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マイナビウーマン、本当に【医師が解説】して【医師監修】しているのでしょうか?

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数日前から「マイナビウーマン」という女性向けサイトが注目を集めています。医師がネットで何か医療関係の記事を探す時に上位に表示されるようなサイトではなので、私とは無縁のサイトでしたが⋯

マイナビウーマンさま、働く女性の恋愛と幸せな人生のガイドならまともな医療系記事をお願いします

昨日深夜にこのようなツイートがありました。

https://twitter.com/tsuj/status/979373147286773761

https://twitter.com/tsuj/status/979373147286773761

以前からネット上の健康関連情報に関して警鐘を鳴らして来たSEOの神様と呼ばれている辻正浩氏のものです。医師である私がネット検索しても上位表示されることのないマイナビウーマンですが、一般の方が好んで検索するようなキーワードに特化しているのかもしれません(SEOに関しては素人なんで詳しいことは不明です)。

辻さんのツイートに「記事の品質は判断できませんが、今回のような低品質記事が多いなら大問題」と書かれているので、品質をチェックして見たところ⋯

マイナビウーマンってちゃんと医師が解説して医師監修しているの⁉という状態でした。マイナビウーマンの医療系記事のどんなところが間違っているのか、余計なお世話でしょうけど解説してみます。一昨年のWELQ問題、さらに昨年のヘルスケア大学問題に続き桑満またかよ的なご意見もあると思います。しかし、あれほど社会問題化したWELQから全く学ぶ気持ちがないとしか思えないマイナビウーマン、ぜひ御一考いただけると幸いに存じます。

「ぼうこう炎」を予防・対処する方法5つは明らかに間違い、本当に医師が書いたのか?

女性に多い泌尿器の病気として「膀胱炎」があります。細菌やウイルスが原因となる尿路感染症の一つであり、癖になってしまう、恥ずかしい病気と一部の女性には受け止められている病気です。マイナビウーマンでこんな記事があります。

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https://woman.mynavi.jp/article/160816-8/

この記事中で膀胱炎を予防する方法として「5.シャワートイレを使用しすぎない」という見出しとともに以下のように書かれています。

シャワーノズルが不衛生な場合、ぼうこう内に細菌が侵入する可能性も高くなります。また、ひんぱんに使用すると尿の洗浄力を低下させてしまう恐れもあるので、必要以上に使用することは避けましょう。

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尿の洗浄力ってのも不思議な言葉ですけど、そもそもシャワートイレの取扱説明書は、排尿後に使用する方法なんか書かれていません❗

ウォシュレットに代表されるシャワー式の温水洗浄便座に排尿時のボタンが備えついていない理由としてシャワートイレの洗浄機能の正しい使用方法はお尻(うんち)とビデだけです❗

このマイナビウーマンの膀胱炎に関する記事中で排尿後にシャワートイレ使用したら膀胱炎になると書かれてはいないとしても、TOTOやINAXが見たら怒りますよ。

そもそもシャワートイレは大便をした時と膣を洗浄する機能を備えたものであり、オシッコをした後に使用するようには設計されていませんし、シャワーノズルが不衛生にならないように工夫されています(例えば排尿中、排便中はノズルは引っ込んでいますよね)。

もちろんシャワートイレを頻用することによる考えられる膀胱炎はしばしば見受けられるものですが、その原因菌の多くはノズル由来ではなく、外尿道口付近に存在する大腸菌等が膀胱内に押し込められたり、常在菌までを洗浄してしまうことが原因と考えるのが一般的です、よっぽど掃除していない場合を除く。

ウォシュレット関連ブログ⋯女子は排尿後、ウォシュレット使用は☓です。

実はシャワートイレと膀胱炎の関連性は無いとの医学論文があります⋯「Bidet toilet use and incidence of hemorrhoids or urogenital infections: A one-year follow-up web survey」(Prev Med Rep. 2017 Jun; 6: 121–125)、しかしこの医学論文ではビデの使用とお尻への使用について述べられたものであり、排尿時の使用については触れられていません(しつこいけど、オシッコした後に押すボタン無いもんね)。

ウイルス性イボの感染経路と予防法、これちょっとヘンです

マイナビウーマンのヘルスケアという項目の中の不調という小項目中に「これってうつるの? 指のイボの原因と治療法【医師が解説】」という記事があります(https://woman.mynavi.jp/article/170530-14/)。

これは医師監修ではなく、医師が解説と書かれています。このウイルス性イボの記事はウイルスと細菌の区別がついているのか?との素朴な疑問があります。さらにガングリオンをイボと考えているのでしょうか?

