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【第一弾】どうした「週刊現代」、改心したかと思ったらまたヘンテコな方向へ⋯薬を飲み続けるのは自殺行為⁉

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ヘンテコなトンデモ医療批判記事をお家芸としていた週刊現代が、自由診療クリニックにおけるエビデンス無き「がん免疫療法」の怪しさを記事にして、医療関係者から絶賛を浴びていたのですが⋯

やればできるじゃん「週刊現代」と評価されていたのに⋯

またもや

週刊現代が医療批判、処方薬批判を始めちゃいました

「がん免疫療法批判記事」、これは標準治療のがん治療に対して、疑問・不安を感じてしまいエビデンスのない治療に心が傾きかけた人に対する警告記事ともいえます。

しかし、がんのインチキ免疫療法を受けようと考えている人は少数。そうなると現時点で高血圧・高脂血症・糖尿病などの薬物治療を受けている人の市場のほうが巨大であると考えられます。週刊現代編集部内でマーケティング的には小さな市場を狙うのはいかがなものかと意見でも出たのか

週刊現代のお家芸でもある標準医療・標準治療批判を再開しました

しかし、週刊現代の2017年9月16日号の「60歳以上の名医たちが実名で明かす『私が患者なら受けたくない手術』『私が患者だったら絶対にのまない薬」は酷すぎます❗週刊現代の再度の更生を期待しつつ、この記事のどこがヘンなのかを指摘しちゃうぞ❗

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週刊現代2017年9月16日号、ちょっとシワシワになっているのは別に袋とじを開封したからじゃないよ❗

「飲み続けるのは自殺行為」とおっしゃる名医、かなりクセのある人多し

60歳以上の名医、って一応のエクスキューズ入りのタイトルとなっています。40歳代のまだまだ先の長い人、あるいは平均寿命近くの人に対する医療は違いがあるはずです。例えば90歳で糖尿病の方に対して「もっと運動をして、食事も厳格に制限しなさい」なんて無慈悲な言葉を掛けるのは糖尿病治療という点にフォーカスした場合は正しい医療、しかし、年齢を考慮した場合良い医療とは言えないと私は考えます。

60歳代となると微妙なお年頃でして、生活習慣の見直しで改善できる生活習慣病も多いと思いますので、薬物治療の前にできることは多数あります。この微妙なお年頃の現役医師が実名でヘンなことを仰っています。登場する名医⋯このなかの複数人は標準医療業界では「トンデモ」と評価されている医師である点に注意が必要です。

1:高血圧 血圧を下げる薬、降圧剤

高血圧の薬を自分は飲んでいない、と言っている中村仁一医師は「自然死のすすめ」「抗がん剤に殺されないで」との意見の持ち主であり「大往生したけりゃ医療とかかわるな」 (幻冬舎新書) という著書もある方です。中村仁一医師の主張は高血圧の薬を飲むと血圧が下がりすぎて失神したり肝臓や腎臓に障害がでることもある、だから自分は高血圧だけど、降圧剤は一切飲まない、とのこと。

これはあくまで「お客様の個人的な感想」レベルであり、高血圧を放置して脳卒中・心血管疾患を起こすリスクと、血圧が下がって失神したり・肝腎に障害がでるリスクを比較したエビデンスってあるのでしょうか?

米国で行われた大規模臨床試験SPRINT(Systolic Blood Pressure Intervention Trial) では「血圧は低いほうが良い」との結果が出ています(「A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control」N Engl J Med 2015; 373:2103-2116)。ちなみにこの研究は5年間追跡調査する予定でしたが「血圧は低い方が良い」との明確な結果が出たために3年間で中止されています。

1万人以上に対して行われた研究とある一人の医師の体験談(?)、どっちの方が信頼度が高いのでしょうかねえ。

2:高脂血症 コレステロールを下げる薬

元東海大学医学部教授の大櫛陽一医師はコレステロールを下げるとがんや肺炎やうつのリスクが高まるし、厚生労働省も2015年から食事摂取基準でコレステロールの摂取制限を撤廃していると話しています。これは全くの誤解と言うか内容をご理解していません。

ちなみに大櫛陽一医師も「100歳まで長生きできるコレステロール革命」(永岡書店)なんて一般書籍をお出しになっています。たしかに厚生労働省は2015年4月から「食事摂取基準」でコレステロールの基準を撤廃していますが、その理由はどんな食事をするとコレステロールがあがるか、どんな食事だとコレステロールが下がるか、つまり「食事で体内のコレステロール値は影響を受けない」からなんです。

厚生労働省は、コレステロールは高値で放置して良い、とは一切言っていません

また、コレステロール値が高いと、がん・肺炎・うつの罹患率が上がることのエビデンスを明らかにした質の高い医学論文は残念ながらありません(私の調査能力が低かったら、この部分は後日訂正します)。

3:糖尿病 血糖を下げる糖尿病薬

薬に頼らなくても生活習慣を見直せば糖尿病は治る的な発言を東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎医師はしています。藤田さんの専門である寄生虫に関する書籍を数冊もっていますが、非常に楽しい内容で実は寄生虫学者としては尊敬しております。

しかし、2011年ころから腸内細菌や免疫方面の一般書籍が増えてきており、健康食品を推奨する原稿をお書きになって2014年に薬事法違反で送検されたような記憶があるのですが、50歳過ぎた私の記憶ですから信頼度低いですね(笑)。

糖尿病の初期治療は特殊な場合を除いて、食事と運動です

糖尿病の薬を飲みだしても、インスリン注射を開始しても食事と運動(運動ができない障害がある場合は当然除外)は継続する必要があります。藤田医師が糖尿病であり、生活習慣の見直しで血糖値が下がったとしても、それは糖尿病治療の基本中の基本が効果を表した一つの症例にすぎません。

自分に効果があったからといって、第三者にも効果を発揮するとは限らないことは、消費者庁が健康食品に関して「打ち消し表示」(お客様の個人の感想です、ってやつ)の見直しで厳重に監視予定であることから明確です。

まだまだある「週刊現代」のトンデモ医療記事

今回の週刊現代の特集記事「60歳以上の名医たちが実名で明かす『私が患者なら受けたくない手術』『私が患者だったら絶対にのまない薬」ですが、まだまだ多数のトンデモ記事があります。このネタの宝庫を一回のブログでぜーんぶ使っちゃうのはもったいないので、シリーズ化しますね。

明日の第2弾をお楽しみに❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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