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「青竹踏み」で頻尿が治る⁉泌尿器科にとって死活問題だあ(笑)

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「夜中のソワソワ」「長時間我慢ができない」「夜忙しい方へ」なんて宣伝文句を見かけたら「ああ、泌尿器系のサプリね。効果・効能を前面に出すと薬機法に引っかかるのでこんな表現になっちゃうのね」的に上から目線で眺めています(実は私の専門は泌尿器)。

昔ブームになった青竹踏みで頻尿が改善⋯医学論文があああ❗

頻尿の原因としてオッサンの場合は前立腺肥大症、女性の場合は過活動膀胱が主な病気です。どちらも症状的には「頻尿」があるのですが、男性の場合、両方の病気が合併していることもあり、「夜中のソワソワ」「長時間我慢ができない」「夜忙しい方へ」、即ノコギリヤシ系サプリってわけには行きません。

前立腺が大きくても(肥大していても)必ずしも、頻尿になるとは限りませんし、前立腺が小さくても頻尿になるために、現在は頻尿や尿意切迫感、あるいは失禁などがある場合を「Lower Urinary Tract Symptoms」(下部尿路症状 略してLUTS) と泌尿器科医の間では呼ばれています。

そのLUTSが昔流行った記憶があるあの「青竹踏み」で改善するとの報告が医学論文になっています。この効果が確かならばサプリ業界はもちろんのこと、高齢化社会を迎えてちょっといい思いをしている泌尿器科医にとっても死活問題になってしまいます。「青竹踏みで頻尿改善」論文をちょいと検討してまいります。

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https://www.taketora.co.jp/c/bodycare/it00001

頻尿だけじゃなくて、便秘にも効果のある青竹踏み⁉

ノコギリヤシ方面だけじゃなくて、泌尿器科医にとっても驚きの報告は「Complementary and Alternative Medicine」という代替療法を中心とした専門誌に信州大学の泌尿器科グループが「Impact of ao-dake-humi, Japanese traditional bamboo foot stimulator, on lower urinary tract symptoms, constipation and hypersensitivity to cold: A single-arm prospective pilot study」とのタイトルで発表しています (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5148827/) 。

研究方法は下部尿路症状、便秘、hypersensitivity to cold(多分、冷え性?)である24人に対して1日2回青竹踏みを28日間に渡って行ってもらいました。排尿状況に対しては前立腺肥大症の程度を見分ける「国際前立腺症状スコア(IPSS)」と過活動膀胱の程度をみる「過活動膀胱症状スコア(OABSS)」を使用しています。同時に便秘とhypersensitivity to coldに対する評価も行なっています。その結果

青竹踏みをすると膀胱容量が増える❗

との驚きの結果が導き出されました。

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https://www.ics.org/Abstracts/Publish/326/000537.pdf
 

この研究の結果として過活動膀胱の指標である過活動膀胱症状スコア(OABSS)も低くなっていますし、生活の質自体も向上しています。なお、便秘もhypersensitivity to coldも改善しているので、青竹踏みは健康維持に有効である、と言えることになりますね。

どんなメカニズムで青竹踏みが頻尿に効果的なんだろう?

以前ちょっとしたブームになって各ご家庭でも見かけることの多かった「青竹踏みグッズ」、どんなメカニズムで頻尿が改善されるのでしょうか?当時は健康には良さそうだけど、頻尿にターゲットを絞った広告は無かったように記憶しています。そこで創業123年の竹材専業メーカーである「竹虎」さんのサイトを参考にさせていただきます(http://www.taketora.co.jp/special/takehumi-kouka.html)。

このサイトでは青竹踏みは冷え性改善やメタボ対策に有効な昔ながらの健康法と紹介されています。ってことは、創業123年の竹虎さんでも「青竹踏みで頻尿改善」はご存知なかった様子です。運動不足の人は家の中で青竹踏みをすることは、ランニングマシーン系と同じような効果があるために、体が温まることになるので「冷え性対策」としては有用である可能性が出てきます(hypersensitivity to cold、って冷え性のことで良さそうです)。

さらに竹虎さんのサイトによれば足の裏が刺激されることで、腸が刺激されるとのこと(この辺り、さすが創業123年の竹虎さん、便秘が改善されるとは言えません的な表現をされています)。

鍼灸マッサージ方面で足の裏にツボがあり、それを刺激することによって様々な症状が改善する、との考え方があります。いくつかのサイトを拝見すると確かに足の裏にいくつか泌尿器系に関連するツボに対しての記述が見られますので、伝統医学の経験によって頻尿と足の裏はそれなりの関連性があることが知られていたのですね。

頻尿改善青竹踏み健康法の評価について

信州大学の泌尿器科の研究者による「青竹踏みで頻尿改善」はいくつかの問題点があるような気がしないでもありません。排尿に関する評価に使用される国際前立腺症状スコア(IPSS)も過活動膀胱症状スコア(OABSS)も自覚症状をメインとしたものであり、被験者の方にバイアスがかかる可能性は否定できません。

論文によれば最大膀胱容量自体が増大していますので、青竹踏みは自覚症状だけでなく、他覚的なデータによっても頻尿を改善することも考えられます⋯尿意だってバイアスでいくらでも我慢できんじゃん的な考え方もありますけど(笑)。

この青竹踏みで頻尿改善効果について、近々信州大学泌尿器科の方とお会いする機会がありますので詳細を聞いて見ますね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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