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「神の手をもつ医師」とか「スーパードクター」って本当はどうなの?

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マスメディア、特にテレビや週刊誌がよく使う「神の手を持つ医師」「スーパードクター」という名称があります。

少年誌で10年以上の長期連載していたスーパードクターKという漫画もありましたね。

「天才ドクター」って言葉も見た記憶もあります。

例えばあなたが命に関わる病気」になり、「神の手を持つ医師に手術をして欲しいのですが、先生、そこの病院を紹介してください」と主治医に申し出たとき「はい、はい、あの先生ね」ってなることってかなり確率が低いと予想します。

神の手をもつ医師やスーパードクターを知らない医師は多い

神の手を持つ医師もスーパードクターもマスコミが作り出した言葉であり医師間で「彼は神の手を持つ」とか「彼女はスーパードクターだからね」はまずありません

あったとしたら「なになにの手術で実績がある」「なになにの手術を数多くこなしている」「なになにの手術で結構論文を書いている」という評価だけです。

特にテレビの影響はみなさんが考えている以上に医療に関しては大きいのです。

テレビや週刊誌が取り上げる「神の手を持つ医師」「スーパードクター」って本当にいるのでしょうか?

画像

http://hospital-rank.net/hp-zenritsusencancer.html

これはあくまでイメージ画像です。手術の数を順位つけしただけのもの、かつ古いデータを敢えて使用しました。

医師の腕、特に外科の手術の場合、どのような基準で選ばれているのでしょうか?

家族の誰かが手術が必要になった時、心情的には「神の手を持つ医師」や「スーパードクター」の治療を受けたいと思うのは当たり前です。

気の利いた家族の一人がネットで「神の手を持つ医師」「スーパードクター」で検索したとします。その結果は⋯多分、◯◯が選んだ名医、日本の名医100人、なんて感じのサイトが表示されるはずです。

となると神の手を持つ医師やスーパードクターを選ぶ基準があるはずなのですが⋯基準は媒体によって様々。

なかには自分で「神の手を持つ」とか「スーパードクター」って自称しちゃっている人さえいます (笑)

普通の世界では、自分のことを「神の手を持つ」とか言い出したら、危なっかしい人だと思われちゃうのではないでしょうか?

例えば野球のイチローが自分のことを「私は神の手を持つ打者」っていいますか?横綱稀勢の里が自分のことをスーパー関取とは呼ばないでしょうし。「神の手を持つ医師」や「スーパードクター」ってマスメディアが作り上げた幻想なんでしょうか?

普通の人と医師が考える「名医」は違っていることが多い

神の手を持つ医師やスーパードクターを名医と置き換えて考えてもいいかもしれませんね。

名医の定義って何でしょうか?

こんなサイトを見つけました。

名医とは、いったいどのような医者なのでしょうか?多くの人は医者にランキングがあってそのトップに位置する人と考えるかも知れません。それでは誰がどのようにしてそのランキングを決めたのでしょうか? ランキングは基本的に恣意的です。お金を払ってくれる人を名医に仕立て上げているのです。ビジネスの世界では当たり前のことですが、たとえばラーメン店のランキングの掲載では1位の枠はいくら、2位の枠はいくらというように決まっているのです。

byouinkeiei.com

まあ、これは極端でしょうね。しかし、当たらずとも遠からずなんです。時々日本の名医をまとめたムックを作るので先生もぜひ的なDMが舞い込んでくることがあります。

また、先生をマスメディアに紹介します的な業者さんがあることも聞いたことがあります。

ネット上の医師の評価、例えば患者さんがどこどこの病院に行って実際に受診した時のことを書き込める・投稿できるサイトがありますが、あれでさえステマじゃないの、って意見も見受けられます。

医師が名医を感じるのは、紹介状を書いた時の返事であったり、実際に会って得た感触、そして人柄で評価することが多いのです⋯もちろん業績が基本にはなりますけど。

手術に天才は必要ない

漫画のブラックジャックのような天才外科医は必要ありません(医師免許無かったけ、彼)。特殊な技術を必要とする手術があったとしたら、その手術自体が完成度の高いものでは無い可能性があります。

数学や囲碁の世界には天才と呼ぶしかないような方が時々現れます。でも、医師の世界って医学知識を持ち合わせて生まれてくる人はいません。医学の世界に天才は必要なく、先人が築き上げた医学の歴史を自分の知識として確実なものとし、そこから自分独自の治療方法へ発展させ、そして後輩に伝えていく、そんな地道な作業を繰り返して臨床医学は発展してきたのです。

「神の手を持つ医師」や「スーパードクター」を巡って、陰でこっそり訴訟等が起きています。訴えた方やその家族は「神の手」「スーパー」を頼りに遠方からわざわざその医師がいる病院を訪れたのでしょう。

その時は紹介状というか情報提供書を主治医は書いたはずです。

主治医は紹介先の医師のことを知っていたのでしょうか?知っていて実績を十分に把握していたのでしょうか?その医師の院内での評判を聞いていたのでしょうか?人に人を紹介することって、紹介した側にも責任があります。

だからこそ、多くの町医者は近くで交流のある病院の医師を紹介するか、自分の出身大学の病院を紹介することが多いのです。

注意

非常に特殊な病気の場合、それを得意としている医師・医療機関が限られてしまうことがあります。今回の神の手を持つ医師、スーパードクターはこれらの特殊な例を除いたものとしてお読みください。また手術の成功率(?)で評価する方法もあるかもしれませんが、難易度が高い手術をしていれば成功率は低くなりますし、難易度が低い手術を多くこなせば成功率は高くなります。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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