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ローヤルゼリーを91.5%の医師が推奨する⁉どこからその数字引っ張ってきたの?

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健康食品業界もエビデンス的なものを要求される世の中になって、お困りの様子です。消費者庁が昨年「打消し表示に関する実態調査報告書」を公表したことにより、※のあとに小さな文字で「お客様個人の感想です」的な良く見かける広告はいかがなものかという風潮が出てきたためです。

ローヤルゼリーの効果を91.5パーセントの医師が認めた?って本当かよ

健康食品業界としては数字を提示することにより、効果を客観的に示そうとした手法が使われだしました。例えばこれ。

画像

http://www.3838.com/shopping/camp/rjkg_w1/prid=pad_ab_aaa_A19_CS1881&sc_cid=pad_ab_aaa_A19_CS1881

「91.5%※の医師が推奨する健康素材とは?」との見出しです。実際は※は上記画像のようにかなり小さいフォントが使用されています。いちいち※以下にどんなことが書かれているのかに注意を払う人が少ないために、こりゃいかがなものか?と問題視したのが消費者庁ってことですね。

この広告の打消し表示の一つとして「日本先端医療医学会調べ(アンケート調査)n=47」と記載されています。一般の方は「おおっ、医学会が医師を対象にしてアンケート調査した結果なんだから、確かにローヤルゼリーを91.5%の医師が推奨するんだろうな」と感じるかもしれませんね。でもね~、これかなりヘンなんですよ❗

日本先端医療医学会が行った医師を対象としたアンケート調査ってなんだ?

健康食品業界の広告でよく見かけるのが「学会で発表」「学会誌に掲載されました」。だから自分ちの健康食品の効果が証明されていますよ、とユーザーに認識させる手法です。

でも学会と名乗ることは誰でもできるんです。本当の学会(本当のという言葉が適切ではないかもしれませんけど)は日本学術会議という偉い団体が日本学術会議協力学術研究団体として認めたもので、医学の場合は日本医学会があり、その分科会として私たちが所属するいわゆる学会があります。

この日本先端医療医学会は現時点では日本医学会分科会に属していません。日本先端医療医学会は勉強会あるいは研究会レベルであり、少なくとも権威ある学会ではないと考えて差し支えありません(※あくまで個人の感想です 笑)。ある一定方向の思考回路や嗜好がある同好の士によって構成された学会が所属する医師に行った調査がこのローヤルゼリー会社が提示する「91.5%の医師が推奨する」とのフレーズになっているわけです。

バイアスの掛かったもっともらしい数字に惑わされてはダメだよ❗

91.5%の医師が推奨すると称するローヤルゼリーの広告を詳細に見てみると

2017年4月 日本先端医療医学会調べ(アンケート調査)n=47

に続き

全国の医師96名を対象にインターネットリサーチ方式(調査期間2017年3月27日(月)~2017年4月3日(月))でアンケートを実施。その中から『「ローヤルゼリー」に興味がある』と回答した医師47名を対象に調査を行いま
した。

と書かれています。アンケート調査の対象人数が47人と小規模な調査(それもアンケート)で果たして統計学的に有効なデータであるか不安が残ります。それよりも調査の方法がインターネットによるアンケート調査ってこと、非常に気になります。まず、インターネットによるアンケート調査に応じた時点で、健康食品に興味をもっている医師であることが大いに予想されますので、バイアスがかかっていますね。さらに96名のうちローヤルゼリーに興味があると回答した医師47人の中で43人が「推奨する」と答えたことから「91.5%の医師が推奨」ってことになったようです。

これって立憲民主党内で、安部政権を91.5パーセントの議員が支持しなかった、と発表するのと同じです

※安部政権を例に出したのはあくまで例えです

気になるローヤルゼリーの効果は?

法の規制あるいは自主規制によって何を言いたいのか良くわからないローヤルゼリーの広告です。要約すると、加齢によって気力も体力も低下するために栄養補給としてローヤルゼリーを飲んでね❗ってことになるようです。まあ、なんで私がこの長ったらしい広告の要約をしなければならないのか⋯健康食品は広告で効果・効能を記載することが出来ないからですね。

エビデンスレベルである程度認められているローヤルゼリーの効果は、血圧を下げる効果があるかもしれないです。例えば「ローヤルゼリー分解物の正常高値および軽症高血圧者に対する降圧作用の検討」では高血圧者87人にローヤルゼリーを服用してもらったところ、血圧が下がった人が22人いたことが書かれています。しかし「Effect of royal jelly ingestion for six months on healthy volunteers」(Nutr J. 2012 Sep 21;11:77)では血圧の変化は認められていません。

ローヤルゼリーが血圧に及ぼすメカニズムはある程度予想されていても、実際にどれだけの量を服用すれば良いかは不明ですし、どれだけの効果があるのかさえ現時点では不明です。副作用的な報告はアナフィラキシー等のアレルギーがあります。

ローヤルゼリーが病気を治すことについてのエビデンスはかなり弱いと考えて差し支えないと思います。しかしね~、とにかくバイアスの掛かったもっともらしい数字を掲げた広告はひとまず疑うことを日常生活に取り入れることを推奨します(※あくまで私個人の見解です)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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