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注射の前のアルコール消毒は必要ありません、皮膚の常在菌は体内では増殖しないから❗

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アルコールで本当に消毒ってできるの??と疑問をお持ちのみなさま、はい、消毒しても無菌状態にはなりません。

人間にとって害がある、と考えれる物質を取り除くことを一般的に「消毒する」と言いますよね。医療現場でも「消毒しといてね」って使います。でも消毒ってバイキン(医学用語では微生物)を全滅させているわけではないのです。

注射前に皮膚をアルコール消毒することは無意味

手術に使う器具は「滅菌」といって全てのバイキンを全滅させる必要があり、この状態がいわゆる「無菌状態」です。

皮膚には常在菌と呼ばれるバイキンが必ず付着しています。

そのバイキンを取り除くために、注射をするときにアルコールにつけた綿である「酒精綿」で皮膚を消毒してから針を刺すのが一般的ですよね。

でも注射前に皮膚をアルコール消毒することは無意味なんです。

えっ⁉って思われるかもしれませんが、全く無駄な作業です。アルコールに弱い人の場合それが原因で注射した部分が赤くなってしまうことさえあります。

無意味な消毒なのに皮膚をアルコール消毒する理由

じゃあ、なんで注射前にアルコールで消毒するかというと

なんとな〜くみんなやっているから

なんですよ。

いま流行りのエビデンスには全く基づかない単なる儀式とも考えらえます。

医療って先輩がやることを疑いもせず真似るために意味ないことがで伝承されてしまいます。⋯こんなこと言うから私は同業者にも嫌われるのかも(涙)。

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しっかり注射前に消毒しないとバイキンが入るんじゃないの?

注射器、注射針、注射薬はもちろん無菌状態、つまり滅菌されています。全くバイキンが付着していない状態で容器や袋に入っています。

でも、その袋を開けたとたん空気中のバイキンが付着すると思いませんか?

もちろんバイキンが付着します。そんなバイキンだらけの注射針を皮膚に刺したら、バイキンが皮膚に感染しないか?という問題が生じます(IVHなどの長期間針を刺しっぱなしの場合はその周囲から感染することがあります)。

注射する部位の皮膚に汚染物質がいっぱい付着していたら、その物質が体内に入り込む可能性は否定はできません。

しかし、予防接種や採血の場合、皮膚に入っている針の時間から考えて体内にバイキンが入り込むことはありません。万が一、皮膚が異常に汚染されている状態だったら水洗いすることで十分です。

明らかな感染性物質に汚染されている皮膚の場合はアルコールごときで対応はできませんので、イソジンあるいはヒビテンで消毒するのが正解です。ノロウイルスは塩素系のミルトンで消毒します(キッチンハイターを人体に使っても同じは同じだけど、止めときましょうね)。ミルトンは汚れた床などに使用します。

大昔使用されていた太い針の場合なら、注射した穴からバイキンが入り込んでいたのかもしれませんが、採血に使用する針は直径0.7ミリ程度ですし、当院で使用している予防接種の針は直径0.25ミリ。そんな穴はすぐに塞がってしまいます。

めちゃくちゃ汚い場所にあった落ちていた針を注射に使用したら感染のリスクもあるかもしれません。しかし、少なくとも日本の医療機関で注射をするときに皮膚をアルコール消毒する意味はないのです。

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当院ではこれより細い30Gを主に使用しています。

皮膚の常在菌は皮膚内で増殖することはできません

なぜ皮膚の上に常在している菌は、皮膚内では増えることができないのか?その理由として皮膚のPHと体内のPHが違っていることが指摘されています。

多分、昔のぶっとい針で注射していた時代のおまじない的儀式が注射前にアルコール綿で皮膚をこすることだったのだと予想します。大先輩に聞いても「なぜか昔からやってるなあ」って回答しか得られません。

注意

事故や褥瘡などですでに感染している部分へ注射する場合は慎重に消毒する必要があります。その場合、一般的にはイソジンが使われます。一方で生理食塩水プラス機械的消毒の方が良い、との意見もあります。

でも注射で感染する病気ってあるんじゃないですか?

はい、注射針の回し打ちで感染が広がる病気があります。海外のHIVの感染ルートとして注射針・注射器の複数回使用があります。その理由は注射器内部あるいは注射針内部および外回りにHIVウイルスが付着していて、それを血管内に打ち込むからです。B型肝炎・C型肝炎も海外ではそのルートで感染することが多く見られます。しかし、現代日本で注射針・注射器を回し打ちする人はまずいませんよね(人生終わった方は除く)。

汚染された注射器・注射針を使用しない限り、注射でバイキンが体内に入ることはない

と考えていただいてまちがいないです。

ここからは単なる戯言で記憶に残さないで結構です⋯

昔学校の予防接種って回し打ちしていたような気がします。あれで肝炎ってかなり広まっているんじゃないでしょうか?さらにあくまで噂ですが、昔々ある地方は県民性としてケチで有名なので、医師が回し打ちする回数も多いために、その地方は日本の平均以上に肝炎に感染しているらしいです⋯

全く裏付けのない話なんで、できればこの文章はスルーしてください。

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http://kanzoux.blogspot.jp/2013_01_01_archive.html

この図はあくまで肝臓がんのことです(肝炎ウイルスが原因かもしれませんし、お酒の飲み過ぎかもしれませんよね。前述の戯言とは一切関係のないただのイメージ図ですw

当院で注射するときはどうしているか?

当院で注射する場合、湿った綿で皮膚を拭きます。でも湿らせているのは生理食塩水です。生理食塩水は医療で使用される薬剤の中で唯一副作用が報告されていません。これで儀式を行ってから注射をしています。

本来ならばいきなり注射しても、感染することはないのですが、「あそこの先生、いきなり注射した❗」って言われると開業医的には避けたいので、とにかくセレモニーはします。しかし、消毒用アルコールは皮膚の弱い方には刺激性がありますし、アルコールに弱い方は皮膚が真っ赤になってしまいますので生理食塩水綿?を使用しています。もしも、どうしてもやっぱりアルコールで消毒してから注射をご希望される方には一枚一枚パックになった消毒用アルコール綿を使用しています。

当院の他の医師は注射前に「ちょっとチクっとしますよ」と言いますが、私は言いません。針が刺さるんだからそりゃチックっとすることくらい大人なら知っていますもの。「注射液が入るときはちょっと痛い感じがしますよ」と予防接種の場合は言います。採血はかなり自信があるので「先生の注射、全然痛くない」と言われると「開業医は注射がうまいといい先生って言われるから、愛情を込めて採血しているから痛くないんです」ってなんか怪しげなあっち方面の医師のようなことを言ってしまう私です。プラセボ活用させています、◯海先生w

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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