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トンデモ系の健康情報サイト、まだまだご健在のようで

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大手IT関連企業が運営する医療関連健康情報サイトは、予想外の急展開により自主的に閉鎖されました。

しかし、ネットで医療関連の情報を多くの方が検索するという現状を考えると一つの選択基準として「公的病院が書いている」「医師が書いている」が考えられます。

なかには「医師監修」となっているものも見受けられますが、前2者と比較すると若干クオリティに問題があるものも目立ちます。

コピペ、改ざんしまくりの健康情報サイトは閉鎖されましたけど⋯

「ドクターが参画する」が売りの「スキンケア大学」という健康情報サイトは以前私も記事を投稿したことがあります。その自分が関わった健康情報サイトを、今回の大手IT関連企業の健康サイト閉鎖に触発されチェックして見たら、こんなのありました❗

スキンケア大学でトンデモ記事掲載

スキンケア大学(http://www.skincare-univ.com/daily/column/005838/)に登場されている「メディカルビューティー&ヘルスアドバイザー」の方は経皮毒が病気やアトピーの原因であるとおっしゃっています。一見、もっともらしいお話と思う方もいるでしょうが

経皮毒で一番有名なデマ「シャンプーを使用していると羊水が汚れる」とのトンデモ話を彼女は伝えたかったように見受けられます。

都市伝説「経皮毒が原因で羊水からシャンプーの臭いがした」⋯ニセ医学です。

都市伝説「経皮毒が原因で羊水からシャンプーの臭いがした」⋯ニセ医学です。

経皮毒あるあるエピソードに「知り合いの看護師(助産師・産婦人科医の場合もあり)から聞いた話なんだけど、羊水がシャンプーのニオイがした」があります。皮膚から体内に薬剤を入れ込むのに製薬会社の研究者は血のにじむような努力をしています。日用品のシャンプーが体内に吸収されて妊娠時に羊水に溜まる、は不可能です。ありえません。

都市伝説というよりは、デマ。デマは真実より拡散しやすいので、以前から自分なりに「デマだよ、間違った話だよ」と情報発信してきたはずなんですが⋯自分も監修業務を手伝ったことのあるスキンケア大学・ヘルスケア大学(監修というより、校正・訂正していたら自分で書いた方が早いので、今はお断りしています)にこのような話が専門家?が書いた記事として掲載されていて驚きました。

環境ホルモンと経皮毒を同様に扱っていいのでしょうか?

確かに一時期「環境ホルモン」という用語をしきりに目にしたり、聞いたりしたことがあります。環境省の見解によりますと「化学物質の内分泌かく乱作用」としています。

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国民が気にする人体や環境に悪影響を及ぼす「化学物質」に対して、全く対応していないわけではありません。確かにエストロゲン(女性ホルモンとお考えください)に似た化学物質による問題点は存在します。しかし、実際に環境ホルモン(この筆者さんのおっしゃる)が人体にどのような影響があるかをしっかりしたエビデンスで語られている論文はありません。

はっきりしないから、目に見えないから、「怖い、怖い」と言っていると電磁波が健康面に多大な障害を与えるという、いらん恐怖を撒き散らすトンデモ方面の方の主張と同じようになってしまうのです。

電磁波による健康障害、でもIH調理器で健康は害しないだろうけどね❗

なぜ、この著者が環境ホルモンを経皮毒の話題に持ち出したのか、はじめは趣旨が理解できませんでした。順をおって書かれた方のご主張を検証してみます。

経皮毒はなぜHな場所にばかり蓄積するのでしょうか?

著者は経皮毒について、皮膚には止まらないで内臓にまで侵入していくとのことをお書きになっています。そのいきつくさきが女性なら子宮・胸部であり、男性なら前立腺と肝臓となっています。なんで一般的に

露出して歩き回ると警察方面の方に連行されてしまうような場所ばかりを狙って、経皮毒さんがおっしゃる有害物質は集積するのでしょうね

不思議で仕方ありません。この方の説明によると脂肪の多い場所に「有害化学物質」は集まりやすいとのこと。経皮毒がなぜ脂肪がたっぶりの皮下脂肪や脳では蓄積しないか、通常の医師だったら「?」となるはずです。

環境ホルモンが生殖器に影響を与える、との話が流布されていますので、環境ホルモンと経皮毒がごっちゃになっている可能性が出てきます。

ハイ、出ましたお約束の「シャンプーまみれで生まれてきた赤ちゃん」話

このようなことが書かれています。

へその緒や羊水から環境ホルモンが検出されているというショッキングな報告もあり、お母さんのお腹からシャンプーの匂いのする赤ちゃんが産まれてくることが増えているようです。

http://www.skincare-univ.com/daily/column/005838/

羊水から環境省のいうところの「化学物質」が研究された例はあるかもしれません。しかし、その多くは大気中から吸入されたもの、あるいは残留農薬によるものでしょう(経皮毒のインチキ度をお伝えするのに、そこまで調査する必要なしと考えています)。

通常使用するシャンプーごときが、皮膚から浸透してよりによって羊水に含まれるとのヘンテコな理論はどっから引っ張り出してきたのが疑問です。さらに信頼度を下げる「ようです」との言葉が、このシャンプーの匂いのする赤ちゃん出産話が出典があやふやであり、聞きかじりの可能性が強く疑われます。

この記事を書かれた人は「界面活性剤」が有害化学物質であり、合成洗剤ではなく「石鹸」を使用することを推奨しています。でもね〜、どんな石鹸でも汚れを落とす作用は「界面活性剤」として働くからなんですけど(笑)

前立腺へも経皮毒が悪い働きをするようですから、ぜひ一度おっしこからシャンプーの匂いがするんですけどとの患者さんを診察させていただきたいです。ちなみに私の専門は泌尿器科です。

追記 2016年12月9日 10:30 引用した経皮毒のページは現在削除されている様子です。そこでこんなのはいかがでしょうか?

スキンケア大学、ホメオパシー化粧品を認定して大丈夫でしょうか?

スキンケア大学、ホメオパシー化粧品を認定して大丈夫でしょうか?

多方面で同じようなことをやらかしています。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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