しました。ほとんどが心筋梗塞が原因だったようです。性行為が可能となる神経は大雑把に言って副交感神経、行為を終わらせるために必要なのは交感神経です(詳細にはもっと複雑なのですけど)から、行為が終わった時点で交感神経が優位になって血圧が上昇あるいは急速に血管が収縮して心筋梗塞を引き起こした可能性があります。テストステロンが高くないくせにED改善薬を使用して性行為を行った場合、必要以上に頑張ってしまい、そのため過度な負担が心臓にかかり行為中(実際には行為後)に死亡してしまうのです。

今回のオーストラリアの心筋梗塞で亡くなった方の死亡状況が詳細に報告されていたら、ひょっとしたら多分、行為後の心臓発作が多数しめる可能性があります(かなりこじつけですけど、可能性は高いのです、理論的には)。テストステロンが高く、かつ高血圧の既往がない人に限ってもう少し多くの男性を対象にした研究をすればもっと「テストステロンってスッゲーいいやつじゃん」という結果が期待できます(このような最終的にある結果を期待して行う臨床実験の多くは「実験者効果」というバイアスによって統計学的に後日否定されることが多いです 笑)。

日本の健康法の元祖貝原益軒の養生訓には次の言葉が記されています
「接して漏らさず」
まさに名言です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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