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サマータイム導入は健康に悪い⁉医学的なエビデンスはこれ❗

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異常と呼んで差し支えのない猛暑に見舞われた2018年の日本の夏。

二年後にオリンピックを控えている東京も39度が観測されていて、この競技に悪影響を及ぼしかねない酷暑対策の一つとしてサマータイムの導入が検討されています。

2020年東京オリンピック開催に向けてサマータイム導入が検討されていますが⋯

サマータイムって若い人には馴染みのないワードと思われますが、日本に何度か導入しようとの試みがなされましたが日本には馴染まなかった過去があります。

経済的な効果や省エネ効果等に関してはそれらの専門家に任せるとして、オリンピックの競技の暑さ対策としてサマータイムを導入するのなら、開始時間を早めればいいのではと思いつつ、サマータイムが健康面でどのような作用があるかをちょいと調べてみたら⋯

サマータイムって健康に良くないじゃん❗との医学論文によるエビデンスがいくつか見つかりました

例えばこれ「Are daylight saving time transitions associated with changes in myocardial infarction incidence?」(BMC Public Health. 2015; 15: 778)によれば

サマータイム導入によって心筋梗塞が増加❗

との結果が出ています。ここで使われているdaylight savingは太陽光有効活用時間制度のことであり、サマータイムと考えて問題ないはずです。

サマータイム導入推進派の方は健康増進の利点として挙げているけど⋯

産経新聞の報道によるとサマータイムを導入すると健康増進効果もある(産経の記事「酷暑対策でサマータイム導入へ 秋の臨時国会で議員立法 31、32年限定」) らしいのですが、一方で心筋梗塞が増加するというエビデンスもあります。もう少しサマータイム関連の医学論文をご紹介すると「Daylight savings time and myocardial infarction」(Open Heart. 2014; 1 (1) : e000019)では米国ミシガン州におけるサマータイム導入と心筋梗塞の発症を調べたもので

やっぱりサマータイム導入によって心筋梗塞の発生率が有意に高かった

との結論になっています。
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このグラフに書かれているAMIはacute myocardial infarctionの略で急性心筋梗塞って意味です。サマータイム導入すると月曜日に心筋梗塞が増加していることがわかります。

「daylight savings time」というキーワードで医学論文のデータベースを検索すると出てくるは、出てくる、サマータイム導入は健康に悪いじゃん的な結論になったエビデンスが。

サマータイムを導入すると事故が増える⁉

これはニュージーランドにおけるサマータイムと事故の関係を調べた2018年に投稿された出来立てのホヤホヤの研究ですが

サマータイムを導入すると交通事故が増える❗

という医学論文さえあります。「Accident rates and the impact of daylight saving time transitions」(Accid Anal Prev. 2018 Feb;111:193-201)によればサマータイムを導入した初日には16パーセント、二日目には12パーセント交通事故が増えたことが確認されています。

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このグラフはSANGALINE.COMというサイトで見つけた「How many people will actually die this week because of Daylight Savings Time?」という記事です。この記事でもやっぱりサマータイムを導入すると交通事故死が増えることがわかります。

これじゃあ、

サマータイム導入は健康を害するだけじゃなくて、経済的な損失も増やしてしまう可能性さえ出てきちゃいますよね

さらにサマータイム導入は青少年の健康を害する可能性もあるのです。

サマータイム導入は若者の睡眠に悪影響が出ちゃうぞ❗

早寝早起きはどう考えても健康に良さそうに思えますが、サマータイムで無理やり早寝早起きの生活リズムにすると、高校生の場合は健康に悪いこともエビデンスがあります(まあ、色々な角度から研究した場合、他の結果も当然導き出されるとは思いますけど)。「Adverse Effects of Daylight Saving Time on Adolescents’ Sleep and Vigilance」(J Clin Sleep Med. 2015 Aug 15; 11 (8) : 879–884)によれば、40人の高校生に対して睡眠状態をサマータイム導入した期間に記録してもらいそれを分析した結果

サマータイムの影響で睡眠時間が32分減少した❗

らしいです。でもこれって、サマータイム導入されてもいつもと同じサマータイム導入以前の時間に寝て、サマータイムに合わせた時間に起床しているから当然じゃん、との解釈もできますね。サマータイムによって1日が逆に長くなってしまうということは、エアコンを使用している時間も長くなりますし、高校生ですからスマホをいじくり回している時間も長くなりバッテリーを頻回に充電することにもなりますし、中にはPCで良からぬ動画なんかも観ちゃっているかも知れませんので、エネルギー削減効果は怪しいものになる可能性も出てきます。

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睡眠不足に伴い注意力と認知能力の低下も起きてしまっています。いくつかのサマータイム導入は健康に悪ぞ説の医学論文でした⋯多分、これらの原因は時間をズラすこと自体に問題の原因で、常に早寝早起きが健康に悪いぞ、ということじゃないと考えらえますけどね。となると一年中サマータイムを取り入れることになってしまい、日本の標準時間をズラすことになっちゃいます。こうなってしまうと経済効果はどうなっちゃうのでしょうか的な問題も発生必死ってことか?

健康面では疑問符付きのサマータイム導入ですが、なんで犯罪防止効果があるんだ?

確か2018年8月9日のWBSでもサラッとサマータイム推進肯定派の意見として「犯罪防止効果もあるんですよ」との発言がありました。これと同様のことが前掲の産経新聞の記事の最後の方にも書かれています。これはどうしてなんでしょう?多分、子供の通学時間も明るいので犯罪に巻き込まれる可能性が低くなることを根拠としているようですが⋯

オリンピック開催期間は2020年7月24日〜2020年8月9日は夏休みじゃん❗

こうなるとサマータイムって本当に良い効果ばっかりなのかと疑問を抱えつつ

日の出と共に目が覚めて起きてしまうオッサンはセルフサマータイム導入に突入してしまう猛暑の夏でした。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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