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ヘルシアで肝機能障害??カテキンに深刻な副作用は本当にあるの?

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今まで散々「あなたの飲んでるサプリは安全ですか?」や「「健康食品」の表示方法を国が再検討しているらしいけど、余計なお世話かも⁉」といった記事でサプリやトクホについて批判をしてきました。

私が主張したいのは、ワケのわからないサプリより医薬品の方が安全であるということ。トクホという不思議な分類の仕方自体にも好意は抱いてはいません。

しかし、トクホの代表とも言える花王のカテキンを含む「ヘルシア」によって肝機能障害が引き起こされて、さらにはヘルシア4本でマウスの75パーセントが死亡した❗という記事を見つけて「いくらなんでもそこまでは⋯」と考え、この記事が掲載されたサイトについて検証してみます。

体脂肪を減らすトクホの代表「カテキン」を含むヘルシアで肝機能障害が186倍⁉

花王 体脂肪が気になる方に 脂肪を消費しやすくする ヘルシア 茶カテキンについて

これは「My News Japan」というサイト(http://www.mynewsjapan.com/reports/2139)でタイトルは「花王『へルシア』4本分の人間相当量でマウスの75%が死亡 茶カテキン投与で肝臓に急性毒性」となっています。

いくら食品に含まれる成分であっても食べ過ぎが体にいいはずはありません。

しかし、厚生労働省や消費者庁が「トクホ」と認定した花王のヘルシアを4本飲んだだけで肝機能障害が起こり、マウスが死んでしまうのでしょうか?

花王のエコナは問題だったけど、ヘルシアも本当に害があるのか?

実は花王は以前大失敗をしています。メタボの要因である中性脂肪を下げる食用油として特定保健用食品、トクホとして販売された「花王エコナ」ですが、発がん性がある物質を含む可能性があるために、販売自粛したという暗い歴史を持っています。発がん性に関しては通常の使用量では問題なし、という意見もありますが「エコナって発がん性があるんだよね」という風評が出てしまっては、反論するよりは自粛したほうが生活用品メーカーの選択としては賢明です。

中性脂肪を下げる可能性を日本古来の緑茶に含まれるポリフェノールの一種類である「カテキン」に求めた花王の研究陣の根性は賞賛に値しますね。でも、やっぱり絡まれてしまいました、かわいそうな花王さん。前述のサイト (http://www.mynewsjapan.com/reports/524) は2007年から『「あるある」の花王 ヘルシア成分・茶カテキンサプリで、また肝障害』と題して花王のヘルシアを批判しています。このサイトの主張としては花王はマスメディアの大スポンサーであるために、正しい報道がなされていない、ということです。

有効成分である高濃度茶カテキンが原因と疑われる肝臓障害がカナダで報告された。実はフランス、スペインでも12件の肝臓障害が報告されており、販売禁止措置もとられている。

ヘルシアに含まれるカテキンは540mg程度です。カナダやヨーロッパの幾つかの国でカテキンを含むサプリによって肝機能障害が報告されたのは事実です。

例えばhttps://www.canada.ca/では「Green tea extract (Green Lite) : suspected association with hepatotoxicity」(緑茶抽出物(グリーンライト)の肝毒性が疑われた)という事例が紹介されています。これはあくまで因果関係は不明だけど、万が一のために公表しておくね的にカナダ保健省が報告しているので、花王のヘルシアを飲んだために肝機能障害が起きてしまったワケではありません。

この症例を詳しく読んでみると被害にあった女性はカテキンを含むサプリ以外にも避妊目的のホルモン注射もしていますので、「ヘルシアで肝機能障害」でもありませんし、「カテキンで肝機能障害」とも断定できないのです。

ヘルシアに含まれるカテキンは緑茶何杯分?

許容量であれば病気の回復に役立つ薬ですが、必要以上の量を摂取すれば当然「オーバードーズ」となり、副作用や主作用が強くなり健康被害に直結します。では問題とされているヘルシアは通常飲んでいる緑茶だと何杯分にあたるのでしょうか?

ヘルシアで死亡事故

花王のサイトによれば

急須で入れた緑茶には、平均的な湯のみ1杯に約100mgの茶カテキンが含まれます。一般には1日1~3杯のお茶を飲む方が多いので、茶カテキンとして1日100~300mgを摂取しているようです。一方、静岡や埼玉、宮城などの緑茶生産地においては、1日10杯以上、茶カテキンとして1000~1500mgを摂取している方もいらっしゃるようです。

茶カテキンについて |花王

つまり緑茶湯飲み一杯に含まれるカテキンは100mg程度であり、ヘルシア一本は湯飲み6杯の緑茶に相当するカテキンを含むということになります⋯マウスが死ぬカテキンの量はヘルシア4本ですから緑茶24杯分ということですね。お茶の産地の方でも1日に緑茶を24杯は飲まないと思いますが、少なくとも緑茶の飲み過ぎで肝機能障害を起こしたり、死亡したという話は聞いたことがありません。

健康被害例はカテキンの抽出方法に問題があるのでは?

別に花王さんを庇う訳ではないのですが、常識的に考えてカテキンを含むサプリ自体に問題があったのか、あるいは他に薬物やサプリなどを同時に服用していたことが「カテキンで肝機能障害❗」の原因ではないかと考えます。花王のサイトにはヘルシアは

一般的に飲まれているお茶や、急須でいれるお茶と同様な方法(お湯や水)で抽出した茶カテキンを利用した飲料で、危険性を疑う事例は報告されていません。安心してお召し上がりください

茶カテキンについて |花王

と書かれていますので、やはりカテキンの抽出過程において余分な成分が混入したために肝機能障害は起きてしまったことが強く疑われます。ニュースジャパンに書かれているマウスの75パーセントが死亡、という話ですが、元になっているであろう論文は「Hepatotoxicity of high oral dose (−) -epigallocatechin-3-gallate in mice」(Food Chem Toxicol. 2010 Jan;48 (1) :409-16.)だと思われます。でもこの実験はカテキンを体重1キロあたり1500mgもマウスに与えていますので、体重60キロの人間に換算したら、お茶なら900杯分、ヘルシアでも167本分になりますので、通常の摂取量であれば花王の言っているように安全と考えていいのではないでしょうか?著者であるジョシュア・ランバートって人は基本的にポリフェノールが健康に良い、という傾向の論文を発表しまくっているのです。

副作用情報が簡単に手に入らないサプリやトクホで生活習慣を見直さないで、体脂肪や中性脂肪を改善したいのなら、副作用情報が簡単に手に入る薬物を私は選択します。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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