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健康食の代表選手「ひじき」⋯これがヤバイ食べ物、という説あり⁉検証してみました❗

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「ひじき」ってどう見てもなんだか体に良さそう、って多くの人が考えているんじゃないのかな?

おばあちゃんの知恵的にはひじきは貧血も改善するし、美肌の基本の栄養が摂れるし、髪の毛もフサフサにするし、動脈硬化まで予防しちゃう、って感じでひじきは健康食の代表選手と思い込んでいる人が多いのではないでしょうか?

その体に良い食べ物である「ひじき」が今、いじめられています。

貧血・美肌・髪の毛・動脈硬化予防に効果があると言われるひじきの危険性

「1日1個のりんごを食べていれば医者にかからなくて済む」というイギリスのことわざがあります。そんな健康フルーツの代名詞ともいえるりんごですが、ヒ素が含まれているから危険という話や「りんごは心まで食べちゃ駄目よ」ってお母さんやおばあちゃんに言われたことがある人もいらっしゃるかもしれません。

ヒ素は地球上で生活している以上、摂取してしまうものです。地球上のあらゆるところに広く存在していますし、工業でも欠かせない必要不可欠です。ですがヒ素がヒトの体に入ることで生じる悪影響もまた広く知られています。中でも無機ヒ素が危険とされています。

さて、本題のひじきです。

私の愛するサブカル雑誌「SPA!」までひじきを「ヤバい商品」としているのです、こんな感じで。

ひじきは本当に危険なのか?

https://nikkan-spa.jp/1317327

画像上面に森永のラクトフェリンの広告が出ていますが、この森永はひじき問題と全く無関係ではありません⋯その理由はあとで述べますね。

なんでもこの「ひじき」は海外では危険な食物として認定されている「ヤバい」ものだと日刊SPAは報じています。

ひじき、体に悪影響説の元ネタをたどってみた

どう見ても体に良さそうな(詳細な根拠は不明だけど)「ひじき」ですが、何故海外では危険な食べ物認定をされているのでしょうか?これ、多分古い話の蒸し返しのような気がします。というのも、ひじき危険な食べ物説に対して、東京都福祉保健局は平成19年5月25日付けでこのような対応をしています。

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英国食品規格庁がロンドンで売られている乾燥ひじきに含まれているヒ素の量を調べて

無機ヒ素を多量に含む可能性のある「ひじき」を食べないように❗

とのお達しを受けて、古来から体に良さそうと考えられている「ひじき」をかばうためにこんな調査を行いました。

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前掲東京都福祉保健局サイト

英国食品規格庁のひじきからは無機ヒ素が1キロ当たり77ミリグラム検出されましたが、東京都の調査では1キロ当たり63.1ミリグラム検出されていますので、ひじきには結構無機ヒ素が含まれているのには間違いはないようです。

厚生労働省に電凸、弱気のお役人(笑)

SPAは厚生労働省に電凸しております。

無機ヒ素を長期的に大量摂取すると、人体にどのような影響があるのか。内閣府食品安全委員会の報告によれば、がん、皮膚病変、発達神経への影響、心血管疾患などを引き起こす可能性もあるという。これらのリスクについて、厚生労働省に問い合わせてみた。 「調査が不十分なので評価できませんが、一般的に毒性があるといわれているので、大量に摂取するのは好ましくない。具体的にどの程度の量が危険なのかについては、まだ何とも言えない状況です」

SPAサイト

私も電凸しようと思ったのですが、ご家族とGW最後の日をお過ごしのお役所にヘンな開業医からヘンな問い合わせがあると、今後の医師活動に影響があるんじゃないか的な珍しく弱気の態度になってしまい、自粛致しました⋯でも、東京都福祉保健局ではこのようにひじきを庇っている文章がありました。

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前掲、東京都福祉保健局サイト

とにかく、ひじきのヒ素は水に溶け出しやすい。

だからひじきを水によーく浸けて、ヒ素を水の中に吐き出されて、その後ひじきを水洗いすればそれほどリスキーな食べ物では無いよってことですね。まあ、一般家庭で行われているひじきの調理法であれば問題ない、と考えて良さそうです。まあ、ひじきでダイエットなんて記事も見受けられますが、大量に摂取する場合はお気をつけくださいね。

英国の「ひじきはヒ素を含んで危険」説、これに対抗した東京都は偉いぞ❗

SPAによる電凸によって「大量摂取は好ましくない、でもどれだけのひじきを摂取すると危険かはわからない」って感じの責任は取りたくないよとの意向が強く滲み出ている厚生労働省サイド。それに対して「英国の調理方法もどんなものか書かれていないし、独自に調査したらそれほどひじきを恐る必要もないよ」的な解釈を述べた東京都福祉保健局は偉い❗ヨイショっと。

ヒ素といえば昔森永が多量のヒ素を含む粉ミルクを販売して、多くの犠牲者を出しました。タイミング悪いことのSPAのサイトに広告が出ちゃっています。この事件の影響で食品衛生法が改正されました。ヒ素の危険性の発がん性も膀胱がんや肺がん、皮膚がんとの関連性が示唆されています。

食物連鎖の結果、濃縮されたひじきには高濃度の無機ヒ素が含まれていることに間違いはないです。しかし、さすがおばあちゃんの知恵的な健康食である「ひじき」、日本の調理方法は優れています❗

結論的にはSPAが「ヤバい」と表現しているひじきは英国で採れたものであり、どんな調理方法をとったか不明

一方、日本人は伝統食としてひじきを積極的に取り入れてきただけあり、調理法によって有害物質無機ヒ素が含まれないようにしていた・・・このような解釈でよろしいかと。

ヒ素を取り上げたSPAの記事の下の方に「海洋深層水」について述べられています、こっちも調べなきゃとの強迫観念に取り憑かれたGW最終日でした。

おまけ:私は個人的にひじきは苦手です。大学時代にひじきで有名な漁港の漁師さんたちが、お酒を酌み交わしていました。その後、強い尿意によって複数の漁師さんは大胆豪快に⋯・。その場所で翌日ひじきを干していた場面を目撃しちゃいました。やっぱりひじきはしっかり水に浸けて、その後よーく洗うことが必要であることに間違いはなさそうです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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