ガングリオンをイボの仲間としていますけど、普通まともな医療系記事であったらありえないようなことが複数書かれています。

まずはウイルスと細菌について最初の方にこんな記載があります。

指にできるイボのほとんどは、ウイルス性のイボ。尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)と言い、目に見えないような小さな傷口からHPV(ヒト乳頭腫ウイルス)という菌が入り発症します

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これは病気に関する記事としては大きな間違いを一般人に与えてしまうと考えます。

HPV(ヒト乳頭腫ウイルス)はウイルスであって、菌じゃない❗

子宮頚がんを予防するHPVワクチンに関する論争が激しい折に、HPVを菌って書いてしまっていたら混乱を招きますし、医療関係者であったらウイルスと菌は違うものであることを明記するべきだと思います。

少し触れただけで感染するようなものではありませんが、接触により他人に感染する恐れもあります。似た形状のイボが複数できてしまった場合は、菌が増殖している可能性が非常に高いと言えます。すぐに病院で診察を受けるようにしてください。

あのねえだから尋常性疣贅の原因のHPVは菌じゃないって❗

ガングリオンをイボの仲間に入れてしまう医師って本当に存在するのでしょうか?

ガングリオンについては日本整形外科学会のサイトを見てください。ガングリオンをイボと表現している医師を私は今まで一度もお目にかかったことはありません。

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さらにこんな記述があります。

「血管拡張性肉芽腫」という、うつらないタイプのイボが指にできることもあります。これは1個だけ単発でできるのが特徴で、ほかの場所にうつることはありません。できてしまう原因は解明されていないのですが、ほとんどのものが良性です

血管拡張性肉芽腫の原因は怪我が原因で反応性に血管が増殖したものと医師の多くは考えているはずですし、ほとんどのものが良性なら悪性もあるってこと?

血管拡張性肉芽腫は良性腫瘍です

例えば順天堂大学医学部付属順天堂医院の形成外科のサイトでも間葉系由来の良性腫瘍として血管拡張性肉芽腫は分類されています。

健康情報サイトには気を使っていただきたい

マイナビウーマンは健康や医療に特化したサイトではないようです。初めてこのサイトを訪問したため、使用法がよくわかっていません。

ひょっとして命に関わるがんや脳血管系の病気について書かれたページがあるのかもしれません

医師が検索したときに上位表示されることがないと思われるマイナビウーマンの病気に対する記事ですけど、一般の方が自分の病気や家族知り合いの病気について調べていて上位表示され、その記事を鵜呑みにしてしまったらトンデモナイ事態が発生するかもしれません。ヘンテコな医療系の情報が上位表示されないように検索エンジンもアルゴリズムを更新してるとの話を耳にします。

検索エンジンの仕組みを利用して、大量の医療系記事を掲載し検索結果で上位表示されるようにしたWELQやヘルスケア大学の件は当然マイナビウーマンの関係者は知っているはずです。医師が解説して医療とは無関係のライターさんが書いた医療記事、病気のことは全く勉強していないような素人ライターさんが書いた記事を医師にチェック依頼して、医師監修と表記する手法は控えるべきなのではないでしょうか?

ちなみに言い訳がましいですけど、私のブログも間違いを書いたり言葉足らずのこともあるとは思います。ブログは一医師の意見として書いているつもりですから、あくまで読み物であって病気を治そうとしている方向けに書いているものでもありません。

前の方に書いた膀胱炎関連の記事は今現在は

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と表示されているようです。どれだけの医療系記事があるかはわかりませんけど、明らかに間違ったことが書かれているページが大量にあるかもしれませんね。

医師も一般の人がどんなソースを利用しているか気にしよう❗

複数の大学病院の医師が集まった会で医師のネットリテラシーに関して講演をしたことがあります。その時いくつかの質問を会場にいる医師に尋ねたところWELQ問題を知らなかった人が多数いました。さらにSNSを利用している医師も予想外に少数でした。医師もこれからは専門誌だけでなく、患者さんはどのようにして医療系の情報を得ているのかを知るためにもネットリテラシーを意識した方が良いのではないでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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