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「朝食は大切、朝食抜きは不健康」という常識は本当なのか?朝食を抜くと逆に太る説などを検討❗

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「朝ごはんは何時くらいに食べましたか?」と検査の時に尋ねると「今日はご飯はたべませんでした」という答える患者さんがいます。

「パンと紅茶だけですから」とか「バナナだけですから」⋯ご飯=お米、と捉えているのか、軽食だから食事のうちに入らない、という解釈なんですね。ですから「今日は起きてからお水以外に何か口にしましたか?」と尋ねるようにしています。

朝食が一番大切、という常識を疑ってみました。

常識として「朝食抜きは不健康」とされています

プチ断食が少しばかり流行したので、以前いくつかのブログで「そもそも断食とは」的なことを書いてきました。私は標準的とされている朝食を食べる習慣はここ数十年ありません(若い時は二日酔いで食べられない、今はそれになれて朝食は野菜ジュースとコーヒー)。別にプチ断食とかを意識しているわけではなく、単にこれに慣れてしまっただけです。その反面、寝不足で食欲がない傾向がある子供には「しっかり朝食を取らないと1日のエネルギーが」的な発言もしてしまい、矛盾オーラを家庭内で振りまいていました。

本当に朝食って重要で、健康な1日を送るために必要なものか?という素朴な疑問に対して、朝食って実は対して重要じゃないんだよね、という文献がないか探してみました。

探せばあるんですね、朝食抜きはダイエットに効果的❗

健康的にダイエットをするためには朝食はしっかり摂りましょう、という主張は多くの医師に推奨されているダイエット方法と思われます(低炭水化物ダイエットを間違って捉えている医療関係者もいますけど)。この説と全く真逆の報告をしている人もいます。「Impact of breakfast on daily energy intake – an analysis of absolute versus relative breakfast calories」というタイトルでNutrition Journalに発表されています。この研究では朝食をしっかり食べている人は、少ない朝食で済ます人より、がっつりカロリーを摂っているので痩せるためのダイエット方法としては朝食は抜いた方が効果的という結論になっています。

研究は280人の肥満の人と100人の肥満ではない人に2週間程度食事の内容を記録してもらいました。朝食ガッツリ派は朝食消極派と比較して400キロカロリーも余分にカロリーを摂取していて、当たり前ですが1日の総摂取カロリーも多くなっていた、という結論です。朝食をしっかりと食べれば昼や夜に摂取するカロリーが減るんで、ダイエット時に朝食はしっかり摂りましょう!という常識は間違っている、との結論になっています。

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前述Nutrition Journal 2011, 10:5 より 左のグラフが肥満した人、右のグラフが標準体重の人のデータです。

単にカロリーから考えた場合は食べれば食べただけ肥満傾向にあるし、朝食をがっつり食べれた昼食・夕食が減るんじゃないか?という考え方は間違っている、ということです。

1日三食しっかり食べましょう❗はあのエジソンの陰謀説

日本人はもともと1日三回食事を摂っていなかった、江戸時代は1日二食が普通だった、という話はよく耳にします。米国でも1日に三回食事をする習慣はもともとなかったのに、エジソンが発明したトースターを普及させるために、健康のために1日三回しっかり食べましょう❗と宣伝したという説です。

【エジソンの時代を探る】
http://www.edisonworl10.com/times/より

この真贋を判定する材料がうまく収集できないので、あくまでいま手元にある情報をもとにこの説を検討すると、嘘っぽいです。

米国の朝といえば「シリアル」や「オートミール」が主流であり、朝食をしっかりとる=食パンを食べる=トースターが売れる、という図式は成り立たないのではないでしょうか?となると、あの元祖健康オタクのケロッグ博士やあるいは穀物メジャーのカーギルが仕掛けた陰謀かもしれません。笑

積極的に朝食は有害という考え方もできます

朝はまだ体の機能が十分に活動していません。胃や腸といった消化器系の器官も寝ぼけ状態です。だから食欲が落ちがちで、消化器に喝を入れるために、朝起きたらコップ一杯の水を飲みましょう、ということをよく耳にします。無理やり消化機能を活性化しても、十分に消化できないために消化不良の原因になる可能性があります。簡単にいえば準備運動不足でいきなりハードな運動をするのと似ているような気がします。

あるいは寝ている間でもエネルギーが消費されているので、朝食は大切、という考え方、1日の活力を生み出すエネルギー補給のために朝食は重要、という考え方もあります。寝ている間に消費されるカロリーは基礎代謝によって個人差がありますが、一般的には400キロカロリー程度です。夕食にがっつりカロリーを摂取していれば、寝ている間に消費するエネルギーくらい十分に補えるし、時間をかけてゆっくり余裕をもって消化吸収できるという考え方もできます。

朝食しっかり食べましょう、という啓蒙活動は実はエジソンの陰謀かもしれませんし、巨大穀物メジャーが仕掛けた陰謀かもしれません、的に終わるとあっち側に巻き込まれたように思われるので、朝食は1日の始まりですから家族そろって楽しく食べましょう(コーヒーだけでもいいんで)と締めくくります。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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